2011年1月7日
内閣改造が取り沙汰されています。
昨年11月27日、参議院では仙石官房長官と共に馬淵国交大臣の問責決議案が自民党によって提出されました。問責決議の理由として自民党が掲げたのは、一つは尖閣問題でしたが、もう一つは八ッ場ダム問題でした。
マスコミは次の大臣の名を取り沙汰していますが、馬淵国交大臣が八ッ場ダム問題で責任を問われているのはなぜなのでしょうか。
問責決議案の中で八ッ場ダムに関連する箇所を以下に転載します。
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・・・一方、八ッ場ダムについては、副大臣以来一貫した政策を進めることなく、今日まで迷走を続けた揚げ句、十一月六日建設現場を視察して、「今後、中止の方向性には一切、言及しない。予断をもたずに検証する」と発言されたが、建設するのかしないのか、さらに混乱を与えている。
これまで、ダム建設を理解し、工事に協力して、先祖伝来の土地を離れざるを得なかった現地住民に、前原中止宣言からこの一年余の迷走を何と説明するのか。そして長い間のご労苦に真摯に詫びるべきである。
また八ッ場ダムは関東地方に水道水や工業用水を供給する役割を持ち、工事費を負担してきた関東六都県にも納得のいく説明をすべきである。
馬淵大臣の検証発言は民主党マニフェストの強引な建設中止の事実上の撤回と受け止める。
政権を担って一年余、民主党の選挙公約に如何に無理があるか、ようやく理解し、自らの非を認めた結果である。問題は公約の策定過程で、八ッ場ダムの必要性や現地住民の思いを徹底的に検証したのかということだ。
今回の方針変更はマニフェストが一貫した考えによる政策ではなかったということだ。思いつきの公約を掲げて選挙で訴えたことを深く反省すべきである。
地位が替わって簡単に政策転換をすることは住民無視であり、現地住民の生活、将来の人生設計を翻弄させた馬淵大臣の検証発言は無責任と言わざるを得ない。
昨年11月27日、参議院では仙石官房長官と共に馬淵国交大臣の問責決議案が自民党によって提出されました。問責決議の理由として自民党が掲げているのは、一つは尖閣問題ですが、もう一つは八ッ場ダム問題です。 問責決議案の中で八ッ場ダムに関連する箇所を以下に転載します。 — 一方、八ッ場ダムについては、副大臣以来一貫した政策を進めることなく、今日まで迷走を続けた揚げ句、十一月六日建設現場を視察して、「今後、中止の方向性には一切、言及しない。予断をもたずに検証する」と発言されたが、建設するのかしないのか、さらに混乱を与えている。これまで、ダム建設を理解し、工事に協力して、先祖伝来の土地を離れざるを得なかった現地住民に、前原中止宣言からこの一年余の迷走を何と説明するのか。そして長い間のご労苦に真摯に詫びるべきである。また八ッ場ダムは関東地方に水道水や工業用水を供給する役割を持ち、工事費を負担してきた関東六都県にも納得のいく説明をすべきである。馬淵大臣の検証発言は民主党マニフェストの強引な建設中止の事実上の撤回と受け止める。政権を担って一年余、民主党の選挙公約に如何に無理があるか、ようやく理解し、自らの非を認めた結果である。問題は公約の策定過程で、八ッ場ダムの必要性や現地住民の思いを徹底的に検証したのかということだ。今回の方針変更はマニフェストが一貫した考えによる政策ではなかったということだ。思いつきの公約を掲げて選挙で訴えたことを深く反省すべきである。地位が替わって簡単に政策転換をすることは住民無視であり、現地住民の生活、将来の人生設計を翻弄させた馬淵大臣の検証発言は無責任と言わざるを得ない。国土交通大臣としての重責を全うできない馬淵澄夫君の問責決議案を提出する。 (牧野たかお君外七名発議)
—転載終わり—
ダムを中止することを約束しながら、一年経ってもダムを中止することができないことは地元住民に多大な迷惑をかけている、という趣旨です。
ダム事業の継続が地元住民に多大な迷惑をかけていることは事実ですが、少し八ッ場ダムの歴史を知っていれば、自民党はどうなのかと問い返したくなるでしょう。半世紀前からダムを造ると言い、多数派住民の人権を踏みにじってダム計画を推進し、延々と工事を続けてきた自民党政権の歴代の建設大臣、国交大臣は、今まで誰一人として責任を取ってきませんでしたし、民主党の政権交代が目前になるまで、国交大臣は現地に足を向けることすらありませんでした。自民党政権下の建設大臣の方が民主党の国交大臣より遥かに地元民を見下していたことは明らかです。
民主党政権は2009年の総選挙のマニフェストで八ッ場ダムの中止を掲げましたが、初代の国交大臣である前原大臣は、地元の熊本県が中止を求めている川辺川ダムは中止するものの、関係都県が推進を主張している八ッ場ダムについては、予断なき検証をすると決めました。この決定以来、事実上、八ッ場ダム本体工事の中止は棚上げ状態にあり、馬淵大臣が昨年11月の現地視察の折、「中止については一切言及せず、予断なき検証をする」と発言したことは、現状を説明したにすぎません。
馬淵大臣は八ッ場ダムの検証について、ダムの必要性の根拠とされる数字にデータの裏づけがないことを明らかにし、改めて利根川の治水のデータを検証するよう指示を出しました。こうした動きは、国民の関心の高い八ッ場ダム建設の是非を決めるために必要なことです。
問責決議を提出した自民党は、あたかもダム本体建設の是非が決まらないために地元民の生活が踏みにじられているように主張していますが、生活を踏みにじっているのは八ッ場ダム事業そのものです。
今後、問責決議により民主党政権が国交大臣を交代させ、八ッ場ダムの検証をなおざりにして、馬淵大臣がいうように、御用学者と共に科学的根拠無しにダム建設にゴーサインを出すようなことになれば、国民はこの政権を見放すことになるでしょう。