2010年6月26日
八ッ場ダム問題について各政党の具体的な政策を有権者に広く伝えるため、公開アンケート(発送6月12日)を実施しました。〆切日の6月22日までに民主党、自民党、公明党、共産党、社民党、国民新党から回答をいただきましたので23日に公表しました。その後、みんなの党より6月25日に回答が届きましたので、みんなの党の回答を追加した各党の回答結果を掲載します。選挙戦最中のお忙しい中、回答をお寄せいただいた各政党の皆様、ありがとうございました。
なお、新党日本、新党改革、たちあがれ日本、日本創新党にも公開アンケートを送付しましたが、6月26日現在、回答が届いておりません。
各政党の回答結果についての当会の見解を以下にアップしました。併せてご覧いただければ幸いです。
↓
https://yamba-net.org/wp/modules/news/index.php?page=article&storyid=947
また、八ッ場ダムの関係都県を選挙区とする立候補者に対して、八ッ場ダムをストップさせる市民連絡会が公開質問を実施しており、その回答結果はこちらに掲載されています。
↓
http://www.yamba.sakura.ne.jp/
「2010年参議院選立候補予定者アンケート結果!」をクリック
以下、質問と回答です。
Q1 八ッ場ダム計画についてのお考えをお聞かせ下さい。
(1)問題はない。
自民党
(2)問題がある。
公明党、共産党、国民新党、社民党
Q2 1で問題があると答えた政党にお尋ねします。どのような問題があるとお考えですか? (複数回答可)
(1)ダム計画の目的である治水・利水等に疑問がある。
共産党、社民党
(2)ダム予定地域住民の生活を破壊してきた。
共産党、国民新党、社民党
(3)ダム予定地域の自然を破壊してきた。
共産党、社民党
(4)事業についての情報公開が十分なされてこなかった。
共産党、公明党、国民新党、社民党
(5)地質、水質などの安全性の問題がなおざりにされてきた。
共産党、社民党
(6)その他
公明党―八ッ場ダムが真に必要なダムか、前提なく検証すべき。
共産党―税金のむだづかい。
社民党―財政負担が莫大であること。また、酸性水によるダムの崩壊の危険性、ヒ素の流出の危険性。
みんなの党ー過去に問題があったかということとともに、未来志向で工事続行により得られる便益と費用を比較して、続行すべきか否かの結論を出すべきと考えます。
Q3 今後、八ッ場ダム事業をどうすべきだと思いますか?
(1)関連事業を継続し、本体工事に着工
自民党、みんなの党
(2)本体工事は中止するが関連事業は継続する。
なし
(3)本体工事を中止し、関連事業を見直して真の生活再建・地域振興に資する事業に組み替える。
共産党、国民新党、社民党
(4)本体工事、関連事業ともに中止する。
なし
その他の意見
公明党―科学的検証、経済的検証を行った上で、民主主義の手続きによった地元住民や自治体の合意を確立し、判断すべきと考えます。
Q4 3で「本体工事を中止すべき」と回答した政党にお尋ねします。ダム建設中止に当たって配慮すべきことはなんでしょうか? (複数回答可)
(1)ダム予定地域住民の真の生活再建
共産党、国民新党、社民党
(2)ダム予定地域の振興策
共産党、国民新党、社民党
(3)ダム関連事業で実施されてきた代替地、道路などの安全対策
共産党、国民新党、社民党
(4)自然環境の再生
共産党、国民新党、社民党
(5)その他の意見
共産党―地元住民への補償
社民党―地元住民の心情
Q5 ダム中止に伴い、どのような施策が必要かお尋ねします。(複数回答可)
(1)ダム中止後の水没予定地域支援が可能となる法整備
共産党、国民新党、社民党
(2)八ッ場ダム事業に関する情報公開を徹底する
公明党、共産党、国民新党、社民党
(3)八ッ場ダムの不要性とその問題点を明らかにする
共産党、国民新党、社民党
(4)暫定水利権の安定水利権化を図る
共産党、国民新党、社民党
(5)治水対策として八ッ場ダムぬきの利根川河川整備計画を策定する
公明党、共産党、国民新党、社民党
(6)ダム中止後、特別に対応する必要はなく、法整備も考えていない
なし
【自由記述】
● 民主党
質問に対して、該当箇所に○をつける方式ですが、政権獲得後の様々な経緯に鑑み、党としても政府と一体となって政策を決定していく立場にもあり、まとめてお答えさせていただきます。
人口減少の進行、急速な少子高齢化、財政危機などの我が国の現状を踏まえれば、従来の公共事業依存型の構造を転換し、国土交通政策のパラダイムシフトを進めていく必要があります。
治水事業については、できるだけダムに頼らない治水へ政策転換するとの考え方に基づき、既に本体工事に着手しているダム事業など一定の要件を満たす事業については継続するものの、中止の方針を表明している八ッ場ダムを初め、ダム事業については、すべての事業について検証を行い、これらを踏まえて今後の治水対策のあり方を検討していきます。
参議院選挙のマニフェストにも、以下のように記載をさせていただきました。
「中止の方針を表明している八ッ場ダムをはじめ、全国のダム事業について、余談を持たずに検証を行い、『できるだけダムにたよらない治水』への政策転換を一層進めます。」
八ッ場ダムについては、本体工事の中止の方針を示していますが、特定多目的ダム法に基づいた法律上の手続きに入っているわけではありません。基本計画を変更、廃止しようとするときは、当然、関係自治体との話し合いがなされなくてはなりません。
また、ご迷惑をおかけしている地元住民の方々に対してご理解をいただく努力を続けていく必要があり、生活再建策についても万全を期していくことが求められます。
いずれにしても、八ッ場ダムも含めたダム事業について、予断を持たずに検証することとしておりますので、その取り組み状況はしっかり見ていきます。今後とも皆様と連携し、必要に応じて、党として政府に意見を申し上げたり、注文をつけていきたいと考えます。
● 公明党
まずは、前提を設けずに、科学的検証や経済的検証を行い、地元住民の合意をしっかりと確立した上で、判断すべきと考えます。
● 共産党
八ッ場ダムをどうするのかについて、政府は明確な方向を打ち出せていません。利水・治水の観点から必要でなく、貴重な環境を破壊する八ッ場ダムは、無駄な公共事業と言わざるをえません。八ッ場ダムのために長期にわたって、住民の生活を制限し、精神的な苦痛を負わせてきたことは、重大な政治の責任です。八ッ場ダムの建設計画をきっぱり中止するとともに、住民の生活支援と地域経済の再建に全力をあげます。
● 社民党
八ッ場ダムは本来の建設目的に照らして検証するかぎり、必要性がないといわざるをえない。社会的な大損失・大損害であり、八ッ場ダム建設は中止すべきである。同時に、ダムに限らず、大型公共事業の中止後の制度作りこそが必要であり、社民党は、「住民参加の公共事業チェック機構の創設」や中止ルールを盛り込んだ「公共事業基本法」の制定とともに、「ダム計画中止後の生活再建支援法案」の制定も考えており、他党と連携を図りながら必要な対策をすすめていきたい。