2011年11月12日
月刊誌『世界』(岩波書店)の最新号(12月号)に、八ッ場あしたの会運営委員の嶋津暉之による八ッ場ダムに関する論考が掲載されました。
http://www.iwanami.co.jp/sekai/
以下、岩波のサイトより、転載します。
政権交代後の逆走
八ッ場ダムはこれからどうなるのか──虚構の「ダム検証」を問う
昨年9月27日に「今後の治水のあり方を考える有識者会議」(大臣の私的諮問機関) は、ダム検証の手順と基準を記した「中間とりまとめ」を発表した。この「中間とりまとめ」に沿ってダム検証の再評価実施要領がつくられた。しかし、河川官僚の意思が色濃く反映された「中間とりまとめ」とダム検証は、ダム事業者自身がダム推進を強く求める関係自治体の意見を反映させながら、一方で、ダム見直しを求める流域住民を実質的に検証作業から排除する形で進めるものであり、おのずとダム推進の結論になるものであった。八ッ場ダムの場合もこのような検証システムで検証作業が進められた。
今年9月13日の「検討の場」で関東地方整備局が示した検証結果は、八ッ場ダムが治水利水の両面で他の対策案と比べて圧倒的に有利というもので、あまりにも客観性を欠いた恣意的なものであった。
しまづ・てるゆき 1943年生まれ。市民団体「水源開発問題全国連絡会」共同代表。東京大学工学部卒業。各地のダム建設問題について技術的解析を行っている。2004年まで東京都環境科学研究所勤務。著書に『水問題原論』、『やさしい地下水の話』(共著)、「首都圏の水があぶない──利根川の治水・利水・環境は,いま」(共著) ほか。