八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

ダム中止後の生活再建支援法

 民主党のやんば議連(正式名称:八ッ場ダム等の地元住民の生活再建を考える議員連盟)の総会があり、ダム中止後の生活再建支援法案が公表されました。

 わが国では、一旦計画されたダム事業が中止されることは想定されておらず、ダム事業中止後の状況に対応する法律がいまだにありません。 
 ダム事業の見直しという政策を掲げるのであれば、ダム中止を想定した法整備はセットで進める必要がありますが、国交省内では法整備へ向けての動きが見えてきません。

 生活再建支援法は、八ッ場ダム、川辺川ダムだけではなく、全国のダム予定地にとって大きな意味を持つものです。

◆2011年9月8日 読売新聞群馬版

 -八ッ場「生活再建法」に試案 民主議連 臨時国会提出へ準備ー

 民主党国会議員有志による「八ッ場ダム等の地元住民の生活再建を考える議員連盟」は7日、同党が進めるダム事業見直しを巡り、事業が中止された地域の住民の生活再建を支援する法律の試案を公表した。再検証中の八ッ場ダム(長野原町)や、中止が決定した川辺川ダム(熊本県五木村)などを想定しており、地元自治体への買収用地無償貸与や、住民への支援金支給などが柱。議連では前原誠司政調会長に対し、議員立法として党内で議論するよう申し入れ、年内の臨時国会で法案提出を目指す。
 試案では、ダム事業で産業発展が阻害され、中止によって地域振興が必要な地域を、都道府県知事の申し出に基づき、国土交通相らが「特定地域」に指定。都道府県が、地元住民との連絡調整を行う振興協議会を国などと組織し、振興計画を策定するとしている。
 国が買収した土地については、①公共施設目的なら地元自治体が無償で使用できる ②地元に戻る移転移転住民に優先売却ーなどの支援策を用意。移転しなかった住民に対しては、①生活再建支援金を支給する ②住宅の新改築資金を助成ーなどの措置を取る。事業費は国の交付金を活用する。八ッ場ダムの再検証結果は今秋に出る予定だが、同議連事務局長の初鹿明博衆院議員は「結果が出る前に法案を準備することで、中止になった場合でも受け止め方が変わるだろう」と話している。

◆2011年9月8日 上毛新聞 社会 20面

 -地域振興法「早期に」 八ッ場 中止見据え反対議連-

 民主党の国会議員らによる「八ッ場ダム等の地元住民の生活再建を考える議員連盟」は7日、国会内で総会を開き、ダム建設が中止になった場合に周辺地域の生活振興を支援する法案を発表した。八ッ場ダム建設の是非を判断する再検証の結果が今秋にも示されることを視野に、議員立法で早期の成立を目指すことを確認した。
 法案の仮称は「ダム事業の廃止等に伴う特定地域の振興に関する特別措置法」。
 水没予定地域や住民生活の安定などを目的に、すでに国が買収した土地については①公共施設の用地として無償で使用できる ②住民やすでに転出した元住民に対して優先的に売却するーなどの振興計画を打ち出した。さらに、現時点で移転していない住民に対しては①生活再建のための支援金を支給する ②住居の新改築等に必要な費用を助成するーなどとしている。
 議連会長の川内博史衆院議員は「法案を党の政調会に持ち込み、党の成案として成立させたい」と語った。

◆2011年9月15日 朝日新聞群馬版
 
http://mytown.asahi.com/gunma/news.php?k_id=10000581109150001

 -八ツ場現地視察 国交相に要請へー

 八ツ場ダム(長野原町)の建設問題で、大沢正明知事は14日、前田武志国土交通相に対し、流域知事とともに現地視察を求める意向を明らかにした。定例記者会見で質問に答えた。

 ダムの必要性を検証していた国交省関東地方整備局は13日、代替案との比較で「八ツ場ダムが最善」とする総合評価を出した。

 これを受けて大沢知事は会見で「早い段階で視察して頂いた方が正しい判断ができる」と主張した。2009年9月の「中止宣言」以降、これまでの国交相3人は、就任1カ月前後で視察している。一方で知事は「地元の方々の心情を考えると複雑な思いもある」とも述べた。

 総合評価をめぐっては、中止宣言をした民主党の前原誠司政調会長が、「事前説明がなかった」として、国交省の対応に不快感を示している。これについて知事は「前原大臣(当時)が就任直後に中止表明したのは、地元にとっても不快だったのでは」と反撃した。

 民主党国会議員らでつくる「八ツ場ダム等の地元住民の生活再建を考える議員連盟」は14日、ダムの建設中止などに伴い、生活再建を目指す地元住民を支援し、地域振興を図る法案の試案をまとめた。

 党政策調査会で早急に議論し、成案とするよう前原誠司政調会長に近く求める。

 試案では、国の交付金を活用し、買収した用地を公共用施設に無償貸与▽住民や元住民への優先的売却▽移転せずに残っていた住民への生活再建支援金交付▽住居の新築や改築への助成金――といった支援策を示した。

 また、ダム建設が前提の水源地域整備計画などの生活再建策も、必要な事業は引き続き実施する。

 地元の都道府県が国や市町村との協議会を設け、住民とともに事業の具体化を進める形になる。

 ダムなどの大型公共事業が中止になった場合の地元振興策に関する法律はなく、事業中止に地元が反発する一因になっていた。試案は、八ツ場ダムや事業中止が決まった川辺川ダム(熊本県)などの地元を念頭につくられた。