6都県負担金留保で年明け予算ゼロ

2010年11月12日
 昨日国土交通省が八ッ場ダム検証作業の関係都県との「検討の場」幹事会の第二回会合を開きました。
 河川官僚のコントロール下にあるこの「検討の場」は、八ッ場ダム事業推進のための装置として大きな役割を果たしています。八ッ場ダムの治水目的の根拠となってきた「基本高水」の計算根拠がいい加減であったことが明らかになり、馬淵大臣は再計算を指示しましたが、これまでダム計画ありきで数字をでっち上げてきた国交省河川局の信頼が失墜した中で、河川局の新たな計算結果が信用を得られるとは考えにくい状況です。
 関係都県の中では、東京都が都議会の水需要予測の見直しを求める決議を無視して、従来の過大な水需要予測に基づいた「水需要」を主張しています。八ッ場ダムの必要論を主張し続ける関係都県知事の政治的な思惑は、関係都県住民の八ッ場ダムについての考え方とは乖離したものです。
 今回の幹事会では、ダムが造られるとの確証がなければ負担金を払えないという石原都知事らの意見を受けて、国土交通省が6都県が負担金を留保し続ければ、年明けには八ッ場ダムの予算はゼロになることを明らかにしました。政権交代後の地元住民、関係都県知事らのダム中止方針に対する反発は、裏を返せば地元の推進派住民や関係都県と連携している国土交通省河川局による反発と見られますが、表に顔を出さない官僚の巧妙な働きが実態をわかりにくくしています。今回の負担金枯渇の問題も、新たな難題により民主党政務三役に河川局が揺さぶりをかけていると見られます。八ッ場ダム事業の資金がショートすれば、また地元住民を前面に押し出して、民主党政権への非難の大合唱が演出されることになるでしょう。民主党政権が本当に国民のために八ッ場ダム問題を解決する意志があるのなら、組織防衛を目指す河川局の思考回路から自由になる必要があります。
 関連記事を転載します。

◆2010年11月12日 朝日新聞群馬版より転載
http://mytown.asahi.com/gunma/news.php?k_id=10000581011120001

ー「水需要に変更ない」5都県が国に回答ー

 全国84のダム事業見直し作業の第一弾、八ツ場ダムの検証に関する国土交通省と関係6都県の部局長級の2回目の会合が11日、東京都内であった。治水のみで受益する栃木県を除き、ダムの水を利用する「利水」でも恩恵を受ける5都県は「水需要は現行計画通りで、ダム事業に引き続き参加する」と国へ回答。これまで通りダム建設を求める立場を強調した。

 会合では、馬淵澄夫国土交通相が6日に現地を訪問した際、検証結果を来秋までに出すと明言したのを受け、検証主体の国交省関東地方整備局が今後の利水、治水両面の検証の進め方を説明した。

 利水面の検証のベースとなる各都県の八ツ場ダム関連の水需要について、整備局が10月末までに各都県に確認。最も多い埼玉県が秋と冬に毎秒9・25トン、東京都が通年で5・22トン、群馬県が秋と冬に2・35トン……など、どの都県も引き続き「現行計画通りの水量が必要」と回答した。

 これに対し、ダムの見直しを求めてきた専門家や市民団体は「首都圏は水余りで、新たな水源開発は必要ない」などと主張している。

 整備局は9日付で各都県に対し、利水計画の再確認と、代替案の検討を要請した。都県側の回答を得たうえで、整備局が各都県の長期計画などに見合っているかを確認し、水需要が妥当かどうかを検討する。さらに整備局でも代替案を作成し、利水上、八ツ場ダムが必要がどうかを検討することにしている。

◆2010年11月12日 東京新聞群馬版より転載
http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/20101112/CK2010111202000100.html
ー八ッ場ダム再検証 来年1月にも事業費不足 国、負担金で6都県に要求ー

