八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

前原国土交通大臣への要望

 八ッ場ダムの予定地(吾妻渓谷)を訪ねた前原国交大臣に以下の文書をお渡ししました。

 2009年9月23日
 国土交通大臣   前原 誠司 様

 八ッ場あしたの会 事務局長 渡辺洋子 
 八ッ場ダムをストップさせる市民連絡会  代表 嶋津暉之
 (八ッ場ダムをストップさせる群馬の会、埼玉の会、千葉の会、   茨城の会、東京の会、ムダなダムをストップさせる栃木の会 の連合組織)

 八ッ場ダムの中止および生活再建への大臣の英断に心より拍手を送ります

 就任早々の会見で、八ッ場ダムの中止および生活再建への取り組みを明言されましたのを感無量の思いで聞きました。長年、八ッ場ダムの不要性と八ッ場ダムがもたらす災い、生活再建の必要性を訴えてきた団体として、貴大臣の英断に深く感謝し、心より拍手を送ります。

 最近のマスコミ報道では八ッ場ダムはすでに7割もできているとか、中止した方が継続したよりも高くつく、ダムを中止することにより地元住民が犠牲になるなど、正確でない情報が流され、国民には誤解も広がっているようです。しかし、7割というのは、事業費の7割がこれまでに使われたということにすぎません。実際には、八ッ場ダムの関連工事はかなり遅れており、たとえこのまま事業が進められても、ダム完成は予定工期2015年度末より大幅に遅れることは必至です。また、事業費が地すべり対策などでさらに大きく増額されるのは確実です。ダム建設による災害誘発の可能性は、ダム湖予定地周辺に住む地元住民にとっても深刻な問題です。本体工事未着手の今こそ、多くの矛盾を抱え、行き詰っている八ッ場ダム事業は中止されなければなりません。

 八ッ場ダム問題が最終的に解決され、ダム問題によって分断されてきた利根川流域の住民が共に繋がり合い、希望がもてる社会が訪れることを心より願っております。

 貴大臣におかれましては、すでにお考えのこととは存じますが、とりわけ次の2点を直ちに進めてくださるよう、お願い申し上げます。

1 八ッ場ダム事業の実態解明
 多くの問題を孕む八ッ場ダム事業の実態を明らかにし、すべての情報を国民に公開する。(八ッ場ダム事業の費用便益計算の見直し、八ッ場ダム関連事業の各項目の精査、水没予定地住民のために造成中の代替地等の安全性など)

2 「ダム事業の廃止等に伴う特定地域の振興に関する特別措置法」の制定と同法に基づく八ッ場ダム予定地の生活再建・地域再生への早急な取り組み 
                                    以上