八ッ場ダムの検証作業について、国交省関東地方整備局のホームページに、5月20日の記者発表内容として以下のお知らせが掲載されています。
八ッ場ダム建設事業の関係地方公共団体からなる検討の場(第5回幹事会)の開催について
http://www.ktr.mlit.go.jp/kisha/kyoku_00000281.html
開催日時 平成23年5月24日(火) 10時30分から
議事(予定)
・必要な開発量の確認
・利水対策案の概略検討等
開催場所
さいたま新都心合同庁舎2号館5階大研修室5A
住所:埼玉県さいたま市中央区新都心2-1
—転載終わり—
5月19日には参議院国土交通委員会において、八ッ場ダム推進を掲げる上野宏史参院議員(みんなの党)が質問を行ったことを伝える記事が、翌朝の上毛新聞の一面に掲載されました。
◆2011年5月20日 上毛新聞より転載
ー「秋に結論 変わらず」 八ッ場ダム是非で国交相ー
大畠章宏国土交通相は19日の参院国土交通委員会で、八ッ場ダム建設の是非に関する検証作業について東日本大震災後の対応を問われ、「今年の秋までに検証の結論を出すという姿勢に全く変わりはない」と述べ、震災による影響を受けないことを強調した。震災対応を念頭に国が本年度公共事業費の一部を留保することについても、八ッ場ダム関連の生活再建事業には影響がないとの見解を示した。上野宏史氏(みんなの党)の質問に答えた。
震災以降、国と関係6都県が意見を交わす「検討の場」が3ヶ月以上開かれておらず、ダム建設の根拠となる「基本高水流量」の妥当性を検証する日本学術会議分科会の報告も、当初予定より半月ほど遅れる見通しとなっている。
こうした検証作業の遅れを懸念する指摘に対し、大畠国交相は「秋までには結論を出し、可能な限りその予定を前倒しする」としてきたこれまでの日程を守る考えを強調。検討の場については、5月中に開催する方向で6都県と調整していることを明らかにした。
本年度の公共事業費は、被災地の復旧・復興財源に転用することも念頭に、国費の5%分の支出が留保される。津川祥吾国交政務官は「八ッ場ダムの生活再建について、万全を期すという姿勢は変わらない」と述べ、ダム関連の生活再建事業への影響はないとの考えを示唆した。
—転載終わり—
未曾有の大震災を受けて、世論の中には不要不急のダム事業にまわす予算があるのなら、震災復興にまわすべきだという意見が根強くあります。大臣の答弁は、こうした声に耳を貸さず、あくまでダム推進派議員らの要望に応えることを確認したものです。
民主党政権の国土交通省政務三役は、「生活再建事業」を継続することが八ッ場ダム予定地住民の生活再建という責務を果たすことだというこれまでのダム行政に追従しているようですが、これは大いなる欺瞞です。
1994年に始まった八ッ場ダムの「生活再建事業」には膨大な予算がつぎ込まれてきており、ダム予定地周辺の道路整備や砂防工事などは進んでいますが、住民の真の生活再建は置き去りにされたまま、人口の減少、地域の衰退が止まりません。八ッ場ダムの見直しをマニフェストに掲げた民主党政権は、「生活再建事業」がはらむ矛盾を洗い出し、これまでダム事業の犠牲となってきた住民の真の生活再建に資する予算措置を講じるべきでしたが、この間、ダム行政の本質的な見直しに踏み込むことなく利権構造を延命させてきました。
20日の上毛新聞は、上野議員が国会質問を行った19日、ダムの受益者である国会議員らが国会内で集会を開き、八ッ場ダム推進を強くアピールしたことも伝えています。講師に招かれた陣内孝雄氏は、かつて八ッ場ダム工事事務所長として地元民のダム反対の声を抑圧し、その後、建設省河川局長を経て自民党参院議員となりました。
大臣の答弁と国交省関東地方整備局、自民党国会議員らの動きはダム推進の体制が連携がとれていることを示すものです。八ッ場ダム事業の工事現場では、地質の悪条件をおして「生活再建事業」という名の大規模な地形の改変が進められており、将来に亘って災害に脅かされる可能性が高まっていますが、こうした現地における矛盾と国会でのダム推進の動きはまるで別の世界のことのようです。
◆2011年5月20日 上毛新聞二面より一部転載
-陣内元参議員講師に勉強会 八ッ場ダム推進国会議連が会合―
自民党の国会議員による「八ッ場ダム推進と利根川水系の治水・利水を考える議員連盟」(会長・佐田玄一郎衆院議員)は19日、第2回会合を衆院議員会館内で開き・・・(中略)・・・
陣内氏は建設省職員時代に八ッ場ダム工事事務所長を務めた。同ダム建設事業の経緯を解説した上で、利水治水の両面からダムの必要性を説き、「八ッ場ダムの代替案はあり得ない」と訴えた。
出席議員からは「群馬だけでなく東京など下流域の議員が、利水だけでなく治水上の八ッ場ダムの必要性を訴えるべき」「震災が起きたこの時期こそ、国民にダムの重要性を認識してもらいたい」などの意見が相次いだ。