ダム検証の基準と手順が決定

2010年9月28日
 昨日、第12回「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」が開かれました。これまでの経過を大まかに振り返ります。

 有識者会議は昨年12月、前原前大臣によって設置され、7月にダム検証の基準と手順の中間取りまとめ案が公表されました。国交省では中間とりまとめ案の意見募集(パブリックコメント)を8月15日まで実施し、昨日の有識者会議で修正案を公表しました。結局、この修正案が馬淵大臣に提出され、八ッ場ダムを含む全国のダムの検証に際しての基準と手順がこれに基づいて実施されることが決定しました。

 有識者会議については設立当初から、メンバー(有識者)が実質的には河川官僚の意見によって決定したこと、ダムのマイナス面やダムによらない治水策を訴えてきた有識者はメンバーに入れられなかったことから、この会議にダムの検証基準作りを委ねることには大きな問題があるとの指摘がありました。さらに、会議がすべて非公開で行われてきたこと、議事録の公表が遅いこと、議事録では発言者の氏名が伏せられていることなど、議論の進め方が透明性を欠き、責任をうやむやにしているなどの指摘もありました。
 今年7月に公表された中間取りまとめ案については、各紙社説、市民団体など各方面から、本当にこの案でダム見直しの政策が進むのかと疑問が投げかけられました。今夏、パブリックコメントを募集したものの、中間取りまとめ案から修正された箇所は、ダム見直しを求める意見を反映したものではありません。他のダムに先駆けて10月1日より始まるとされる八ッ場ダムの検証作業は、ダムを推進してきた国交省関東地方整備局によって行われます。
 今後、検証作業がどのように進められるか、注視してゆく必要があります。

 
~国交省ホームページより~
●これまでの有識者会議の議事要旨、配布資料など
http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/tisuinoarikata/index.html

●検証対象ダムのリスト(2010年9月27日記者発表資料/添付資料その1)
http://www6.river.go.jp/riverhp_viewer/entry/resource/y2010e484304da38686695132a700aec4be07f04b5352c/%E6%B7%BB%E4%BB%98%E8%B3%87%E6%96%99%EF%BC%91.pdf

 ・検証対象となる国直轄ダム事業・・・25事業
 ・事業主体が関東地方整備局である事業・・・八ッ場ダム事業、霞ヶ浦導水事業

●ダム事業の検証に係る検討に関する再評価実施要領細目(2010年9月27日記者発表資料/添付資料その2)
http://www6.river.go.jp/riverhp_viewer/entry/resource/y2010e484304da38686695132a700aec4be07f04b5352c/%E6%B7%BB%E4%BB%98%E8%B3%87%E6%96%99%EF%BC%92.pdf

●意見募集の結果と国交省の回答
http://www6.river.go.jp/riverhp_viewer/entry/resource/y2010e0eeded740844a5f1cdef1eb0a44d653c9c9f7d65/%E8%B3%87%E6%96%99%EF%BC%92%E3%80%80%E6%84%8F%E8%A6%8B%E5%8B%9F%E9%9B%86%E3%81%AE%E7%B5%90%E6%9E%9C%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6.pdf

 全83ページの情報は、膨大でよほどダム問題に詳しい人でないと、一体何が主な論点なのか、わかりづらいです。一般意見402(個人314、団体88)、意見照会58機関とありますが、寄せられた意見(のべ2,885件)を国交省の事務方が整理し、まとめて回答を並べており、パブリックコメントの全貌は必ずしも明らかではありません。

●中間取りまとめ(修正案)・・・全73ページ
http://www6.river.go.jp/riverhp_viewer/entry/resource/y2010e0eeded740844a5f1cdef1eb0a44d653c9c9f7d65/%E5%8F%82%E8%80%83%E8%B3%87%E6%96%99%EF%BC%93%E3%80%80%E4%B8%AD%E9%96%93%E3%81%A8%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%A8%E3%82%81%EF%BC%88%E4%BF%AE%E6%AD%A3%E6%A1%88%EF%BC%89.pdf

★関連記事を転載します。

●東京新聞社会面 2010年9月28日
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2010092701000856.html
ーダム検証基準を正式決定 国直轄は八ツ場が皮切りー

 国土交通省の有識者会議(座長・中川博次京大名誉教授)は27日、全国83ダム事業の必要性を検証するための判断基準を正式にまとめ、馬淵澄夫国交相に手渡した。また国交省は同日、八ツ場ダム(群馬県)建設の是非を検証する「検討の場」の初会合を10月1日に都内で開くと発表。国直轄ダム事業では初めての検証スタートとなる。

 有識者会議は7月中旬に判断基準案をまとめ、これまで意見公募を実施していた。延べ2885件の意見が寄せられ「ダムを推進してきた事業者(国、自治体)が、検証主体となるのは不適当」などの声もあったが、判断基準はほぼ原案通り決定された。

 今後、判断基準に照らし国直轄の30事業は国が、国から補助を受ける53事業は事業主体の地方自治体が検証する。馬淵氏は「今後は個別(ダムの)検証に入る。各地方整備局や都道府県に指示、要請したい」と述べた。有識者会議は今後、個別のダム検証で提示される治水対策などの疑問点にも対応する。
(共同)

●東京新聞群馬版 2010年9月28日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/20100928/CK2010092802000067.html
ー国交省 『検討の場』を設置ー

