生活再建案は地元要望受け提示

 国交大臣の八ッ場ダム中止方針に対して、代替案もない中での方針転換は受け入れられないというのが、地元自治体の見解です。
 ダム事業下での生活再建事業は、1980年に群馬県が提示し、地元住民との5年に及ぶ協議の末に覚書が締結されました。この生活再建案が契機となって、地元はダム受け入れのレールに乗りました。ダム事業は、地元民が自主的に地域づくりをめざすことを許しませんでした。水没予定地域周辺には地方自治はなかったといっても過言ではないでしょう。
 こうした過去の経緯からすれば、「ダム中止を決める前に、代替案を提示するように」と要求する地元の意見は当然です。けれども、ダムなしの生活再建案を国が提示するとしても、これから何年も協議するのでは、地元はますます疲弊してしまうでしょう。地元住民の協力が得られなければ、地元民の納得する「ダムなし生活再建案」は作れません。ダム中止がいまだ地元に受け入れられない中、新政権も地元もジレンマを抱えたまま、時間ばかりが過ぎていきます。

■2009年11月5日 読売新聞群馬版より転載
ー国交相が協議打診 先月末 長野原・東吾妻は拒否ー
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/gunma/news/20091105-OYT8T00092.htm

 八ッ場ダム問題を巡り、前原国土交通相が10月末、地元の長野原、東吾妻の両町に対し、話し合いに応じるよう県を通じて打診していたことが4日、わかった。大沢知事が定例記者会見で明らかにした。地元側は「中止方針が白紙でなければ会えない」と拒否したといい、直接協議の実現には時間がかかりそうだ。

 大沢知事によると、前原国交相からは県あてに書簡で打診があったという。

 前原国交相は10月27日に関係6都県の知事と話し合った際、八ッ場ダムについて「予断を持たずに再検証する」と発言。地元の態度の変化も期待したとみられるが、高山欣也・長野原町長は読売新聞の取材に「その後の国会で、はっきり中止と言っている。県には『白紙でなければ会えない』と伝えた」と話した。

 大沢知事は会見で、前原国交相に対し「話し合いができる環境を自ら整備してもらわないと、地元の方々も土俵に上がれない」と注文をつけた上で、「年越しまでこの状態では、地元の人は耐えられないだろう。協議できる場を県としても早くつくるべきだと思う」と述べた。

■2009年11月6日 上毛新聞一面より転載
ー八ッ場ダム問題 「地元要望受け提示」 生活再建で馬淵副大臣 意見交換を要請ー

 国土交通省の馬淵澄夫副大臣は5日の記者会見で、八ッ場ダムの本体建設を中止した場合の地元住民の生活再建案について「国が提示するより、地域の要望をしっかり承り、調整した上で提示するのが望ましい」との考えを示した。
 ダムなしの生活再建案については、同ダムの事業費を負担している6都県知事が先月出した共同声明で「(国交省が)早急に青写真を示すべき」と求めたが、馬淵氏の発言で現時点で国交省が独自案を示す考えのないことが明らかになった。馬淵氏は「(再建案提示のために)住民との意見交換を強く求めていく」とも述べた。
 また、馬淵氏は会見で、ダム事業を再検証する専門家チームのメンバーについて「河川工学に偏らない、さまざまな知見を持った人や自然、山林の専門家といった多くの方々」と、さまざまな分野の専門家を人選する考えを示した。再検証のスケジュールについては「メンバーが固定する中で決まっていく」と述べるにとどめた。