八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

川原湯移転代替地の耐震工事

 国交省が川原湯地区の打越代替地の補強工事を行うというニュースが流れています。
 八ッ場あしたの会では11月4日に、「国交省の計算は地下水の存在なしとした計算であり、安全基準を充たしていないので、新たな調査と対策を求める」という趣旨の要請書を国交大臣に提出しています。川原湯地区の代替地である打越代替地の第二期分譲地の安全率は、補強工事によって0.989から1.03に上がるとされています。しかし、地下水の存在を考慮すれば、安全率は約25%低下しますので、基準1を大きく下回り、補強工事後も大地震時の崩落の危険性が残ることになります。

★国土交通省関東地方整備局 記者発表資料より一部転載
http://www.ktr.mlit.go.jp/yanba/kisya/h22/h221203.pdf

平成22 年12 月3 日(金)

国土交通省関東地方整備局
八ッ場ダム工事事務所

記者発表資料

 八ッ場ダム代替地の補強対策工事に着手します

 八ッ場ダム建設事業に伴う代替地の安全性について、安定計算の結果の一部に誤りがあることが判明したため、11 月2 日、群馬県へ安定計算結果の再提出を行ったところですが、今般、補強対策工事としての押え盛土工の詳細な検討・設計が終了し、補強対策工事を実施することとなり、この内容について、別添のとおり群馬県へ報告しましたのでお知らせします。
 今後は、当該代替地の補強対策工事を今年度内に完了させる予定であり、補強対策後の代替地の形状等を条件とした安定計算を速やかに行った上で、その結果を、宅地造成等規制法に基づく「造成宅地防災区域」の指定権者である群馬県へ報告し、改めて当該代替地が同区域の指定基準に該当するか否かの判断を仰ぐこととしています。

(参考)
 実際の現場においては、土質定数などの物性値などがバラツキを有するため、安定性については、安全率1.0を境にして「安全」または「危険」に区分されるという不連続な事象ではなく、安全率が上がれば破壊確率が減少するという連続的な事象であると解釈することが一般的です。

発表記者クラブ
竹芝記者クラブ、神奈川建設記者会、横浜海事記者クラブ、刀水クラブ、吾妻記者クラブ

問い合わせ先
国土交通省 関東地方整備局 八ッ場ダム工事事務所
副所長 徳道修二(とくみちしゅうじ)
事業計画課長 石田和也(いしだかずや)
TEL 0279-82-2311(代表)

別添 八事計第2 0 号
平成22 年12 月3 日

群馬県県土整備部建築住宅課長 様
国土交通省関東地方整備局
八ッ場ダム工事事務所長

八ッ場ダム建設事業に伴う代替地の補強対策工事について(報告)

 平成22年11月2月付け「八ッ場ダム建設事業に伴う代替地の安全性についての再提出について」において、安定計算結果の再提出を行ったところですが、今般、補強対策工事としての押え盛土工の詳細な検討・設計が終了し、補強対策工事を実施することとなりました。この内容を別紙の
とおり報告します。
 なお、今年度内に当該代替地の補強対策工事を完了させる予定であり、補強対策後の代替地の形状等を条件とした安定計算を速やかに行った上で、その結果についても県へ報告します。

—転載終わり—

◆2010年12月04日 朝日新聞群馬版より転載
http://mytown.asahi.com/gunma/news.php?k_id=10000581012040001

 移転代替地 耐震工事に着手へ

 八ツ場ダム(長野原町)建設に伴い、水没地区の住民らの移転先となる代替地の一部が震度6~7程度の大地震で崩落する恐れがある問題で、国土交通省は3日、対策工事に着手すると発表した。年度内に工事を終える予定。

 対策工事が行われるのは、川原湯地区の打越代替地の一部で、70メートル超の高さに土を積み上げた斜面になっている。下部に、新たに土を盛ったり石を積んだりして耐震性を確保するという。

 宅地造成等規制法は、盛り土の量や斜面の角度などを計算して耐震強度を確保するよう定めている。県が昨年2月、代替地を造成した国交省に計算結果などの情報提供を求め、国交省は今年8月に「問題なし」と回答し、県も9月に追認。その後、コンサルタント会社の再計算で誤りが発覚した。

 一方、ダム計画の見直しを求めてきた市民団体「八ツ場あしたの会」などは、耐震性にかかわる代替地の地下水の調査が不十分だとして再調査を求めているが、国交省は応じていない。

(写真)耐震性に問題があった川原湯地区の移転代替地の斜面=11月、長野原町

◆2010年12月4日 毎日新聞群馬版より転載
http://mainichi.jp/area/gunma/news/20101204ddlk10010238000c.html  

 八ッ場ダム・流転の行方:移転代替地、年度内に補強工事 /群馬
 
 八ッ場ダム問題を巡り、水没予定地の住民が移転する代替地の一部で土砂崩れの危険性が判明した問題で、国土交通省八ッ場ダム工事事務所は3日、補強工事に着手すると発表した。今年度内の完成を目指すという。
 
同事務所によると、補強工事を行うのは「川原湯地区打越代替地」の一部。約1万立方メートルの盛り土により、安全率は基準をクリアするという。
 
この問題を巡っては地盤の安全性を計算する際にデータを入力ミスした。再計算した結果、安全率の最低値が基準の1・0を下回る0・989となっていることが判明した。【鳥井真平】

http://mainichi.jp/area/gunma/news/20101204ddlk10010238000c.html