品木ダムの汚泥処分場に関する群馬県議会の質疑(平成22年5月)

2012年10月5日

 さる10月3日、朝日新聞が社会面で品木ダムの汚泥処分場の問題を大きく取り上げました。朝日に続き、毎日、東京、上毛など群馬県内では他紙も関連記事を掲載しました。

 品木ダムは八ッ場ダム事業とは切っても切れない関係にあります。八ッ場ダム予定地を流れる吾妻川は、上流の草津白根山の山麓から流れ込む支流の影響を受ける酸性河川です。コンクリートを溶かす川にはダムは造れないと、八ッ場ダムは一旦は計画が断念されましたが、品木ダムを含む中和事業の成功により、1965年に復活しました。
 品木ダムは中和事業の中核施設として、中和生成物を堆積させ、中和を促進させることを主な目的としていますが、1965年の竣工より40年以上経過した現在、堆砂が総貯水容量の8割を超え、汚泥の処分が大きな問題となっています。

 この問題に関して、10月3日付の朝日新聞は、国の汚泥処分場が廃棄物処分法に違反していると会計検査院が指摘したと報じています。また、翌日の毎日新聞群馬版は、国交省関東地方整備局品木ダム水質管理所が「違法とは認識していない」と語っていることを伝えています。↓
 https://yamba-net.org/wp/modules/news/index.php?page=article&storyid=1734

 品木ダムの汚泥処分場の問題は八ッ場ダム問題と関係が深いことから、群馬県議会の八ッ場ダム対策特別委員会でも取り上げられてきました。
 以下は、今回の新聞報道と関連する2年前の質疑の要約です。

平成22年6月11日 群馬県議会5月県議会 八ッ場ダム対策特別委員会

●角倉邦良県議:
 品木ダムのヒ素問題と処分場に関する質問をいくつか行う。
 平成22年4月15日付朝日新聞の記事で、「国交省ヒ素、汚泥を投棄・・・
群馬県は土砂の扱いで許可」と出ている。C処分場の許可の経過は?

●廃棄物政策課長:
 C処分場については、平成15年12月1日に許可申請があり、平成16年2月3日から3月3日まで縦覧に供し、この間、関係人から意見聴取をしている。3月9日に廃棄物処理施設等設置専門委員会に諮り、平成16年3月19日付で許可している。施設完成後、平成17年5月20日に施設の使用前検査を行い、6月3日付で合格通知を出している。

●角倉県議:産廃に関しては、通常は申請から許可までかなりの時間がかかるが、C処分場は4カ月ほどで許可になっているのはなぜか?

●廃棄物政策課長:
 廃棄物処理施設の許可に係る標準処理期間は4カ月。多くの場合、時間がかかるのは許可申請の前に、事前協議規定に基づく手続きを行っており、住民への説明会や合意の取得などを事業者に課していることから時間がかかる。

●角倉県議:
 C処分場については、住民がいないから、事前協議の手続きを不要としたのか?

●廃棄物政策課長
 事前協議規定では、国が設置する施設については事前協議の対象外としていることから、事前協議を省略した。

●角倉県議:
 国土交通省が申請する時に、河川水中のヒ素は1リットル中2ミリグラム程度で、石灰投入により8~9割のヒ素が除去されると説明したと、朝日の記事には載っているが、これは事実か?

●廃棄物政策課長:
 湯川のヒ素濃度はもともと高く、中和工場では強酸性の水を中和することを目的に石灰を投入しているが、中和の過程でヒ素が除去されると、3月9日の専門委員会の場で事業者から事情聴取を行っており、そのような説明が行われている。

●中沢県議(委員長)
 ここはダム問題に関する委員会なので。

●角倉県議:
 ヒ素問題は、八ッ場ダムに貯まる水や周辺住民の生活再建と密接に関連するので確認したい。
 2004年時点で汚泥1キロあたり最大5.5グラムのヒ素が含まれていた。農地の土壌環境基準の370倍以上に当たると記事にあるが、石灰投入で除去できなかったということか。

●廃棄物政策課長:
 ヒ素が除去されるというのは、湯川の水のヒ素濃度が低くなるということであって、物質としてのヒ素が消えるわけではないので、沈殿物として残っている。
 
