八ッ場ダムの費用対効果は3.4という数字

2009年9月21日

 国土交通省は八ッ場ダム事業の費用対効果を3.4としています。
 この数字は、今年2月24日に国土交通省関東地方整備局事業評価監視委員会で出されたもので、1を大きく上回ることから、八ッ場ダム事業継続妥当の判断が下されました。けれども、3.4という数字は、果たして根拠のある正しい数字なのでしょうか?

 昨日の朝日新聞二面の記事「ダム見直し 賛否両論」の一部を転載します。↓
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前原国交相は17日の記者会見で、八ッ場、川辺川両ダム以外についても
「今後、事業仕分けをして一つ一つ精査していく」と述べた。必要性を判断する指標の一つ「費用対効果」の数値を見ると、中止される八ッ場ダムの3.4に対し、与布土ダムは1.8しかなく、得られる便益はさらに低い。数値が公表されている国交省直轄45事業のうち、42事業が3.4を下回る。
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 この記事を読んだ読者は、八ッ場ダムの費用対効果が3.4であり、他のダムより効果の高いダムだという印象をもつでしょう。
 八ッ場ダムの費用便益比は、2007年12月の事業評価監視委員会では2.9だったのですが、 それから1年ちょっとで、3.4に引き上げられました。2008年6月3日の参議院財政金融委員会では、民主党の富岡由紀夫参院議員が、費用対効果の計算根拠を質しましたが、国土交通副大臣の答えは、曖昧に終始しました。

http://www.tomioka-yukio.net/report/download080603.txt

ー議事録一部引用ー
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今日お手元にお配りいたしました資料を見ていただきたいんですけれども、この中の洪水調整に係る便益というのがございまして、ブロックがA、B、C、D、E、F、G、こういろいろあります。十ブロックに分けて、それぞれのブロックごとにこのダムを造ることによってどれだけ洪水の被害が減少するかという便益を出しているんですけれども、その一番基本となる年平均被害軽減額、①というところですね、それぞれブロックごとの。これを算出された根拠がないという、資料がないというふうに説明を事前に昨日受けたんですけれども、それは本当でしょうか。確認の、念のためにお伺いさせていただきたいと思います。
○副大臣(平井たくや君) これ、私もないはずがないと思っておりまして、捜していただいたんですけれども、これが本当にないわけでありまして、これ、この分野に関しての文書の保存期間は一応三年ということにはなっているものの、これ今事業中の案件でありますから、本来あるべきだと私も思っております。しかしながら、それがないということでございます。
○富岡由紀夫君 ないものを前提にこの事業を継続すべきかという結論を出されたというのは本当に疑問で、何というか信じられないですね、納得いかないですよね。
 四千六百億円もの税金をこれから使って建設すると、それでなくても今ダムの不要論がどんどん出ているのに、そのBバイCを出したときの基の数字がないという、その前提でこの事業継続を決定するということはおかしいと思いませんか。 (以下、略)
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 八ッ場あしたの会では、事業評価監視委員会による費用便益計算に多くの疑問があることから、今年6月2日に国土交通省八ッ場ダム工事事務所に公開質問書を送りました。けれども、回答は3ヶ月以上たった今も、まだありません。

https://yamba-net.org/wp/modules/news/index.php?page=article&storyid=601

 費用便益計算の矛盾についての解説は、こちらにアップしています。↓

https://yamba-net.org/wp/modules/news/index.php?page=article&storyid=567
「八ッ場ダムによる吾妻渓谷の景観改善(事業評価の問題点)」

https://yamba-net.org/wp/modules/news/index.php?page=article&storyid=599
「八ッ場ダム事業の費用便益計算の問題点について(その2)

●洪水が襲うと利根川の各ブロックが同時に破堤し、首都圏に集積した財産が一気に失われるという前提で、「便益」の数字を膨らませる、

●ダムができると失われる国の名勝・吾妻渓谷の景観には一切考慮せず、
ダムによる景観改善を費用便益に組み込む、

 こうした科学的根拠が疑われる費用便益計算によって八ッ場ダム事業が推進されてきたことを、改めて検証する必要があるのではないでしょうか。

~参考~
◆平成21年2月24日 国土交通省関東地方整備局 事業評価監視委員会配布資料
http://www.ktr.mlit.go.jp/kyoku/office2/jigyohyoka/pdf/h20/03siryo/siryo1-2.pdf

◆平成21年2月25日 関東地方整備局事業評価監視委員会 記者発表資料
http://www.ktr.mlit.go.jp/kyoku/office2/jigyohyoka/pdf/h20/03gaiyou.pdf