八ッ場ダムの調査業務、天下り法人に集中

2012年1月9日

 八ッ場ダムの水没予定地住民の移転予定地である代替地は、川原湯地区の打越代替地など30メートルの超高盛土の人工造成地で、その安全性に多くの識者が疑問を投げかけています。
 代替地の安全性の調査業務を請け負っているのは、国交省の天下り法人です。受注側と発注側との馴れ合いによる利権構造の維持のために、住民の安全性が蔑ろにされています。

◆2012年1月6日 しんぶん赤旗
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2012-01-06/2012010601_01_1.html

 -八ツ場ダム調査業務など 天下り法人が52%受注ー

 民主党が公約破りで事業再開を決めた八ツ場ダム関連のコンサルタント(調査・検討)や測量業務を、少なくとも45の“天下り”法人が受注し、発注額の半分以上を占めていることが5日、日本共産党の塩川鉄也衆院議員と本紙の調べでわかりました。

 とくに安全性にかかわる地質や環境評価など、重要なコンサル業務は、天下り法人に集中。こうした実態から、同ダム“中止”と“天下り根絶”という二大公約への民主党の無責任さも浮き彫りになっています。

 民主の無責任鮮明

(写真)八ツ場ダム関連工事が進む川原湯温泉付近=群馬県長野原町

 調査したのは、2008年度から11年11月までの期間に国土交通省八ツ場ダム工事事務所からコンサルタントや測量などの業務を受注した136法人。

 塩川議員が入手した資料や有価証券報告書、国交省への届け出書類などによると、中央省庁や旧日本道路公団、水資源機構、群馬県庁、栃木県庁OBが再就職した実績があるのは、少なくとも45法人にのぼります。そのうち国交省からが39法人と大半を占めます。

 八ツ場ダム工事事務所は、同期間に644件、総額142億円分のコンサル業務などを発注。このうちの291件(45%)、74億130万円(52%)分を天下り45法人が受注していました。

 受注額が14億9100万円(26件)と最多の日本振興(本社、大阪府泉南市)の東京支店には、04年から08年の間に国交省OB3人が再就職しています。

 その次に多かった7億6600万円(17件)を受注したアクアテルス(さいたま市)の東京支店には国交省OB6人が再就職していました。

 天下り企業に再就職した中には、国交省の地方整備局長や土木研究所長など同省元幹部も目立ちます。退官後に所管法人に再就職を繰り返す“わたり”をする元幹部も少なくありません。

 中には、顧問で入社した2週間後に常務に就き、3カ月後に社長という“スピード出世”もありました。

 同ダムをめぐっては、地すべりの危険性を多くの地質学者や建設技術者が指摘しています。事業継続の一つの“カギ”ともいえる17の地質調査業務のうち12業務を天下り法人が受注していました。

 地質の他にも安全性の評価にかかわる「代替地実施設計」や「ダム本体修正設計」といった業務が天下り法人に集中。同ダム事業では、天下り法人が作成した「調査報告書」が多数ありますが、事業や安全性を「妥当」としたものばかりです。

 建設の妥当性問われる

 塩川鉄也衆院議員の話 国交省の「身内」がダムの安全性や環境影響評価を調査していたことになり、八ツ場ダムの妥当性が問われます。「ダム利益共同体」ともいうべき政官財癒着の利権構造を解体するためには、企業献金禁止、天下り根絶こそ必要です。

 
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2012-01-06/2012010615_01_1.html

 -「八ツ場」受注の天下り法人 ずさん業務でも「優良」 報告書ミスだらけ 各地で指名停止

 本紙と日本共産党の塩川鉄也衆院議員の調査で明らかになった八ツ場(やんば)ダム関連の業務を天下り法人がごっそり受注する実態。発注者と受注者の“身内”のようななれあいの中で、ずさんな業務がおこなわれていたことがわかりました。(矢野昌弘)

 社長をはじめ取締役4人が国土交通省OBという天下り企業のセントラルコンサルタント(本社、東京都中央区)は、八ツ場ダム関連で、この3年半で11件、2億4500万円余の業務を請け負いました。

 同社の住吉幸彦会長は、国交省土木研究所の元所長です。馬場直俊社長は同省東北地方整備局の元局長です。OBが一人退職すると、次のOBが入社するという“受け皿”になっています。

 一方で同社は、請け負った業務で計算ミスや設計ミスを連発。全国の発注機関から、この1年余りで受けた指名停止処分は、3件もあります。

 こうしたミスは、八ツ場ダム事業でも例外ではありません。

 同社はダム水没予定地の住民移転先の安全性を調べる「代替地検討業務」を2010年8月上旬に随意契約で受注。7月中旬に東日本高速道路株式会社の指名停止処分(1カ月)が終わったばかりなのに、ここでもデータの入力間違いをして、計算ミス。代替地の耐震性について当初、「安全」という結果が一転。代替地の一部は震度6から7程度で崩壊することが判明しました。

 事務所長賞受賞

 こんなミスを多発する同社ですが、同ダム工事事務所から08年に「事務所長賞」を受賞しています。

 「優良業務」として表彰されたのは同社作成の「H18川原湯地区まちづくり計画検討業務」です。

 その報告書を見ると、誤字脱字だらけ。例えば、「応桑」という地層の名前を「大桑」と書き間違えています。また資料となる地層断面図では、作成された日付が抜け落ちたものが多くありました。

 「工事事務所もろくに読まなかった証拠だ」と話すのは、拓殖大講師の竹本弘幸さん。報告書のずさんさに驚いたといいます。

 「こんな報告書を表彰する一方、住民の安全にかかわるミスをしながら、なんら処分をしなかった点をみれば、発注側と受注側になれあいがあるといわれても仕方ない」

 本紙の取材にセントラルコンサルタントは「(報告書のミスについては)国交省が一括して答えることになっており、答えられない。(国交省OBについては)正式な手続きを経て採用しており、受注に有利に働くことはない」と回答。

 同ダム工事事務所は「対応できるものが現在いない」としています。

 再開先にありき

 八ツ場ダム問題を追及してきた日本共産党の伊藤祐司群馬県議は「官僚も天下りコンサルも御用学者も住民の安全などそっちのけで“再開先にありき”の数合わせの検証やずさんな検証をすすめたことは明らかです。恥ずかしくないのかと言いたい。次世代にこれほどひどい負の遺産を残すわけにはいきません」と話します。