川辺川ダムの水没予定地を再生させるために

 わが国の長期化したダムの双璧とされてきた東の八ッ場ダムと西の川辺川ダムは、昨年の総選挙で民主党がマニフェストに中止を掲げて一躍注目を浴びましたが、その後の経過は大きく異なります。
 川辺川ダムは、一昨年の2008年、熊本県知事がダム計画の白紙撤回を訴えたため、政権交代後、ただちに中止が決定し、ダム中止後の再生が主要課題となっていますが、八ッ場ダムの場合は関係都県が首都圏一都五県にまたがり、しかもすべての都県が依然としてダム推進のため、ダムの関連工事は進むものの、膠着状態のまま地域の再生が棚上げされているからです。
 解決に向けて大きく動き出した川辺川ダムの予定地ですが、問題が山積しているのも事実です。ダム中止がかなり以前から視野に入っていながら、水没予定地では住民の代替地への転出が進み、殆どの木々が伐採され、国が補償金と引き換えに住民から買い上げた荒涼とした国有地が広がっています。具体的な問題解決のために、ダムに反対してきた市民運動と現地住民との交流が始まっています。

2010年8月30日 西日本新聞より転載
◆http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/194065

 -川辺川ダム 反対派シンポに五木村長 「現状に不満」と協力要請ー

国営川辺川ダム計画の反対派で組織する実行委員会が主催する「清流・川辺川現地調査」のシンポジウムが29日、相良村の総合体育館であり、県内外から約200人が参加した。水没予定地を抱える五木村の和田拓也村長もパネリストの1人として登壇し、地域再建への協力を求めて訴えた。

 和田村長は「ダムが中止になりつつある中、移転前の生活を懐かしむ声が上がっている」と発言。「水没予定地の住民は1世帯を除き、国、県との約束通り移転したが、道路整備など移転補償事業が約400億円分残っており、不満がある」と現状を説明した。

 これに対し、会場からは「国有地になった水没予定地が村の再建に使えるように、私たちも国に提言したい」などの声が上がった。

 シンポの冒頭、実行委メンバーで「子守唄の里・五木を育(はぐく)む清流川辺川を守る県民の会」の中島康代表は、和田村長の出席を「五木村とダム反対派の意見がことごとく対立する不幸な時期もあったが、大きな転換点になると思う」と歓迎。閉会後、和田村長は「ダム計画は法的に生きているという村の姿勢に変わりはない。しかし、村の現状を知ってもらって有意義だった」と話した。