2012年8月23日
水余りの中、当てのない水道事業のために栃木県が負担金を支出している利根川水系・南摩ダムの問題について、7月にお伝えしました。↓
https://yamba-net.org/wp/modules/news/index.php?page=article&storyid=1689
先ごろ地元、栃木県の新聞紙上にこの問題を指摘した記事が載っていましたので、転載します。
◆2012年8月20日 下野新聞
-社会部EYE 水需要の徹底検証をー
「われわれは今、思川開発(南摩ダム)の検証をしている。思川開発についての資料を提出してもらいたい。」。6月末、さいたま市で開かれた「検討の場・第三回幹事会」。国土交通省の担当者が本県の担当者に繰り返しダメ出しをする珍しい場面を目の当たりにした。
幹事会はダム事業を推進してきた5都県が出席し、形式的な検証を続けている。公の席で国があえて本県の担当者に迫ったのは、本県が基本的な検証項目すらクリアできず、さすがに見過ごせなかったからだろう。
原因は思川開発の水をどのように使うか、本県がいまだに計画を立てていないため、水需要予測など基本的なデータを示せなかったことにあるようだ。”根拠不明”の水需要に市民団体は「思川開発の水を使う当てがない証拠。多額の税金を使い、ただ事業に参加するのは許されない」と批判する。
思川開発は計画発表から半世紀。人口減少と節水型の家電製品の普及で、水需要は全国的に伸び悩んでいる。ダムは本当に必要なのか。徹底した検証を求めたい。
~~~転載終わり~~~
思川開発事業は群馬県をのぞく利根川流域各都県が参画している巨大公共事業です。南摩ダムはこの事業の中核で、半世紀前の計画でありながら、関連工事はほぼ終了しているものの、本体工事は未着工です。八ッ場ダムの場合は関連工事終了のメドが立っていませんが、事業が抱える問題は似通っています。
記事に書かれているように、水あまり現象は栃木県に特異なものではなく、全国的な傾向です。八ッ場ダムの場合は、これまで使ってきた東京・多摩地域の地下水などを水道事業から切り捨て、水需要が今後も伸びることを前提に推し進められてきました。
単にお金を回すことが目的で継続してきた事業のために、ダム予定地域は自然も人間関係もズタズタにされてきました。地元の地域振興策や首都圏の水道事業、利根川流域の治水対策は、これらの事業のために戦後復興期、高度成長期の枠組みから抜け出せずにいます。