 国土交通省は二十七日、八ッ場(やんば)ダム(長野原町)の再検証に向けて、ダム事業に参画する流域六都県などの声を聴くための「検討の場」を同日付で設置したと発表した。十月一日に、東京都内で事務レベルによる幹事会の初会合を開く。

 検討の場は、国交省関東地方整備局が主体となって実施する再検証の経過を報告し、各都県知事などから意見を聴取する組織。幹事会の初会合には、同整備局や各都県の部局長級職員が出席。知事らが出席する本番の会合に向けて、同整備局が再検証の基本方針を説明する。

 八ッ場ダムについては、前原誠司前国交相が「中止の方向を持ちながら予断なく検証する」と断言。馬淵澄夫国交相も前原氏の方針を踏襲した。一方、流域六都県などはダム建設中止に猛反対しており、再検証の作業は難航が予想される。 (中根政人)

●毎日新聞東京朝刊 2010年9月28日
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20100928ddm008010066000c.html
ー治水対策:脱ダム、立案開始へ 事業検証手順を決定--有識者会議ー

 国土交通省の「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」は27日、ダム事業の検証手順を決定し、馬淵澄夫国交相に提出した。事業主体の国交省地方整備局や道府県が、川から水があふれることも想定した治水手法を含むダムなし治水策を立案し、コスト最重視でダム事業と比較する。

 国交省関東地整は同日、10月1日に八ッ場(やんば)ダム(群馬県)の検証作業の事務会議を開催することを決め、「できるだけダムに頼らない治水策」の立案が順次始まる。

 検証手順は7月に示した中間とりまとめ案に意見公募を経て決定。事業主体が検証結果を国交省に提出する報告書の構成例として(1)検証過程の概要(2)現行の治水・利水策などの概要(3)進ちょく状況を含む検証対象ダムの概要(4)ダムなし治水策などと比較し、対象ダムに下した総合評価(5)関係者の意見(6)対応方針--の6項目を示した。評価に至った理由の明示も求めた。

 さらに検証結果を受け、国と水資源機構が事業主体の直轄ダムの継続・中止や、国の補助で都道府県が建設する補助ダムへの補助金交付などについて、国交相が最終判断する時期を「概算要求など予算措置を講じるうえで適切な時期」とした。

 直轄ダムの奥間ダム(沖縄県)は、8月に県が国に建設中止を要請、既に中止が決まっている。このため83事業(84施設)が検証対象となる。【石原聖】

●毎日新聞群馬版 2010年9月28日
http://mainichi.jp/area/gunma/news/20100928ddlk10010129000c.html
ー八ッ場ダム・流転の行方:「検討の場」設立 関係自治体で構成 /群馬ー
 ◇来月1日に幹事会
 国土交通省関東地方整備局は27日、八ッ場ダム建設問題を巡り、関係自治体を交えた「検討の場」を設けると発表した。関係1都5県知事と流域9区市町長で構成し、10月1日に各自治体の担当部局長による幹事会初会合を東京都内で開く。前原誠司前国交相が八ッ場ダムの建設中止を表明してから1年余。検証作業がようやく動き出す。

 「検討の場」には県から、大澤正明知事、新井利明・藤岡市長、高山欣也・長野原町長、中澤恒喜・東吾妻町長の4人が参加。同省の有識者会議が作成した「中間取りまとめ」に即し、ダムの必要性の有無などが議論される。同整備局は、流域住民から意見を聞く「パブリックコメント」を実施したり、学識経験者や利水関係者などからの意見聴取も行う。

 大澤知事は「検討の場」設置にあたり毎日新聞の取材に「八ッ場ダムの建設が硬直している状態は地元としてよくない。関係都県や自治体が連携し、ダムの必要性を証明したい」と話した。【奥山はるな】

●朝日新聞社会面 2010年9月28日
ー八ッ場ダム検証 来月1日初会合 国と流域6都県
 
 国土交通省は27日、八ッ場ダム(群馬県)の建設継続か中止かを国と流域6都県とが話し合う初会合を10月1日に開くと明らかにした。個別ダムを検証する基準もまとまり、政権交代から1年を経て全国84ヶ所のダムの見直しが各地で本格的に動き出す。
 同省の有識者会議が27日に馬淵澄夫国交相に提出した提言によると、見直し作業を進めて結論を出すのは、八ッ場ダムのような国の直轄ダムでは国、道府県が事業主の補助ダムでは道府県と明示した。国や道府県は必ず、ダムの受益地や予定地の自治体と議論する場を設け、その議論は公開する。また、河川法に準じて公聴会を開くなどして住民や学識者、首長らの意見を聴く手順を踏むよう求めた。 八ッ場ダムの場合、東京、埼玉、群馬、千葉、茨城、栃木の6都県の知事に加え、地元の群馬県長野原町や、東京都江戸川区など6都県が推薦した流域9区市長の首長も議論のメンバーとした。10月1日の初会合は都内で開かれ、国と6都県の担当者が見直し作業の手順や手法について認識を共有する。
 石原慎太郎都知事ら6都県側は7月、国が早期に検証を終わらせると確約するまで今年度の負担金を支払わないと表明している。一方、馬淵国交相は結論を出す時期について、「現時点でいつまでと示すものではない」と明言を避けている。(歌野清一郎)