2010年8月28日
都庁の記者会見で石原都知事に質問したジャーナリストのまさのあつこさんが、都知事の発言について昨日発売の週刊金曜日に執筆しています。↓
http://www.kinyobi.co.jp/backnum/antenna/antenna_kiji.php?no=1319
金曜アンテナ 八ッ場ダムは必要!? 石原都知事が“逆ギレ” 水需要予測見直し拒絶
この記事が伝えている8月20日のインタビュー内容が都議会のホームページに掲載されていますので、該当箇所を転載します。
石原知事定例記者会見録
http://www.metro.tokyo.jp/GOVERNOR/KAIKEN/TEXT/2010/100820.htm
【記者】八ツ場ダムに関連して1点お尋ねいたします。来週24日に予定されている(八ツ場ダム視察について)……。
【知事】これ、延ばしました。今の内閣がどうなるか分からないし。関係の知事さん3人も、都合があって出席できない。それから、担当の大臣は外国に行っていない。そんな時に、やがてやってくる、民主党の代表選挙で、誰が総裁になって、どんな内閣になるか分からない時に、何を決議しても、「豆腐にかすがい」みたいなことになってはつまらないので、政権というものの推移を見て、それが決まってから、この問題の担当大臣が前原さんになるのか、分かりませんし、それがはっきりしてからにしようということで、延ばしました。
【記者】ということは、民主党代表選が終わった後に、改めて新大臣と議論する場を持とうということ……。
【知事】そうです、はい。
どうぞ。
【記者】前回、需要予測の見直し(公営企業委員会で水需要予測の見直しに関する請願が出されていること)について……。
【知事】私もさっき聞きましたが、詳しく分からないので、担当の局長に聞いてください。それで、1つ申し上げたいことは、あなた、どうも八ツ場の反対の方らしいけれど、それはそれで色々な意見があって結構ですが、ちなみに、渇水に対する安全度で、ほかの木曽川、淀川、筑後川、そういった水域、大都市あります。そういう所の、安全度の指数は、10年に1度の渇水というものを想定しているんですけれど、利根川、荒川の周辺の首都圏の渇水に対する安全度というのは5年に1度という想定で、非常に低いんです。こういうことを勘案してもらいたいのと、あなたが物を論ずるために、ちなみに申し上げておきますけれども、世界の大都市の中で、人口1人当たりのダムの貯水量というのは、サンフランシスコは527トン、1人当たりです。ソウルが392トン、ニューヨークが285トン、台北が118トン、ロンドンが35トン、かなり少ないんで、首都圏は、1人当たり30トンしかないんです。こういったものを考えても、近い過去に、渇水が百十何日と続いたこともありますし、そういった問題を想定して、あなたのご意見と、私違って、八ツ場に対しては、首都圏の将来のために絶対必要だと思っておりますから。これ、ご参考に物を考えてください。
【記者】八ツ場の件ではなくて、今日伺いたかったのは……。
【知事】ちなみに申し上げた。あなたも反対のようだから、こういうこと認識しておいてちょうだいよ。
【記者】それは、情報としては、既に知っています。
【知事】そうですか。みんな知っていた?
【記者】はい。日本が一番水を効率よく使っている国です。今日、伺いたかったのは、政治と行政の役割についてなのですけれども。
【知事】政治と行政って何。行政というのは政治じゃないのか。
【記者】行政というのは、執行機関であり。
【知事】ああ、政治はね。
【記者】実際に聞こうと思っていますのは、都民なりの1票によって選ばれた議員さん、あるいは政治家のスタンスについて、どのようにお考えかというのを聞きたいのですが、その例として、議会で採択されたということを1つの例に挙げたんですが。
知事、御存じなかったということで、当局に聞けということだったので、当局に実際聞いてみましたところ、知事にやはり報告を上げていなかったのです。実際に、公営企業委員会のほうでは……。
【知事】何を上げてなかったの?