 八ッ場(やんば)ダム事業に参画する流域六都県が、本年度の事業負担金の支払いを留保している問題について、国土交通省関東地方整備局は十一日、六都県から今後も負担金の支払いがない場合、来年一月上旬にも本年度のダム事業費が財源不足に陥るとの見通しを明らかにした。同整備局は、十二月上旬までに負担金支払いの意思を明確にするよう各都県に求めた。 (中根政人)

 この日は、八ッ場ダムの再検証について国と六都県が事務レベルで協議を行う「検討の場」の二回目の幹事会を東京都内で開催。群馬県の川滝弘之県土整備部長が「ダム事業費は国が四割、地方が六割の負担になっている。現状で、国費はいつ不足するのか」と質問したのに対し、同整備局の担当者が答えた。

 財源不足になった場合の対応について、同整備局は「現状では答えることができない」と回答を避けた。

 ダム本体工事が“凍結状態”の現状では、ダム事業費は、水没対象地区住民の生活再建事業のみに使われ、財源不足は事業の進行を遅らせかねない。同整備局によると、九月末現在で執行された本年度の事業費は46%にすぎない。だが、東京都の石原慎太郎知事や埼玉県の上田清司知事は、支払い留保の解除は「ダム本体建設」が条件と強調。国との対決姿勢を鮮明にしている。

 群馬県の大沢正明知事は「(ダム中止前提の撤回に関する)馬淵澄夫国交相から各知事への明確な説明が必要」としながらも、支払い留保解除への期待感を示している。

ー利根川の最大流量 『新たに計算モデル構築』ー

 国土交通省関東地方整備局は、十一日に開かれた八ッ場ダム再検証に関する「検討の場」の幹事会で、馬淵澄夫国交相の指示に基づき、来年秋を目標に同ダムの是非に関する再検証作業を終了させると明言した。ダム建設の根拠となっている利根川の最大流量(基本高水)についても「ゼロベースで新たな流出計算モデルを構築する」として、再計算を行う方針を示した。

 基本高水については、計算根拠となる雨量や流量のデータなどに加えて、これまで「構想段階の洪水調節施設が特定される」として非公開としてきた流域の分割図やモデル図についても「新規に作成し公開する」とした。

 一方、治水代替案の策定や現在のダム事業との比較など、再検証に関する個々の作業をどの程度の期間をかけて行うかは明らかにしなかった。出席した流域六都県の担当者らは「ダム本体建設が大前提」として、再検証を短期間で完了させるよう主張。計画通り二〇一五年度までのダム完成を求めた。 (中根政人)

◆2010年11月12日 下野新聞より転載
http://www.shimotsuke.co.jp/news/tochigi/local/news/20101111/413834
ー八ツ場ダム負担金、12月上旬までの意思表示を要請 6都県に国交省ー
 国土交通省関東地方整備局は11日、本県など6都県が参画する八ツ場ダム(群馬県長野原町)の事業継続の是非を検証する「検討の場」第2回幹事会を都内で開いた。同整備局は6都県が本年度の負担金支払いを留保している問題で、「1月上旬に資金が枯渇する可能性が高い」として、12月上旬までに支払いの意思を明確にするよう求めた。

 群馬県の担当者が「今は国費しかない状況で(生活再建にかかわる)仕事をしている。資金ショートはいつごろになるのか」と質問。同整備局側は「事務手続きを考慮すると、12月上旬ぐらいまでに負担金支払いの意思を明確にしてもらわないと、(1月上旬に)間に合わなくなる」と理解を求めた。

 馬淵澄夫国交相が来年秋までに検証の結論を出すとしたことに関しては、埼玉県や東京都が「各作業項目に要する期間、実施時期を決めてほしい」と要望。本県の池田猛県土整備部長は「基本高水(利根川の基準点を流れる最大流量)が見直しになった際、費用負担まで影響するのか。また工学的定数の見直しがある中、われわれは地方議会で説明する必要がある。国は分かりやすく説明する工夫をしてもらいたい」と述べた。

 同整備局側は「個別具体的な詳細なスケジュールは今の段階では示せない。基本高水も現在、検証している段階」と踏み込んだ回答を避けた。