八ッ場ダム 中止でも多額支出と国交省幹部発言

◆2009年7月9日 朝日新聞群馬版より転載
ー八ツ場ダム「建設中止なら800億円負担増」 国側説明

 民主党が総選挙のマニフェストで中止方針を示す国営八ツ場ダム(長野原町)について、現時点で事業を中止した場合には、国が下流の5都県にこれまでの負担金1460億円を還付する必要が生じる可能性があることを国が明らかにした。民主党の主張通りダムを中止して生活再建を続けた場合、現行の残る事業を続けるよりも約800億円多くかかるという。自民党県議らの八ツ場ダム推進議員連盟の会合で7日、国土交通省関東地方整備局が説明した。
 特定多目的ダム法(特ダム法)は、利水者のダム使用権設定の申請が却下または取り下げられたときは、利水者がすでに納付した負担金を還付するよう定めている。
 同局によると、ダム建設事業費4600億円のうち、09年3月末までに3210億円を使っている。うち利水者の5都県が負担している全額1460億円が中止した場合の還付対象になるという。
 国交省治水課の説明では、特ダム法施行令は、利水者が事業から撤退した場合などを除き、中止までの負担額を還付するよう規定している。過去に還付した事例については把握していないという。
 同局の金尾健司河川部長は「お話ししたのは一般論で、現段階で中止はまったく想定していない」とした。
 八ツ場ダムをストップさせる市民連絡会の嶋津暉之代表は「ダム事業者の判断のみで中止する場合は特ダム法で想定されておらず、拡大解釈して全額返還が必要だと言っているのではないか。実際には、利水予定者の合意を得た上で中止されるので、還付額はゼロになるはずだ」と話している。

◆2009年7月8日 讀賣新聞群馬版より転載
ー中止は継続より支出増の可能性 国交省指摘ー
 国土交通省関東地方整備局の金尾健司河川部長は7日、八ッ場ダム(長野原町)計画を中止した場合、利水上の恩恵を前提に負担金を支出してきた1都4県への還付と水没予定地の住民への生活再建で、事業継続の場合よりも支出が増える可能性を指摘した。同日開かれた県議会の推進派議員連盟の会合で自民党県議がした質問に対して答えた。
 金尾部長は「生活再建にはまだ770億円が必要。(中止の場合、還付金と合わせて)2000億円を超える予算になる」と述べ、中止の場合、継続した場合に今後必要な1390億円を上回る支出が必要となる可能性を明らかにした。

◆2009年7月8日 上毛新聞一面より転載
ー八ッ場ダム 中止でも多額支出 国交省整備局幹部が見解 5都県などに「1460億還付」

 国が長野原町で進める八ツ場ダム建設事業の推進を目指す県議らでつくる推進議員連盟の会議が7日、県議会庁舎で開かれた。民主党が次期衆院選のマニフェストに同事業の中止を盛り込む方針を示していることから、中止した場合の影響について国土交通省関東地方整備局の金尾健司河川部長に説明を求めた。金尾部長は本県を含む5都県などが負担した1460億円の還付が必要になるとの見方を示した。
 金尾部長によると、八ツ場ダム建設事業費4600億円のうち3210億円が昨年度までに支出済み。このうち1460億円は完成後に水道用水や工業用水など利水面でダムを利用する予定の5都県などが負担しており、事業を中止した場合、特定多目的ダム法の規定によって全額を還付する必要があるという。
 また、残りの事業費1390億円のうち770億円は国道やJR吾妻線の付け替え工事や代替地造成などダム建設に伴う地元の生活再建関連事業に使う計画。金尾部長は「ダム中止後も生活再建を継続した場合、還付金と合わせて2230億円が必要。ダム事業を継続した場合の1390億円を上回る」と説明した。
 これに対し次期衆院選の県版マニフェストに同ダムの建設中止を盛り込んだ民主党県衆院選対策本部は「(国の説明は)あくまで既存の枠組みで判断したもの。国はこれほど大きな公共事業を中止した経験がない。中止した場合は法改正も視野に、新しい枠組みをつくって取り組むことになる」と反論している。
 会議には自民・公明の県議25人が参加した。