2011年2月14日
昨日、大畠国交大臣が八ッ場ダム予定地を視察しました。
民主党政権では、これまで前原、馬淵両前大臣が現地視察を行っており、これで三度目の現地視察。国交大臣に就任すると、まずは八ッ場ダム予定地の視察、というのがお決まりのパターンです。マスコミの報道も、民主党政権に地元は態度を硬化させているというお決まりのパターンが繰り返されています。
八ッ場ダムに限らず、政治家の現地視察がよく行われているようですが、国民には一種のパフォーマンスとしか受け取られていません。八ッ場ダム問題に取り組むのであれば、これまで密室で進められてきたダム行政を開かれたものとし、隠してきたデータを明らかにし、地元の生活再建に取り組まなければならないはずですが、そうした動きは一向に見えてきません。
大臣の現地視察では、八ッ場ダムを推進する群馬県知事、長野原町長らに深々と頭を下げる国交大臣の姿が一斉に報道されます。自民党政権下では、このようなことは一度もありませんでした。民主党政権誕生が取り沙汰された政権末期に初めて国交大臣の視察がありましたが、それとて地元に犠牲を強いてきたことに対して、頭を下げるようなことはありませんでした。
大臣が頭を下げている相手は、住民ではありません。八ッ場ダムを推進してきた国交省を始めとする利権構造に対して頭を下げているのです。これでは、ダム問題は解決するはずがありません。
関連記事を転載します。
◆2011年2月14日 朝日新聞より転載
http://www.asahi.com/national/update/0213/TKY201102130125.html
-大畠国交相、八ツ場ダム予定地を初視察 地元からは不満―
大畠章宏国土交通相は13日、就任後初めて群馬県の八ツ場(やんば)ダム予定地を訪ね、大沢正明知事や長野原町の高山欣也町長らと会談した。大畠国交相が地元との信頼関係が損なわれたとして、信頼関係の構築を求めたのに対し、知事や町長からは、ダムを巡る民主党政権の方針のぶれや、ダムの完成が遅れることへの不満が相次いだ。
会談の冒頭、大畠国交相は、馬淵澄夫前国交相が示した(1)「中止」は棚上げして、予断なく検証を進める(2)今秋までに検証を終える(3)生活再建事業は継続――の三つの基本方針は踏襲すると説明。大畠国交相は「(政権交代後)様々な経緯の中で信頼関係が損なわれてしまった。物事を進めるには信頼がなければ進まない。何とか皆様のご理解とご協力を」と求めた。
これに対し、高山町長は、昨年11月に馬淵前国交相が「中止の方向性には今後、言及しない」と表明した直後に、民主党の岡田克也幹事長が「方針の大転換ではない。地元と話し合いをしていくため」と述べた点を指摘。高山町長は「馬淵大臣の表明を岡田幹事長が否定したことで一時喜んだものが暗い気持ちになり、残念ながら国交大臣そのものに信頼をもっていない。中止を撤回すれば、即、信頼申し上げる」と語った。
大沢知事も「多くの地元の方々が苦渋の選択で、移転までしているのを政府はどんな気持ちでとらえているのか、怒り心頭だ。いまの政府は信頼できない」と批判。今秋に工事を再開しても完成が3年遅れ、2018年末になる点についても大沢知事は「今、老舗旅館の休業が相次いでいる。一時が非常に貴重な時間だと頭に入れてほしい」と要望した。
大畠国交相は「私の発言が政府のすべてと受け止めてもらって結構。おしかりは深く受け止めさせていただく」と釈明。会談後、大畠国交相は「信頼を改めて築くスタート地点に立てた」と語った。
◆2011年2月14日 毎日新聞より転載
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20110214k0000m040019000c.html
-八ッ場ダム:大畠国交相が初視察 群馬県知事らと会談―
大畠章宏国土交通相は13日、建設の是非を巡り検証を進めている八ッ場ダム(群馬県長野原町)予定地を就任後初めて視察し、同県東吾妻(ひがしあがつま)町で大澤正明知事や高山欣也・同町長らと会談した。大畠国交相はダム中止方針の棚上げを表明した馬淵澄夫前国交相の路線を踏襲し、地元との対話を進める考えを伝えたが、高山町長は「残念ながら住民は(歴代の)国交相に信頼を持っていない」と述べ、現段階で対話は困難との見方を示した。
09年9月に民主党政権が発足して以来、同ダムを所管する国交相は前原誠司氏、馬淵氏に続き3人目。大畠国交相は会談の冒頭「皆さんから見ると、3人目の大臣で『なんなんだ』という思いがあるかもしれない。(これまでの経緯は)申し訳ないと思う」と謝罪した。
これに対し、大澤知事は「大臣が3人代わり、この間、地元は不安と苦悩の毎日を過ごしてきた」と批判。また高山町長が、政府・与党内で馬淵前国交相の棚上げ方針を覆す発言があったと指摘すると、大畠国交相は「私の発言は現在の政府の発言だ。それが覆ることはない」と述べるなど釈明に追われた。
中止方針の棚上げを巡っては岡田克也幹事長が昨年11月、「方針の大転換を言ったわけではない」と述べるなど政府・与党内で見解が一致しないため、地元は態度を硬化させていた。国交相と地元住民との対話は昨年1月以来行われていない。【鳥井真平】