【記者】採択をされたということを、実際に特別には報告に行かなかったと。請願というのは採択すると、何十件もありますので、本会議のときに一気にその議決をすると。その時に、知事はいらっしゃったけれども、何件もあるので、実際に見ていない可能性もあると。重要なものについては、議会部局なり、財務部局なりというのが……。
【知事】いや、あなたの言うことわかってるよ。
だけど、行政というのは行政の立場があるわけだ。政治と違って、選挙を一々意識して、右顧左眄(うこさべん)する必要はない、してはいけない行政案件もあるわけだ。水の問題もそれだと思います。ですから、私は、八ツ場については、私の姿勢を維持するつもりでおりますし。
【記者】八ツ場というのは1つの問題でしかなく、要するに伺いたいのは、議会の構成が、変わりました。そして、そこで採択をされる、その前の議会の構成であれば採択されなかったものが採択をされたと。それについて、行政が、議会で既に見直さないというスタンスで答弁をされていたと。その上で、知事にも報告を特別には上げていなかったと。議会の構成の状況が変わったにも関わらず、行政が裁量によって、政治的意思を持って執行機関が決断をしてしまうと。それは問題があるのではないかと。
【知事】そんなことないでしょう。選挙で選ばれた知事ですから。
本当言うと、都議会の選挙と知事の選挙、一緒にやったら一番好ましいんだ。その結果、私は別に、どの政党にも属しておりませんけれども、どの政党が1位なのか、2位なのか分かりませんが、それも1つの争点になり得ると思いますけれども、いずれにしろ、ちょっと2年のギャップがあるわけだから、2つの選挙の間に。
ただ、私は選ばれた者として、私の所信で、行政の最高責任者として、自分の信じたことをやるしかない。そのために、緻密なデータを集めて、科学的な冷静な判断をして事を決めます。
請願は請願で結構でしょう。それは何万人も何百人も、たくさんの人がいるんだから、そういう意見があるでしょうけれども。八ツ場を進めるべきだという請願があるかもしれない、ないかもしれない。そういったものに、一々振り回されるわけにいかない、行政というのは。だから、首長というのは選ばれて出てくるわけで。
【記者】ただ、一方で、議会と首長というのは、チェック・アンド・バランスの関係があってしかるべきだと思います。
【知事】そうですよ。議会はチェック・アンド・バランスの機関ですよ。
【記者】その時にフィルターとなって、行政が裁量によって、委員会の中で既にスタンスを決めていたというのは、問題ではないかと思うのです。
たとえ、そういったことが継続的に行われてきたとしても、少なくとも知事には、議会の構成が変わったということを勘案して、その重大性というものを勘案した上で知事に報告を上げるべきだったのではないかと思うのですが。
【知事】それは、請願を受けた理事者の判断の問題でしょうけども、羅列された何十項目の請願を一々、目通すわけにいきませんし。議会で、それがどういう形で問題になるか、これも、重要な案件によって、条例が変わってくることもあり得るでしょう。民主党も第一党になりましたが、あくまでも是々非々でいくと言っているから、それでいいんじゃないですか、是々非々でやったら。
【記者】請願についても、今後も、もう少し考えを、都民もですが、行政も政治家も考えていく必要があるのではないかなというふうに、ちょっと今回の件で思ったのですが。つまり、国会では、請願は審議さえしないんです。都議会ではしっかりと審議がされていたと。そのことは非常にいいなと思ったのですが、その請願の扱いというのは、やはり請願の署名を……。
【知事】断っておくけれど、請願は請願で1つの価値観にのっとったあるグループの意思表示でしょう。それを採択した政党が第一党であろうと、それを全てもって、私は、都民全体の意思とは思いません。決めるのは、議会であり、そこの討論であり、最後にそういったものを判断するのは、首長の責任じゃないでしょうか。そういうもんです、政治家というのは。
【記者】最後の1点……。
【知事】もういいよ。君のキャンペーン聞いてもしようがない。