国交省によるホームページの記述修正という茶番

2012年5月16日

 昨日、本HPの事務局だよりで、「 八ッ場ダムの事業費増額と工期延長を既定化する国交省」について、お伝えしました。↓
 https://yamba-net.org/wp/modules/news/index.php?page=article&storyid=1637

 八ッ場ダムの事業費増額、工期延長は、ダムの基本計画の変更を必要とします。基本計画の変更には関係都県の了承が必要なのですが、国交省は関係都県が事業費増額と工期延長を認めない中で、5月10日、ホームページにこれらを既定路線とする文書を掲載しました。

 けれども国交省は、この件について関係都県の反発を受けたことから、ホームページの記述を修正せざるをえなくなりました。
 ↓
 国交省関東地方整備局のホームページ
 http://www.ktr.mlit.go.jp/shihon/shihon00000085.html
 平成24年度直轄事業の事業計画等(当初)[平成24年5月15日時点]
 事業計画の河川関係(ダム事業 多目的ダム建設事業 利根川八ッ場ダム)の欄のうち「全体事業費」及び「備考」((注)を含む)の記載を修正しました(茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都)。

 以下の群馬県知事への文書では、4ページ目の表の八ッ場ダムの項目の記述が修正されました。
http://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000060943.pdf

 関係都県としては、国に唯々諾々とは従わないという立場を強調するための実績作りだったのでしょうが、八ッ場ダムは事業を継続する限り、事業費増額と工期延長が必至の情勢です。いずれ国交省は基本計画の変更を関係各都県に提示せざるをえず、関係都県も八ッ場ダム推進の立場である限り、これを了承せざるをえなくなるでしょう。
 国交省関東地方整備局が2010年から一年かけて実施してきた八ッ場ダムの検証作業では、関係都県の意見を聴く「検討の場」が幹事会だけで10回も開催され、関係都県からは再三、事業費増額、工期延長は認められないという意見が表明されました。↓
http://www.ktr.mlit.go.jp/river/shihon/river_shihon00000160.html

 しかし八ッ場ダムの検証は、共同事業者である国交省関東地方整備局と関係都県が事業の基本的な事項である事業費と工期で合意できずにいるという矛盾を解消しないまま、うやむやのうちに「継続妥当」という結論を導き出しました。御用学者らによる有識者会議も、無力な国交大臣をはじめとする民主党の政務三役も、このようにお粗末なダム検証にすら切り込めず、自民党政権と同様、官僚の言いなりになって矛盾を先送りにしました。
 ホームページの修正という今回の茶番劇は、矛盾に満ちた八ッ場ダム事業の一端を示しているにすぎません。八ッ場ダム計画が続く限り、国民の前で今回のような茶番劇が延々と繰り返されることでしょう。
 

◆2012年5月16日 上毛新聞一面

 ー八ッ場ダム 費用、工期を修正
   基本計画通りに 1都5県反発でー

 国土交通省関東地方整備局は15日、10日に公表した本年度の事業計画で4783億円とした八ッ場ダム(長野原町)の総事業費を基本計画通り4600億円に修正したと発表した。工期も2018年度までかかる可能性を示したが、基本計画の15年度に直した。共同事業者の1都5県は基本計画と異なる事業計画の提示に反発し、国が修正の要望に応じた格好だ。

 県は「正規の手続きもなく、修正は当然だ。基本計画通り早くダムを完成させてほしい」と強調した。
 同整備局は昨年度の検証結果を踏まえ、事業計画をいったんは示したが、「基本計画に基づく事業費とし、より適切な表記に改めた」と修正理由を説明した。
 国の対応に、八ッ場ダム建設反対派からは疑問の声が上がった。角倉邦良県議は修正について「国や1都5県は工期が延び、費用が増えることは分かっている。こんなのは茶番だ」と批判した。

◆2012年5月16日 朝日新聞社会面
http://www.asahi.com/politics/update/0516/TKY201205160239.html

 ー八ツ場「183億円増、3年延長」…指摘受け国交省修正ー

 昨年末に政府が建設再開を決めた八ツ場ダム(群馬県長野原町)について、国土交通省関東地方整備局が関係6都県に対し、基本計画よりも事業費が183億円増え、工期が3年延びる見通しを示す通知文書を10日付で送っていたことがわかった。

 群馬県の指摘を受けた整備局は15日、基本計画通りの事業費と工期に表記を修正した。

 文書は、整備局から今年度分の国の直轄事業の内容を知らせるためのもの。同ダムの基本計画では、事業費は4600億円、工期は2015年度までとなっているが、文書では事業費が4783億円に増額され、工期は18年度までとされていた。

 09年の民主党への政権交代後、政府が2年3カ月間再検証した際に出た見込みの数字だという。

 しかし、八ツ場ダムのように国や関係都県が事業費を負担し合う特定多目的ダムは、基本計画の変更に、関係都県の議会の議決を得ることが法的に必要だ。

 群馬県は、通知直後に「基本計画と全体事業費や工期が違う」と指摘。整備局は15日付で、基本計画通りの表記に直した。関係都県はこれまでも、基本計画通りの事業費と工期に抑えるよう国に求めていた。 (小林誠一)

◆2012年5月16日 共同ニュース
http://www.niigata-nippo.co.jp/world/politics/2012051601001814.html
http://kumanichi.com/news/kyodo/politics/201205/20120516010.shtml
http://www.oita-press.co.jp/worldPolitics/2012/05/2012051601001814.html

 ー国交省、計画上回る事業費を通知  群馬の八ツ場ダムー

 国土交通省関東地方整備局が、建設再開が決まった八ツ場ダム(群馬県)について、事業費が基本計画より183億円増え、工期も3年延びると見通した文書を10日付で群馬など関係6都県に送っていたことが16日、整備局への取材で分かった。

 特定多目的ダム法は、基本計画の変更には関係都道府県の議会の議決が必要としている。費用を負担する6都県に「計画と異なる」と指摘され、整備局は15日、基本計画に基づく事業費と工期に修正した文書を再通知した。

 整備局によると、文書は2012年度分の国直轄事業の内容を知らせるため送った。 (共同)

◆2012年5月17日 東京新聞群馬版
http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/20120517/CK2012051702000124.html

 ー八ッ場ダム 県指摘で国が修正ー

 国土交通省が十日に発表した本年度の直轄事業計画で、八ッ場(やんば)ダム(長野原町)の総事業費を、基本計画にある四千六百億円を百八十三億円上回る四千七百八十三億円などと示したところ、群馬を含む関係一都五県から「基本計画と違う」との指摘を受け、修正していたことが分かった。

 十六日の県議会八ッ場ダム対策特別委員会で、角倉邦良県議から経過の説明を求められ、清野哲哉県特定ダム対策課長が答えた。

 十日発表の直轄事業計画では、八ッ場ダムの総事業費を、地滑り対策などの追加費用を上乗せした四千七百八十三億円と表記。基本計画で二〇一五年度までとしている工期は一八年度までとしていた。

 いずれも昨年十一月に関東地方整備局がまとめた検証報告書の内容を反映させた。

 これに対し県などから「基本計画と異なる」との指摘が相次いだため、国交省は十五日付で基本計画通りに総事業費と工期を修正。ただ、今後の工程については「あらためて精査した上で示す」と変更の可能性を示唆した。

 角倉県議は「基本計画の工期の延長と事業費の増額は避けられない。本音ベースで議論すべきだ」と話した。 (伊藤弘喜)