八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

国交省関東地方整備局の会議

 国交省関東地方整備局では、7月19日に関係地方公共団体からなる「検討の場」の幹事会が開催されました。
 この幹事会は、7回目にあたります。国交省関東地方整備局は八ッ場ダムの検証を行うことになっていますが、これまで関係地方公共団体の検討の場を開き、八ッ場ダム推進を主張する各自治体のご意見を拝聴しているだけで、八ッ場ダムが抱える数多くの問題には一切触れていません。

 国交省関東地方整備局のホームページには、これまで7回の会議の資料がアップされています。 http://www.ktr.mlit.go.jp/river/shihon/river_shihon00000160.html

 関連記事を転載します。

◆2011年7月20日 東京新聞群馬版
http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/20110720/CK2011072002000088.html

 -建設想定し治水対策 八ッ場ダム「検討の場」で国提案-

 八ッ場(やんば)ダム(長野原町)の是非に関する再検証について、国とダム流域六都県が事務レベルで協議する「検討の場」の七回目の幹事会が十九日、さいたま市内で開催された。国土交通省関東地方整備局は、同ダム建設を想定した利根川流域の新たな治水対策案を提示した。

 この日から、再検証の核心部分に当たる治水面の有効性についての検討作業がスタート。同整備局は、八ッ場ダム建設に加え、利根川水系の最上流部の奈良俣、藤原両ダムの洪水調節容量の見直しや烏川での調節池整備などを組み合わせた対策が有効と説明した。

 これらの治水対策を実施するなら、利根川の治水基準点・八斗(やった)島(伊勢崎市)で、川が許容できる水量を表す「目標流量」の毎秒一万七千立方メートルが流れた場合、同二千八百四十~五千五百四十立方メートルの洪水調節効果があると試算。八ッ場ダム単体でも同百~千八百二十立方メートルの調節が可能と主張した。

 他に中下流域での堤防強化や川底掘削なども必要とした。今回示された案は、ダム事業を中止した場合の代替治水案と比較検討され、国が八ッ場ダムの是非を判断するための重要な材料となる。

 利水面の検証では、既存ダムの改良や別の河川からの導水などを組み合わせた四パターンの代替案を、八ッ場ダム建設と比較するとしている。 (中根政人)

◆2011年7月20日 上毛新聞
http://www.raijin.com/news/a/2011/07/20/news01.htm

 -烏川合流部に調節池 利根治水で国交省提示ー

 八ツ場ダム建設の是非を決める検証作業で、国土交通省関東地方整備局と本県など関係6都県が意見を交わす「検討の場」の第7回幹事会が19日、さいたま市内で開かれ、整備局側が八ツ場ダムを建設した上で玉村町の烏川河川敷への調節池整備、河床掘削などを進め、目標規模の洪水を防ぐ利根川の治水対策案を説明した。次回以降、この対策案で八ツ場ダムが担う部分をダム以外の手法に置き換えた複数の代替案を示し、コスト、環境への影響などで比較する。

 八ツ場ダムを含む治水対策案は、伊勢崎市八斗島地点に毎秒1万7千立方㍍が流れる規模の洪水を目標に作成した。1万7千立方㍍のうち1万4千立方㍍程度は八斗島下流の河道に流すこととし、そのために必要な整備を河床掘削を基本として進める。

 残りの3千立方㍍程度を八ツ場ダムや烏川調節池など上流で調節し、下流に流れないようにする。既存の6ダムについても治水の比重が大きい藤原ダムの洪水調節容量を増やし、代わりに利水系の奈良俣ダムの洪水調節容量を減らすなど容量配分を入れ替え、現状以上に調節機能を高める。

 烏川調節池の構想は利根川の長期的な治水方針を示す2006年策定の「利根川水系河川整備基本方針」で触れられていたが、具体的な計画は示されていなかった。

 河川法上の河川区域に指定され、現在は玉村町の水辺の森公園や玉村、新玉村の両県営ゴルフ場、埼玉県の上里ゴルフ場などとして使われている烏川両岸の河川敷をそれぞれ堤防で囲んで「玉村第1~4調節池」「上里第1~2調節池」とし、渡良瀬遊水地のように洪水時に水をため込ませ、下流に流れないようにする。

 整備局によると、八ツ場ダムと容量配分を再編した既設6ダム、烏川調節池による流量カット効果はカスリン台風など過去約70年間の代表的な8洪水の降雨パターンで試算した結果、合計で毎秒2840~5540立方㍍。うち八ツ場ダムが毎秒100~1820立方㍍だった。

◆2011年7月20日 毎日新聞群馬版
http://mainichi.jp/area/gunma/news/20110720ddlk10010081000c.html

 -八ッ場ダム・流転の行方:「検討の場」調節試算 建設しない代替案と比較 /群馬-

◇最大毎秒1820立方メートル

 八ッ場ダム問題を巡り、国土交通省関東地方整備局と関係1都5県の担当部長らを交えた「検討の場」の第7回幹事会が19日、さいたま市内で開かれた。同整備局は利根川の治水対策案として八ッ場ダムを建設した場合、最大で毎秒1820立方メートルを調節できるとの試算を示した。今後、ダムを建設しない場合の代替案と比較し、コストや実現性、環境への影響などを総合的に検討する。

 同整備局によると、同ダムの調節能力は1935年以降に発生した大規模洪水の流量(伊勢崎市の八斗島地点)を分析して算出した。

 同整備局は利根川の治水対策の整備にあたり、今後20~30年の目標流量を毎秒1万7000立方メートルと設定しており、同ダムで足りない分は、利根川上流の6ダム(相俣、藤原、薗原、奈良俣、矢木沢、下久保)の洪水調整方式の見直し▽堤防の整備・強化▽河床掘削▽遊水池・調節池の整備--を合わせて行って対応するという。【奥山はるな】

◆2011年7月21日 朝日新聞群馬版
http://mytown.asahi.com/gunma/news.php?k_id=10000581107210001

 -洪水調整の効果「3~51%」-

 八ツ場ダム(長野原町)の必要性を検証している国土交通省は19日、ダム建設の場合の洪水調整施設全体に占める効果量について、3~51%との試算を示した。さいたま市内であった「検討の場」幹事会で6都県に明らかにした。

 利根川水系で戦後にあった八つの大規模洪水で、八ツ場ダムがあったと仮定した治水効果の試算として示された。治水基準点に当たる八斗(やっ・た)島(伊勢崎市)の効果量で、雨が降った地域など洪水によって差がある。

 国交省は「予断を持たずに検証し、今秋に結果を出す」としており、効果量についての評価は控えた。八ツ場ダムを建設せずに代替案を組みあわせた治水効果を次回幹事会に示し、比較・検討する方針。これに対し、都県側は検証作業の早期終結を求めた。