利根川集会(4/29)の質問票への回答

2012年5月19日

 4月29日の利根川流域市民委員会の結成集会には多くの皆さんにご参加いただき、ありがとうございました。
 集会の時にいただいた質問票に対する利根川流域市民委員会の回答を掲載します。

 利根川流域市民委員会再結成集会(2012年4月29日)の質問票への回答

1 八ッ場ダム中止を大臣が言明したのに、復活してしまった理由をあげてください。

 【答】民主党政権の大臣たちが「コンクリートから人へ」の政策転換を進める理念を失い、政治主導を進める能力がなかったために河川官僚の主導でダム復活になりました。

2 八ッ場ダムなしの利根川水系河川整備計画を策定させるには、関東地方整備局の担当者をその気にさせないと無理なのでしょうか。その気にさせるために私たちのできることを教えてください。陰のOBが力をなくすまで無理なのでしょうか。

 【答】国土交通省の官僚機構がなぜ、いまだにダム建設に固執するのか、陰のOBの力は今なお働いているのか、正確にはわかりません。とにかく、私たち流域住民としては、ダム問題の真実を訴えて、八ッ場ダム建設にノーを突きつける世論を大きくしていくしか道はありません。

3 八ッ場ダムの建設を中止した場合のコストは計算されているのですか? 今、建設を中止したときに、「もう計画が進んでいるから、作ってしまった方が安い」というような議論に対して、どのような反論が考えられますか?

 【答】八ッ場ダムの建設を進めれば、本体工事、地すべり対策などで、まだまだ巨額の公費をつぎ込まなければなりません。ダム予定地のこれ以上の破壊を防ぎ、無用の事業のための国民負担をこれ以上重くしないためにも、八ッ場ダム事業はすみやかにストップすべきです。そして、これまでダム事業によって破壊されてきた地元の再生のために必要な対策を早急に実施するべきです。
 なお、これまでに投入された八ッ場ダムの事業費は付替え道路、鉄道等の建設、補償費に使われてきましたので、ダム事業をストップしてもそれらすべてが必ずしも無駄ということにはならないと思います。

4 民主党の各国交大臣は八ッ場ダムの本当に危険な箇所を見ているのでしょうか? 各大臣の回りを役人が取り巻き、見させないということを聞いております。前田大臣は夜行ったのでしょうから、実態を知らないのではないでしょうか。(役所の先輩に顔向けできないのではなく、自分たちの天下り先を確保できないことが本音かも)

 【答】前田大臣は日中にも現地の視察をしていますが、前田大臣ほか歴代の国交大臣、政務三役は、国土交通省の役人が設定したコースを回っただけで、八ッ場ダムの実態を何も知りませんし、知ろうともしません。
 八ッ場ダム推進の一番の原動力は天下り先の確保、河川官僚機構の維持にあると思います。

5 利根川右岸堤防のパイピング破壊の危険がある堤防を強化すると、概算どの程度の経費がかかると考えればよいですか?

 【答】具体的な数字は出すだけのデータがありませんが、さらに進んで耐越水堤防までの強化を考えた場合、ソイルセメント地中連続壁工法では1m当たり50万円程度で、利根川の八斗島から銚子までの両岸約400km、江戸川は分派点の関宿から東京湾まで同約100km、合計500kmを2,500億円で完成させることが可能という試算があります。あくまで一つの試算であって、これから詳しく調べていきたいと考えています。

6 利根川水系河川の放射能汚染についてご存知の現状と取るべき対策へのお考えをお聞きしたい。

 【答】放射性物質汚染については、現段階でお答えできる知見をまだ得られていません。

7 3.11で日本社会は大転換を求められています。3.11震災でダムが決壊し、大きい被害が出ました(福島県内)。前から補修がなされなかった人災との批判があるそうです。これから、耐震性の調査や補修にますます費用と労力が求められる時代になると思いますが、国、国交省はそれでも新しいダムをつくり続けたいのでしょうか?(心を入れ替えてない?)

