国土交通省八ッ場ダム工事事務所より、川原湯地区の移転代替地の補強対策工事が終了したとの記者発表がありました。
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国土交通省八ッ場ダム工事事務所のホームページより一部転載
http://www.ktr.mlit.go.jp/yanba/kisya/h23/h230420.pdf
平成23年4月20日
記者発表資料ー「八ッ場ダム代替地の補強対策工事が完了しました」
八ッ場ダム建設事業に伴う代替地(川原湯地区)において、昨年12 月3日から補強対策工事を実施してまいりましたが、今般、工事が完了し、別添のとおり安定計算結果を含め群馬県へ報告しましたので、お知らせいたします。
なお、当該地区が、宅地造成等規制法に基づく「造成宅地防災区域」に該当するか否か等については、今後、同区域の指定権者である群馬県が判断することとなります。
—転載終わり—
上記の国土交通省ホームページには書かれていませんが、この補強対策工事は、代替地の盛土部分の耐震計算にミスがあり、群馬県も見逃していたことが明らかになり、昨年12月より川原湯温泉駅前で実施されてきたものです。
3月の東日本大震災では、各地で盛土造成地の地滑りなどの被害が発生しています。↓
2011年4月19日 NHKホームページより転載
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110419/t10015420951000.html
「盛土で造成の住宅地 地盤崩壊」
東北の被災地では、巨大地震や余震の揺れで土砂災害の危険性が高まっていますが、福島市や仙台市などでは、土を盛って造成された住宅地の地盤が崩壊し、専門家は今後の余震で被害が拡大するおそれがあると指摘しています。
地盤災害に詳しい京都大学防災研究所の釜井俊孝教授は、先月下旬から今月にかけて仙台市と福島市で住宅地の被害を調査しました。このうち、福島市郊外の「あさひ台団地」では、国道脇の高台に造成された住宅地の地盤が先月の巨大地震で崩れました。調査の結果、崩壊した地盤は長さおよそ150メートル、幅は最大90メートルに及び、住宅や宅地内の道路が3メートルほど下に落下したり、傾いたりしていました。この付近では、丘陵地の谷を埋めて住宅地が造成されていましたが、かつて谷だったところに地下水が集まり、地震の強い揺れによって滑り落ちるように崩壊したとみられています。造成された住宅地の被害は、これまでに仙台市でも10か所以上で確認され、今後の調査でさらに増える可能性があるということです。釜井教授は「今後も強い余震の揺れで被害が拡大するおそれがある。住宅地では地盤に亀裂ができていないかなどを確認し、雨水が流れ込まないようにするなどの対策が必要だ」と話しています。
— 転載終わり —
八ッ場ダムの水没予定地である川原湯地区などの代替地には、谷を埋めて大規模な造成をした箇所が多数あります。盛り土の規模は30メートル以上に及ぶ高盛り土の場所もあり、他に例のないスケールです。
上記のNHK記事にもあるように、「かつて谷だったところに地下水が集まり、地震の強い揺れによって滑り落ちるように崩壊」する危険性が指摘されていますが、国土交通省の耐震計算は「地下水なし」、「ダム湛水なし」を前提としたものでしかありません。川原湯地区では、川原湯温泉の移転代替地である第三期分譲地は未完成ですが、第一期分譲地と今回耐震補強工事を実施した第二期分譲地はすでに2009年の時点で完成したとされ、多くの世帯が移転済みです。
今回の東日本大震災では、八ッ場ダム予定地の震度は4にとどまり、被害の報告はありませんが、もともと構造が不安定な代替地の安全性については、不安が払拭できる状況ではありません。
京都大学防災研究所斜面災害研究センターのホームページには、NHK記事で取り上げられている災害調査報告が掲載されています。
http://landslide.dpri.kyoto-u.ac.jp/J-RCL.html