わが国の法制度では、ダム事業の見直しが想定されていません。国や受益者とされる自治体は、ダム計画によって長年、ダム予定地に大きな犠牲を強いながら、ダムが中止になると知らんぷりというケースが殆どです。こうした悲惨な事例を知っているダム予定地の地元だダム中止という政策を容易に受け入れないのは当然のことです。
ダム事業の見直しの際に必要な法整備をどうするのか、前原大臣の発言が新聞で取り上げられています。川辺川ダム予定地だけでなく、八ッ場ダム予定地の現状を踏まえた法整備を目指してほしいと思います。
◆2010年6月9日 読売新聞群馬版より一部転載
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/gunma/news/20100609-OYT8T00058.htm
ー菅内閣発足 国交相再任会見 八ッ場中止方針変わらずー
前原国土交通相は8日、再任後初めての記者会見を開き、菅首相から国直轄の大型公共事業の全面的見直しの指示を受けたと明かし、八ッ場ダムについては、「再検証の中に入れているが、中止の方向を打ち出し、予断なく検証している」と、改めて本体工事の中止方針を示した。
建設中止後の住民の生活再建については、「当該自治体には迷惑をかけたが、その方々への申し訳ない気持ちを形にするのが大切」と述べて、生活再建の枠組みなどを盛り込んだ新法案を来年の通常国会までに出す方針を明らかにした。
◆2010年6月10日 西日本新聞より転載
ー川辺川ダム中止 補償法案 近く協議 国交相言明 地元の意見反映ー
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/177226
前原誠司国土交通相は9日、熊本県の川辺川ダム建設中止に伴う建設予定地への補償法案について「何らかの形で国と地元、熊本県と相談しながら、生活再建の具体的な中身を詰めていきたい」と語り、近く地元との協議を始める考えを明らかにした。補償法案は、来年の通常国会提出を目指す。西日本新聞などのインタビューに答えた。
補償法案は、現行法ではダム建設を中止した場合に、予算の裏付けがなくなってしまうダム関連の道路建設や、水没予定地の移転事業などの生活再建を継続できるよう措置するもの。国交省は近く、関係省も交えた地元との協議機関設置の準備を進めている。
前原国交相は「地域の将来像は国が押しつけるものではないが、国が考えてくれという声があれば、地域と一緒に再建計画を作ることはあり得る」とし、水没予定地がある同県五木村の振興策に国がかかわる姿勢を示した。補償法案は、五木村に限定した特別措置法にしない考えだが、前原国交相は「五木村を公共事業中止のモデルにする」と位置付けている。
◆2010年6月10日 熊本日日新聞より転載
http://kumanichi.com/feature/kawabegawa/
ー「地元の意向反映」 五木村再建計画で国交相ー
川辺川ダムの水没予定地を抱える五木村の生活再建に向けた特別措置法策定を表明した前原誠司国土交通相は9日、再建計画について「国が押しつけるのではなく、地域で考えていかなければならない問題だ」と述べ、地元の意向を反映させたい考えを示した。熊本日日新聞社などのインタビューに答えた。
その上で前原氏は、計画策定について「県、五木村と相談をしながら、具体的な中身を詰めていきたい」として、国主導による3者協議を進める意向を正式に表明した。
また、大臣就任以来2度目の五木村訪問について「タイミングをみて、ぜひ行きたい」と明言。再建計画の中身を詰め、県や球磨川流域自治体と協議中の、ダムによらない治水対策がある程度まとまった時期が望ましいとの見解を示した。(原大祐)