 【答】これからはつくりすぎた社会資本の老朽化が進み、その更新と維持管理の費用が急増していきます。不要不急のダム建設に巨額の公費を投じている場合ではありません。利権のみを追い求め、不要不急の巨大公共事業を推進して国を危うくしていく官僚たちに対して怒りを禁じ得ません。

8 堤防強化はとてもよいと思いますが、年月を要します。昨日、田中、稲戸井調節池を見てきました。調節池を考えて検討しては?

 【答】治水対策として、遊水地、洪水調節池は有効な方法であると考えます。ただ、稲戸井調節池で進められている掘削事業は自然に与える影響が危惧されています。

9 国交大臣が再度代わることによって河川整備計画(八ッ場ダム事業等)が我々が期待する方向に好転する可能性はあるのでしょうか?

 【答】前田国交大臣は私たちの期待を大きく裏切りました。その前の大畠大臣も官僚答弁そのままで、政治主導がゼロでした。ダムに関して問題意識を持つ大臣が登場すれば、状況は改善されるのでしょうが、現状ではそのような大臣に変わることはあまり期待できません。

10 配布資料18ページ「耐越水堤防の技術」の中段に、首都圏氾濫区域堤防強化対策事業による「1200戸以上の家屋の移転」とありますが、その根拠は?
  
 【答】首都圏氾濫区域堤防強化対策事業による移転予定戸数として、情報公開請求で得られた数字です。
 (首都圏氾濫区域堤防強化対策事業の事業費は約2,700億円。これは現計画における金額で、今後増額の可能性が大きい。)

11 八ッ場ダム建設事業について何故、品木ダムの危険性を訴えないのか?
 
 【答】今回の集会では言及しませんでしたが、八ッ場ダムの市民運動では品木ダムの問題も取り上げてきています。八ッ場あしたの会のHPをご覧ください。
 https://yamba-net.org/wp/modules/problem/index.php?content_id=17

12 何故、大熊教授の考え「台風が来ても八ッ場ダム予定地には雨量が少ない」を紹介しないのか?

 【答】今回の集会では言及しませんでしたが、八ッ場ダムが利根川の治水対策として役立たない問題は指摘してきています。八ッ場あしたの会のHPをご覧ください。
 https://yamba-net.org/wp/modules/problem/index.php?content_id=16

13 私の住む江戸川右岸、北小岩では延長2.2kmでスーパー堤防が計画されています。ここには1800棟の住宅が立ち退き対象です。又、下流の篠崎地区では、今も住宅が取り壊されています。認識を新たにしてほしいと思います。

 【答】巨額の公費を浪費し、治水対策として意味のないスーパー堤防の事業は即刻中止すべきです。利根川流域市民委員会としても、スーパー堤防の中止を求めている住民団体と連携してこの問題に取り組んでいきたいと思います。
 (スーパー堤防は1キロメートルの整備に500億円以上の事業費がかかります。)

14 八ッ場ダムの減電補償の額は当初400~500億円と言われていたが、今日のお話によれば、150~200億円ということでした。計算の根拠を教えてください。また、東電側あるいは国交省は補償額を算出しているのでしょうか?

 【答】国交省が以前開示したデータを使って私たちが試算した結果では、八ッ場ダムの減電補償の額は300億円程度でした。ところが、昨年の八ッ場ダムの検証で関東地方整備局は新しい条件と新しいデータで独自に試算した結果を示し、減電補償額はわずかであるとしました、この試算は東京電力との調整なしで行ったものです。
 そこで私たちは、この計算に使ったデータと条件の資料を入手して試算してみました。その結果、関東地方整備局の試算はかなりあやしげなものであって、実際には150~200億円以上になること、また、関東地方整備局の条件設定は実現性が希薄であることがわかりました。私たちの計算をより確かなものにするため、さらに詳しいデータを国交省に求めていますが、まだ開示されていません。そのデータが開示された段階で、減電補償の正確な数字を示していきたいと考えています。
 なお、昨年の福島原発事故以降、発電の取引価格は上昇の傾向にありますので、その影響で減電補償の額も増えると予想されます。

★利根川流域市民委員会に関する情報はこちらをご覧下さい。
http://tonegawashimin.cocolog-nifty.com/blog/

https://yamba-net.org/wp/modules/genjou/index.php?content_id=2