経済評論家の勝間和代さんが公共事業としての八ッ場ダム問題をどう捉えるか、サンクコスト(埋没費用)とマイルストーン(中間目標値)の視点から切り込んでいます。
↓
2009年11月4日 日経ビジネスサイトより
「プロジェクトマネジメントに埋没費用と中間目標値の考え方を取り入れよう! ~八ツ場ダム建設中止~」
http://www.nikkeibp.co.jp/article/nba/20091030/192700/
一部引用します。↓
(引用開始)
プロジェクトの中止・継続を検討する際には、「サンクコスト」という概念が重要です。八ツ場ダムの場合、3210億円を投資したという事実はこの先、どんな意思決定をしたとしても変わりません。このサンクコストが惜しくて、さらに追加投資を続けるのは危険です。プロジェクト全体ではリターンがもたらされないというケースが少なくないのです。
すなわち、意思決定を間違わないようにするには、サンクコストは無視して、今後の追加投資による費用対効果のみに考えを集中する必要があります。今回の場合、ダム本体の建設に今後必要となる620億円、追加コストの数百億円、そして、毎年のメンテナンス費用を加えたものを総コストと考え、ダムの効用に対して支払う価値があるかどうかで判断すべきでしょう。実際、当初予定されていたダムの水がめ機能は、50年の間に私たちのライフスタイルが節水型に変わったことから、もう必要ないという意見が現在では主流になっています。
地元住民の生活再建のためのコストは、続行しても必要になるため、意思決定の材料には入れません。また、中止の場合、国から地方自治体に1400億円が返還される可能性があります。ダム工事だけに着目すると、差し引きでマイナスになるように見えますが、実際には、返還された資金は各地方自治体で、このダムよりもより費用対効果の高い使途に向けられる可能性があるのです。
(引用終わり)
八ッ場ダム事業を考える上で、こうした客観的な意見は今まで殆ど出されてきませんでしたが、今後の八ッ場ダム事業について国民的な合意形成を図る上で、見過ごすことの出来ない論点です。