五木村の川辺川ダム予定地では、ダム論争が続いている間に、水没予定地の家屋が移転し、木々が伐採されてゆきました。ダムの中止が正式に決定したときには、荒涼とした水没予定地の景色が、取り返しのつかないことが行われたことを無言で語っていました。けれども、今、五木村では、脱ダムをテコに地域の再生をめざす試みが注目され、かつてない賑わいが生まれているということです。遠く関東からも、五木村の皆さんのご努力にエールを送りたいと思います。
もともとが観光地であった八ッ場ダム予定地は、紅葉シーズンを迎えようというのに、今もダム計画の中でがんじがらめです。八ッ場ダム予定地がダムの呪縛から解放され、活気を取り戻す日が来ることを多くの観光客が待ち望んでいます。
★2010年9月24日 西日本新聞より転載
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/199303
ー「脱ダム」で観光客倍増 五木村 知事表明で一気に注目ー
川辺川ダム計画の水没予定地を抱える熊本県五木村の観光客数が、2008年9月の蒲島郁夫知事のダム反対表明を機に急増し、年間でみると表明以前に比べて倍増したことが分かった。村は「ダム問題で五木村の存在がクローズアップされ、現地を見たいという人が増えた」としている。
村は、民宿の宿泊者数と「道の駅」のレジ通過者を指標とする日帰り客数を合計して観光客数を算出している。知事の反対表明前の07年は、観光客数が約7万6千人だった。それが08年は約12万1千人、09年は約14万人と飛躍的に伸びた。
08年は蒲島知事が9月の県議会で、初めて国にダム計画の白紙撤回を求めた。09年9月には民主党政権が発足し、前原誠司国土交通相(当時)が同ダムの建設中止を表明。新政権が川辺川ダムを全国のダム事業見直しの「モデルケース」と位置付けたことで、一気に注目が集まったという。
観光客の増加傾向は今年も続いており、1-6月の実績は前年同期比49%増の約6万6千人。五木村はもともと紅葉の名所として知られ、秋以降の観光客が多いため、09年の実績を上回ることが確実視されている。日本一の清流・川辺川や「五木の子守唄発祥の地」を売り物に、旅行会社が企画するバスツアーも動員に拍車をかける。
村は08年に村外の人を対象に「五木村ファンクラブ」(会員約500人)を組織して観光情報の提供を始めた。熊本県が村再建のための基金(10億円予定)を設け、新たな祭りやイベントの開催を支援していることも、観光客増の背景にあるとみられる。