八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

藤沼ダム決壊、福島県は責任回避

2012年1月31日

 昨年3月11日の大震災で福島県では藤沼ダムが決壊し、死者・行方不明8名という被害がありました。藤沼ダムは1949年に竣工した灌漑用のアースフィルダムです。
 このほど福島県が専門家らに委託した調査結果が公表されました。専門家が行政の責任はないとする報告をまとめたことで、被害者が不利な状況に置かれることになりました。

◆2011年5月18日 河北新報
http://www.kahoku.co.jp/spe/spe_sys1072/20110518_01.htm
 「その時、何が ダム決壊」

◆2012年1月13日 被災者の声 
https://yamba-net.org/wp/modules/news/index.php?storytopic=6&start=5

◆2012年1月25日 毎日新聞
http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20120126k0000m040064000c.html

 - 東日本大震災:藤沼ダム決壊…県の管理「問題なし」ー

 東日本大震災で福島県須賀川市の藤沼ダムが決壊し、下流域の住民7人が死亡した問題で、県の検証委員会(委員長=田中忠次・東京大名誉教授)は25日、決壊の原因について「過去に経験したことのない強い揺れが長時間続いたため、土質が弱く、締め固めも緩かった堤防の上部から決壊した」と結論づけた。県によるダムの管理については「問題はなかった」と指摘した。

 藤沼ダム(高さ18.5メートル、長さ133メートル)は1949年に完成。土を台形状に固めた「アースダム」で、3層構造になっている。

 検証委員会は地震解析などの結果、堤防上部で(1)揺れの強さを示す加速度が最大442ガル(強い揺れ)(2)50ガル以上の揺れが100秒間継続(長い揺れ)--と推定。戦後の混乱期の施工で(3)砂分に富む材料を使用(4)締め固めが現行工法より小さい--ことから「強度低下を招いた」とした。この4条件が重なり決壊したという。

 田中委員長は「安全基準を満たし、点検で異常が見られなくても安心できない」として、2月にも強度を確かめる検査方法などを提言する考え。【清水勝】

◆2012年1月26日 NHK
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120126/t10015535151000.html

 -堤防決壊 “震災の激しい揺れで”ー

 東日本大震災で堤防が決壊し、7人が死亡、1人が行方不明になった福島県須賀川市の農業用ダムについて、県の検証委員会は、長時間の激しい揺れで、初めに堤防の上部が壊れ、その後、崩壊していったと結論づけました。

 須賀川市の農業用ダム「藤沼湖」は、震災で堤防が決壊して大量の水が流れ出し、下流の集落の7人が死亡、1人が行方不明になりました。専門家などで作る県の検証委員会は決壊の原因を調べ、25日、県に報告しました。それによりますと、ダムは耐震基準を満たしていたということですが、過去に何度か堤防を高くする工事が行われていて、一番上の層は戦後まもない施工だったため、揺れに弱い砂が多く含まれ、土の締め固めが不十分だったということです。そして、震災で、堤防には瞬間的に耐震基準の3倍近い激しい揺れが加わり、その後、強い揺れが100秒以上続いたということです。こうしたことから検証委員会は、長時間の激しい揺れで初めに堤防の上部が壊れ、その後、崩壊していったと結論づけました。一方、ダムの管理者による点検や管理には、特に問題はなかったとしています。検証委員会の委員長で東京大学名誉教授の田中忠次さんは、「基準を満たしているだけで、安全だとは言えないことが教訓として分かった。古い技術で作られたダムの材質や締め固めを調べ、対策を考える必要がある」と話していました。

◆2012年1月26日 朝日新聞福島版
http://mytown.asahi.com/fukushima/news.php?k_id=07000001201250009

 -震災で決壊の藤沼湖 県議が視察ー

 ●県議「これほどとは」
 県議会会派のふくしま未来ネットワークは25日、大震災で決壊した須賀川市の藤沼湖を視察した。

 藤沼湖では、150万トンもの農業用水が下流に流れ、湖底を覆うのは雪解け水のみ。堤防も壊れたままで、周遊道路は立ち入り禁止の状況が続く。流れ出た激流に住宅や田畑が襲われた簀(す)の子川流域は、更地が広がったまま。再建できた家屋はほとんどない。

 同会派代表で南相馬市選出の高野光二県議は「中通りにこれほどの水害があったとは」と絶句。「原発被害がクローズアップされるが、復興に向けた対策は浜通りと一体にして考えなければならない」と続けた。

 地元選出の川田昌成県議は「補償などをめぐり、国も県も市もまるで責任の押し付け合い。生活再建に力を尽くしていない。もっと住民の声を聞くべきだ」と指摘した。

◆2012年1月29日 福島民報 
http://www.minpo.jp/view.php?pageId=4107&blockId=9928374&newsMode=article

 -原因報告に不満、怒り 藤沼湖決壊被災者対象、県が説明ー 

 東日本大震災で須賀川市の農業用ダム・藤沼湖が決壊した問題で、滝、北町集落の被災者を対象とした決壊原因報告会が28日、市長沼保健センターで開かれた。「過去に経験したことがない長時間の強い揺れ」が原因とする県の報告に対し、被災者から責任の所在を明確にするよう怒りの声が上がった。

 有識者でつくる県農業用ダム・ため池耐震性検証委員会が25日に原因調査報告書をまとめたことを受け、県農林水産部が開催した。被災者約80人が集まった。

 県の報告に対し、被災者側から「ダムは震度いくつまで耐えられたのか」「震災当時、ダムの水が満水だったのが原因では」などダムの設計・強度に関する質問が相次いだ。県は報告書を基にダムの管理や点検に問題はなく、想定される地震の耐震基準を満たしていたことを伝えた。

 報告会後、被災者の会の森清道会長は「結局は『想定外の地震』が原因だったということ。報告書は納得できるものではないが、プロの専門家がまとめたものなので、われわれにはどうしようもできない」とうつむいた。

 同会は今後、被災者への補償問題をめぐり、県や所有者の須賀川市、管理者の江花川沿岸土地改良区と協議する方針。

◆2012年1月29日 福島放送
http://www.kfb.co.jp/news/index.cgi?n=201201294

 -県の原因報告に怒りの声 藤沼湖決壊ー

 東日本大震災で須賀川市の農業用ダム・藤沼湖が決壊した問題で、滝、北町集落の被災者を対象とした決壊原因報告会が28日、市長沼保健センターで開かれた。

 「過去に経験したことがない長時間の強い揺れ」が原因とする県の報告に対し、被災者から責任の所在を明確にするよう怒りの声が上がった。

 有識者でつくる県農業用ダム・ため池耐震性検証委員会が25日に原因調査報告書をまとめたことを受け、県農林水産部が開催した。

 被災者約80人が集まった。

 県の報告に対し、被災者側から「ダムは震度いくつまで耐えられたのか」「震災当時、ダムの水が満水だったのが原因では」などダムの設計・強度に関する質問が相次いだ。

 県は報告書を基にダムの管理や点検に問題はなく、想定される地震の耐震基準を満たしていたことを伝えた。