2011年3月25日
昨日、栃木県が負担金を支払っている思川開発、湯西川ダム、八ッ場ダムの3ダム裁判の判決が宇都宮地裁でありました。
この地裁判決も、これまでの八ッ場ダム訴訟と同様、住民敗訴の結論が先にあり、まともに審理した形跡は見られません。
たとえば、栃木県が使う当てのない思川開発の水源を抱えようとしている問題(その水源を使う水道用水供給事業が存在しない)については、次のように判示しました。
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栃木県が江各市町の要望水量を前提として,地下水利用による地盤沈下や地下水汚染の影響等を勘案して思川開発事業への参画を決定したことについて,裁量権の逸脱又は濫用があったということはできず,また,現段階において,栃木県には未だ思川開発事業から配分された水を各市町に配分するための水道施設計画が存在しないからといって,直ちに水源が不要になったものとして,思川開発事業から撤退するとの判断をしないことについて裁量権の逸脱又は濫用があったとまでいうことはできない。
~~~ 転載終わり~~~
行政が何をやっても裁量権の範囲というもので、無限の裁量権を認める判決です。
国策を巡る裁判は、三権分立とは名ばかりで、司法は行政をチェックするという本来の役目を果たしていません。その結果、使わない水源が開発されて血税が垂れ流され、未来世代が背負いきれない負担を強いられても、司法は頬かむりするだけです。
◆2011年3月25日 毎日新聞栃木版より転載
http://mainichi.jp/area/tochigi/news/20110325ddlk09040229000c.html
-ダム訴訟:住民側が敗訴 地裁「計画不合理でない」 /栃木―
県が群馬県の八ッ場ダム、県内の思川開発(南摩ダム)、湯西川ダムの3事業の建設負担金を支出したのは違法だとして、04年11月に市民オンブズパーソン栃木(代表・高橋信正弁護士)と県内住民が県知事を相手取り、負担金の支出差し止めを求めた訴訟の判決が24日、宇都宮地裁であり、今泉秀和裁判長は原告の訴えを却下、または棄却した。同様の訴訟は6都県で起こされているが、これで各地裁すべての1審判決で原告が敗訴した。原告は控訴する方針。
訴状などによると、原告側は八ッ場、湯西川両ダムについては治水上の、南摩ダムについては治水・利水上の利益が存在せず、公金の支出は地方財政法に違反しているなどと主張していた。今泉裁判長は判決で、「(3事業の前提となる)河川整備方針・基本計画に不合理な点を認めることはできない」と述べ、南摩ダムについても、新たな水源確保は行政の裁量の範囲内と判示した。
判決後、会見した高橋弁護士は「行政の裁量権を不当に広げた判決」と批判。福田富一知事は「妥当な判決」とコメントした。【岩壁峻】