八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

民主党の八ッ場ダム問題第三回分科会など

 11月18日に一回目の会議を開いた民主党の八ッ場ダム問題分科会が先頃、第三回目の会議を開きました。
 この会議では、国交省による八ッ場ダム検証を批判してきた「ダム検証のあり方を問う科学者の会」共同代表が招聘され、河川工学の専門家の立場から意見を述べました。
 一方、関係都県の議員、市民らも、国会議員への働きかけをさらに強めています。

◆2011年11月26日 東京新聞群馬版
http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/20111126/CK2011112602000083.html

 -ダム抜きの治水河川の専門家提案 民主の八ッ場問題分科会第3回会合ー

 民主党政策調査会の国土交通部門会議・八ッ場(やんば)ダム問題分科会の第三回会合が二十五日、参議院議員会館で開かれ、県選出の六議員を含む国会議員十四人が参加。前回分科会で上がった質問に対して国交省側から説明があった。

 専門家として河川工学の今本博健・京都大名誉教授が招かれ「一定規模以下の洪水を河川に封じ込める対策を図るのが古い治水。あらゆる規模の洪水を流域全体で受け止める策を考える新たな治水に転換すべきだ」と、八ッ場ダム抜きで流域の治水を考えることを提案した。

 分科会は非公開。座長の松崎哲久衆院議員(埼玉10区)は終了後「来週一~二回、分科会を開き、議員で十分議論したい。どんな形で分科会として意見を出すかは決めていない」と話した。 (伊藤弘喜)

◆2011年11月26日 朝日新聞群馬版より一部転載
http://mytown.asahi.com/gunma/news.php?k_id=10000581111260001

 八ツ場ダムの再検証で、民主党の国土交通部門会議八ツ場ダム問題分科会は25日、再検証のやり直しを求める「ダム検証のあり方を問う科学者の会」の今本博健・京大名誉教授(河川工学)から意見を聴いた。

 分科会の会合は3回目で、今回も出席議員は14人。松崎哲久座長によると、県選出の国会議員は全員出席したという。

 今本名誉教授に意見を求めたことについて、松崎座長は「議員に専門家がいない。整備局の対応方針案について、問題点を指摘して欲しかった」と意図を説明した。方向性は定まっていないが、分科会として意見集約したいという。

 これに対し、前田武志国交相は同日、再検証での分科会の関与に否定的な考えを示した。「省内の有識者会議に判断して頂くのが基本」と会見で述べた。

 ただ、大震災や噴火を踏まえた検討を行うとして設けられた事務次官らの「タスクフォース」では、幅広い科学者の意見聴取を希望する考えも示した。

◆2011年11月29日 朝日新聞群馬版 
http://mytown.asahi.com/gunma/news.php?k_id=10000581111290001

 -八ツ場ダム 見直し派「あきらめぬ」ー

 大詰めの八ツ場ダム再検証。国土交通省関東地方整備局は「建設継続が妥当」との本省への報告方針を固めたが、見直し派はあきらめていない。市民団体や議員、学者グループが28日も活動した。

●党で「逆転」狙う

 「国交省を動かすのは難しい。党として『賛成できない』という方向に持っていくしかない」

 関係6都県の「議員の会」会長の角倉邦良県議は、力を込めた。会は「八ツ場あしたの会」とともにこの日、東京・永田町で、民主党などの国会議員にローラー作戦を展開した。

 約200人の事務所を回ったが、月曜とあって、多くが不在。建設中止に賛同を求める署名は、約20通が集まっただけだ。それでも角倉県議は「無関心から変わってきた。感触は良い」と話す。

 建設是非について、前田武志国交相は、整備局で検討されていない大震災や浅間山噴火といったリスクを省内で点検し、年内に最終判断する意向だ。民主党では、再検証の枠組みとは別に、18日から国土交通部門会議八ツ場ダム問題分科会で論議している。

 八ツ場ダム等の地元住民の生活再建を考える議員連盟会長の川内博史衆院議員(鹿児島1区)は「分科会ができ、前進している」。

 連盟事務局長の初鹿明博衆院議員(東京16区)も「八ツ場を止められなければ、政権交代の意味がない」と訴える。

 党では最近、輿石東幹事長や前原誠司政調会長が、党内での徹底議論を求めた。見直し派は、執行部の力による「逆転」を狙う。

●公開討論会断られ

 再検証のやり直しを求める「ダム検証のあり方を問う科学者の会」は28日、再検証に関与する国交相の有識者会議に、公開討論会を拒否されたと発表した。

 国交省河川計画課を通じて25日に口頭で回答があった。有識者会議側は「国交相の要請に基づいて意見を述べる組織であり、市民や専門家には説明責任を負わない」「一科学者として参加しても、世間は有識者会議の発言と受け止める」と説明したという。

 会の関良基・拓殖大准教授は「コストのみ求める再検証の仕組みは有識者会議がつくった。国民の疑問に答えないのは、科学者として失格」と憤る。

 会では、12月1日午後5時から衆議院第一議員会館で独自の討論会を開く。共同代表の今本博健・京大名誉教授らが、治水・利水の「問題点」を報告する。資料代500円で一般参加も可能だ。(牛尾梓、小林誠一)