長野原町議会、あしたの会のシンポに登壇した町議に不信任決議

 12月10日、八ッ場ダム予定地の地元自治体である長野原町議会では、11月21日にあしたの会のシンポジウム(東大弥生講堂で開催)に登壇された牧山明町議に対して、シンポに登壇したことを理由に不信任決議を可決しました。

 長野原町議会では、八ッ場ダムを推進してきた自民党に所属する議員が多数を占めており、政権交代後はこれまでにも増してダム推進が強く唱えられてきました。半世紀以上地元を苦しめてきた八ッ場ダム計画には様々な問題がありますが、町議会ではそれらの問題が取り上げられることはめったにありません。こうした中、牧山町議は、八ッ場ダムを推進するだけではダム予定地住民の生活再建と地域の再生は実現しないとして、八ッ場ダム事業における地滑り対策やダム本体工事費が圧縮されてきた問題、道路や橋の建設は進むものの実際の住民の生活再建・地域振興策は滞っているなどの問題をたびたび取り上げてきました。あしたの会の集会には、八ッ場ダム問題について幅広い情報を得てよりよい町政を考えたいという立場で参加され、シンポジウムでは、八ッ場ダムを巡る政策が停滞する中、住民の皆さんがいかに厳しい状況にあるかを訴えられました。

 こうした勇気ある行動をとってきた牧山町議に対しては、これまでも八ッ場ダムの推進側から様々な圧力があったことと思います。昨秋、政権交代後の混乱の中で、ダム推進の長野原町民の声ばかりがマスコミで紹介されたのも、こうした地域の空気と無関係ではありません。大きな政策転換に対して、これまで犠牲となってきた住民の方々から不安や怒りの声があがるのは当然のことですが、現在のダム事業による地元の犠牲が一切語られず、ダム推進を望む声ばかりが聞こえるのは異常です。
 地元の当事者の方々が、八ッ場ダムを政争の具とする推進側の圧力から一刻も早く解放され、自ら生活再建、地域の再生を目指すことが可能となる日が来ることを祈ります。

 関連記事を転載します。

◆2010年12月11日 朝日新聞群馬版より転載
http://mytown.asahi.com/gunma/news.php?k_id=10000581012110001

 長野原町議会、常任委員長に不信任決議

八ツ場ダム見直しを掲げる市民団体のシンポジウムに参加した常任委員長の不信任決議をした町議会(町役場の2階)=長野原町

 八ツ場ダムの地元・長野原町の町議会は10日、総務文教常任委員長を務める議員に対する不信任決議案を、出席議員の全会一致で可決した。ダム見直しを掲げる市民団体が主催したシンポジウムに議員として参加したというのが理由。この議員は「議員活動を制約するものだ。異論の排除はおかしい」と委員長を続ける意向だ。(菅野雄介)

 町議会は昨年9月にダム推進の意見書を鳩山由紀夫首相(当時)らへ提出するなど、ダムの早期完成を求めてきた。決議ではシンポへの参加を「枠組みを壊す行動」と非難しているが、決議に拘束力はない。

 不信任決議を出されたのは、牧山明氏(53)=2期目、無所属。昨年5月から委員長を務めている。「生活再建とダム推進は別問題」などとしてダム推進の意見書採択に反対するなど、ダム建設には以前から批判的だった。

 この日の町議会では不信任決議の提案後、牧山氏が「昨年9月の政権交代以来、国との交渉や生活再建の進め方についての本会議での議論は全くなかった」などと町議会の体質を批判した。

 他の議員からは「町の(ダム推進の)意向と反した会に町議として出席したことが問題」などと反論が出た。竹内良太郎議長と牧山氏を除く議員8人で採決し、全員が不信任案に賛成した。

 牧山氏は昨年12月、高崎市であった市民団体「八ツ場あしたの会」主催の「八ツ場のこれからを考える~ダムなし生活再建への道」と題したシンポにパネリストとして出席した。移転代替地の工事の遅れなどで苦悩する住民の窮状を訴えた。

 その後、竹内議長が「今後も町議の肩書で参加した場合は委員長を辞めてもらう。参加するなら一町民として参加すべきだ」と警告した。

 しかし牧山氏は今年11月にも、同会が東京で開いたシンポ「八ツ場ダムはどうなるのか~明日のために必要なこと」に町議として参加。川原湯地区での生活再建の遅れや農業再生の取り組み、地滑り対策への不安などを紹介、「国や県は地元の生活再建に責任を持ってもらいたい」と話していた。

 取材に対し、ある議員は「委員長は同僚議員に選ばれた立場。ほかの議員の賛同を得られない行動をとるのはおかしい」と説明。竹内議長は「反対派の集会に出るのは、(町議会の)仲間として残念。決議の前に一身上の都合で委員長を辞めろと、本人のためを思って言ったのに聞かなかった」と話している。

◆2010年12月11日 上毛新聞より転載

 長野原町議会 総務文教委員長の不信任決議案可決 八ッ場ダム問題絡み 本人は続投意向

 長野原町議会は10日、議員動議で提案された牧山明総務文教常任委員長に対する不信任決議案を可決した。法的拘束力はなく、牧山氏は「委員長の職務を全うしたい」としている。
 決議案を発議した町議は、議会が昨年9月、八ッ場ダム建設事業の継続を求める意見書を可決していることを踏まえ、「ダム完成と生活再建の早急な実現のため、議員らが取り組んでいるとき、枠組みを壊す行動をとっている」と提案理由を説明。牧山氏を除いて採決した結果、議長を除く出席議員8人の賛成で決議案は可決された。
 牧山氏が議長らの忠告に従わず、11月下旬に東京で開かれたダム見直し派のシンポジウムに町議として参加、パネリストを務めたことなどが問題視されたとみられる。
 牧山氏は「政治活動は自由であるべきだ。今後も外部の勉強会などに参加して、地滑り対策や早期の生活再建などについて科学的に学んでいきたい」と話している。