八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

都議会請願採択ー水需要予測の見直しを

●2010年5月27日 時事通信より転載
 -水需要予測の見直しを=八ッ場ダムに絡み一部議会が請願採択
 
 東京都議会公営企業委員会は27日、八ッ場ダム(群馬県長野原町)建設の必要性の根拠となっている都の水需要予測が、実績と著しく乖離しているとして、予測の見直しを求めた住民グループの請願を、民主党などの賛成多数で採択した。6月議会の本会議でも採択される見通し。

 同委員会で民主党と生活者ネットワークは「実績に対して需要が過大に見積もられている」と批判。自民と公明は「予測は安定給水を確保するために適切に算出されている」として、不採択を主張した。

 水需要予測を行っている都水道局は「予測と実態との間に大きな乖離はなく、早急に見直す状況にはない」としている。

●2010年5月28日 朝日新聞都内版より転載
 -需要予測見直し 請願を趣旨採択 八ッ場ダムで都議会委ー
 
 八ッ場ダム(群馬県)の建設推進を求める都が、根拠の一つに挙げる水道の需要予測について、市民団体「八ッ場ダムをストップさせる東京の会」(深沢洋子代表)が予測の見直しを求めて提出した請願が27日、都議会公営企業委員会で賛成多数で趣旨採択された。民主党と生活者ネットワーク・みらいが賛成、自民、公明両党は反対した。
 請願では、都の予測は現実と隔たりがあり、過大な水道施設の建設を推し進める要因になっていると指摘。予測の早急な見直しを求めている。

●2010年5月28日 東京新聞都内版より転載
 -水道需要見直し 請願を採択 都議会委ー

 都議会公営企業委員会は二十七日、八ッ場ダム建設に反対する市民から出ていた、水需要予測の見直しを求める請願を、民主と生活者ネット・みらいの賛成多数で「趣旨採択」した。
 請願は、都の水需要予測を過大だと指摘。都側は「計画値と実績に大きな
乖離はない」と主張したが、民主などは「最新のデータで予測すべきだ」などとして請願に賛同した。

●2010年6月1日 都政新報より転載
 -八ッ場ダム反対団体の請願 公営企業委が趣旨採択 「水需要予測、速やかに」ー

 1日開会の都議会第二回定例会を前に、民主党政権が建設中止を表明している八ッ場ダム(群馬県吾妻郡)に関連して、公営企業委員会が「水需要予測の実施に関する請願」を、民主、生活者ネット・みらいの賛成多数で趣旨採択した。請願者は「八ッ場ダムをストップさせる東京の会」(小平市)で、「都水道局において、水道に関する水需要予測を速やかに実施して頂きたい」とする内容。本会議で議決されれば、慣例では、第4回定例会で執行機関側による処理の結果が報告される。

 当局は否定的見解 4定で処理結果報告へ
 八ッ場ダム建設に否定的な請願が趣旨採択されたのは初めて。同事業を巡っては、09年第4回定例会で都市整備委員会に「八ッ場ダム事業見直しに関する請願」が審議されたが、現在も継続審査となっていた。
 都水道局の担当者は、「議会の採択なので、真摯に受け止めなければならないが、現時点で早急に見直さないといけない状況にはないのでは」と話し、請願の趣旨が、八ッ場ダムの建設中止だけを指しているのであれば、いかがなものか」としている。
 都の水需要予測は03年12月、過去の使用水量などの実績をもとに行われたのが直近で、13年度は一日最大配水量600万立方㍍。一日平均しよう水量は、その約7割を占める生活用水が長期的に増加傾向にあり、計画値と実績値との間に大きな乖離が生じていない」としている。
 都側は委員会で、「都の水源量は、日量630万立方㍍だが、相手方の水事情によっては分水が受けられない相模川分水など、取水の安定性が低い水源が日量82万立方㍍含まれる」とし、「水源は十分でない」と説明。八ッ場ダムなどが完成しても、水源は日量590万立方㍍という。
 また、気候変動により、100年後には利根川上流の積雪量が現在の3分の1となるなど、「供給面のリスク」を強調した。
 請願の趣旨採択に反対した桜井浩之氏(自民)は、「都が保有する膨大な水道施設維持費更新を含め、長期的な観点に立って、着実に施設整備を進めるべき」と話した。
 木内良明氏(公明)も「需要予測自体は大事だが、5年、10年といったスパンの話に終始させてはならない。近視眼的な声に惑わされることなく、安定給水の確保を」と求めた。
 一方、花輪智史氏(民主)は、厚労省の要領では、水道施設整備の事業評価を5年ごとに行うよう求めていると指摘し、「細則に『水需要の動向を分析して』とある。前回の再評価は04年で、本当は昨年度中に評価しなければならなかった」と批判。「利水の面から言えば、ダムは必要ない」と断じた。
 山内玲子氏(ネット)は、水需要予測が行われた当時と現在では、「生活スタイルが大きく違う」とし、「トレンドを反映できるよう、予測モデルの見直しが必要」と述べた。