湯西川ダム(栃木県)の地域振興事業

八ッ場ダム予定地の地域振興が行き詰っています。これは八ッ場ダムに限ったことではなく、他のダム事業でも同じことが繰り返されてきました。「ダムで栄えた村はない」と言われるように、ダムを抱える地域に「地域振興」を名目に莫大な税金が投入されるダムの生活再建事業は、実際には地域の振興には役立たないことが殆どです。

 以下の記事は、群馬県の隣の栃木県で八ッ場ダムと共に国交省関東地方整備局が進めてきた湯西川ダム予定地の地域振興事業を取り上げています。

◆2011年7月5日 東京新聞栃木版より転載
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tochigi/20110705/CK2011070502000053.html

 -湯西川 水と歴史に触れる 日光に18日「水の郷」-

 日光市が湯西川ダム建設に伴う水源地域整備事業として建設を進めてきた観光施設「湯西川水の郷(さと)」が18日にオープンする。

 同施設はダム上流の付け替え道路沿いにあり、総事業費は約14億4000万円。

 メーン施設の「水の郷観光センター」は木造平屋建て約1500平方メートル。露天風呂や飲食コーナー、物産コーナーなどが入る。別棟の「湯西川くらし館」では地元で発掘された縄文土器や、古民具などを展示する。(宮本斎)

◆2009年12月9日 東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/hold/2010/koukyou/list/CK2009120902000128.html

特集・連載  アーカイブ2010  公共事業を問う
【第一部】翻弄される人々(5) ダムありき 『自腹なら造らない』

 東西十六キロの間に四つの大きなダムがある栃木県旧栗山村(現日光市)。一九八四年に完成した川治ダムから車で数分、水没地区の一部の住民が移り住んだ代替地に、わずか十年余の営業で閉鎖された宿泊施設があった。

 三階建ての「栗山館」。ガラスが割れたままの部屋もある。ダム建設に伴う生活再建事業で建設され、八五年にオープンした。水没地区の住民でつくる組合が運営したが、期待した温泉は温度が低く利用できず、住民に宿泊業のノウハウがなかったこともあり、客足は伸びなかった。

 最後の組合長だった農家の山越英二さん(78)によると、建設費約五億円と毎年の運営費の不足は下流県が負担。約三千万円の最終赤字も下流県が拠出する基金で埋めて閉館し、組合は解散した。

 「自腹なら造らない施設。欲張りすぎたのかもしれない」と山越さん。「ハコモノは維持管理だけでも金がかかる。素人が手を出すものじゃない」と戒めを口にした。

 川治ダムの北へ五キロの地点で工事が進む湯西川ダムでも、生活再建事業の一環で観光用の「水の郷」が建設中だ。約二ヘクタールの敷地に共同浴場や直売所などが入る。総事業費十六億二千万円のうち二億八千万円は国のまちづくり交付金が充てられ、残りのほぼ全額を下流の千葉、茨城、栃木三県と宇都宮市が持つ。

 ただ、維持管理のための運営費は、財政難を理由に下流県は出さない。一帯に足湯や直売所などを備えた「道の駅」や湯西川温泉がある。水の郷は地元の要望で計画されたものの、「競合して失敗すれば栗山館以上のダメージ」と心配する声が出ている。