八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

利根川の渇水騒動

2012年9月23日

 残暑の続く9月初旬、マスメディアは利根川の渇水を盛んに取り上げました。これは国交省関東地方整備局が渇水対策本部を設置し、災害情報として、「利根川水系の渇水情報」を続けざまに記者発表したせいです。   http://www.ktr.mlit.go.jp/saigai/kyoku_dis00000063.html

 行政の記者発表は、必ずしも重要な情報とはいえないことがしばしばありますが、おおかたのマスメディアは事実や全体の状況を確かめることなく、記者発表をそのまま流します。一方、民間団体が行政にとって都合の悪い情報を発信した時は、たとえそれがどれほど社会的影響を及ぼす重要な事実であろうとも、なかなか報道されません。記者らは、「行政を批判する記事を書くと、様々な圧力がある」といいます。かくして一般国民は「知る権利」を奪われてきました。

 利根川の渇水報道は、何年かに一度の渇水のたびに繰り返されてきました。これらの報道は、ダム行政を推進する国交省のお先棒を担ぐものと批判されてきましたが、今回は複数のラジオ番組で八ッ場ダム推進のためと指摘されました。

 あれだけ不安を煽りながら、その後、マスメディアは利根川上流ダムの状況について、何も報道しません。国交省がその後、記者発表をしないからです。

 利根川水系では水利用の8割が農業用水です。
 http://seisaku-essay.cocolog-nifty.com/blog/2012/09/post-ccac.html

 9月は稲刈りに備えて田んぼの水を落とすため、農業用水の利用が激減します。農業用水の取水量は、10月にはゼロとなることがこちらのページ掲載のグラフで分かります。
 https://yamba-net.org/wp/modules/news/index.php?page=article&storyid=1715

 取水制限10%と騒がれましたが、首都圏全体が水余り状況にあるため、取水制限は給水制限にはつながりません。

 お彼岸を迎え、例年と同様、秋雨前線が南下してきました。利根川上流ダムの貯水率はどうなっているでしょうか。
 国交省のホームページによれば、貯水率は現在、全体として40%で、例年の半分を超えています。
http://www3.ktr.mlit.go.jp/tonedamu/teikyo/realtime/data/html/Page1.html

 上記のページでは、矢木沢ダムの今月14日の写真を載せたままです。14日以降、矢木沢ダムの貯水量は増えましたから、水位は写真より上がっているはずですが、14日付の写真でもテレビで放映された頃の状況とはだいぶ違います。
 直近の矢木沢ダムの貯水率は、こちらのページで見ることができます。9月23日5時台の貯水率は10%余りです。
 http://www1.river.go.jp/cgi-bin/DspDamData.exe?ID=1368030375010&KIND=3&PAGE=0

 矢木沢ダムの貯水量が少ないと報道された時も、報道されなかった利根川上流のその他のダムには、十分な余裕がありました。
 https://yamba-net.org/wp/modules/news/index.php?page=article&storyid=1709

 雨が続くと、今度はダムによる治水の重要性をアピールするために、水害の不安をあおる報道が始まるのでしょうか。