●角倉県議:
汚泥であれば管理型で処分しなければならないのに、安定型の構造で許可したのは脱法行為ではないか。

●廃棄物政策課長:
 A処分場を設置する際、水処理施設のない形態の処分場として届け出を受理した。C処分場も設置の形態は同じである。
 設置の経緯として、当時建設省から、浚渫物であるから汚泥には当たらないのではないかという話があったが、県としては石灰投入によって生じたものであり、人為的な加工がされていることから、汚泥という判断をした。廃棄物が汚泥であれば、管理型の処分場でなければならないが、もともとが自然由来のもので、成分の約6割が土砂、約2割が石灰投入による生成物であることから、管理型のように遮水シートや水処理施設は必要ないと判断をした。
 法律上の根拠としては、基準省令の「公共の水域及び地下水を汚染するおそれのない措置を講じた一般廃棄物のみを埋め立てる埋立地についてはこの限りではない」というただし書の規定を類推適用したものである。

●角倉県議:
 許可申請者が民間業者であっても、同様な構造で許可するのか? 要は脱法行為であるかどうか。

●廃棄物政策課長:
 3つの処分場の設置場所は品木ダムの集水域であり、処分場からの浸出水はダムに戻ることなどを考慮したことから、水処理施設を不要とした。全く別な場所に処分場を設置する場合には、別の環境に埋めることになるので、自然由来のものであるからといって、水処理施設が不要というわけにはいかない。民間事業者が中和事業を行うとは考えられないが、異なる場所で処分場を設置するのであれば、水処理施設を設けた施設でなければ設置は認められない。

●角倉県議:
 C処分場の浸出水に汚染物が含まれていたのではないか。

●廃棄物政策課長:
 廃棄物処分場は、全く無害の物を埋め立てるわけではなく、一定の基準値以下の物質を埋め立てる。ヒ素についていえば、溶出試験で0.3ミリ/l以下のものを埋め立てる処分場として管理型の処分場であるという意味であり、全くそういった物質が含まれていないものを埋め立てるわけではなく、埋立基準以内の物を埋めているということである。

●角倉県議:
 環境省から県に聞きたいということであったが、本件に関して照会はあったのか?

廃棄物政策課長:
 朝日新聞の記事について環境省から照会があり、回答した。照会は次の四点である。
第一点「現行のC処分場を許可したときの県の考え方について」
 県の回答―当該浚渫物は概ね土砂が6割、中和生成物が2割、未反応の石灰が2割である。このうち石灰は天然の鉱物、中和生成物はもともと河川水に含まれたものの化合物であり、天然に存在する化合物である。浚渫物は天然成分として品木ダムに流入する河川水に含まれたヒ素を含有しており、一般的な土壌に比べれば高い数値である。浚渫物は脱水後セメントと混合して埋められている。以上の点から、浚渫物は産業廃棄物の「汚泥」として、一般の管理された場所、方法で処分することが適当であると判断し、産業廃棄物処理施設設置許可を取得することを指導した。そのうえで、本件処分場設置計画については、次の特殊事情が認められた。
 ダム湖に流入する湯川のヒ素濃度は1ミリグラム/l以上であるなど、もともとヒ素の多い水域であること。C処分場はダム湖の集水域に設置されることから、処分場の浸出水はダム湖に戻り、他の公共用水域を汚染するおそれのない廃棄物に相当すると判断した。
 群馬県としては、設置許可にあたり、産業廃棄物処理施設の法的な位置づけを、管理型産業廃棄物最終処分場としつつ、基準省令に定める「公共に水域及び地下水を汚染するおそれのない措置を講じた一般廃棄物のみを埋め立てる埋立地についてはこの限りではない」を類推適用して、最終処分場の構造としては、遮水工等の水処理施設を不要とすることが可能であると判断した。

第二点「これまで排水基準を超えているかどうかについて」
 県の回答―C処分場の浸出水については、これまで排水基準値(0.1ミリグラム/l)の超過はない。ただしB処分場については何回か排水基準を上回ったことがある。

第三点「超えているとしたら、群馬県はどのように考えているか」
 県の回答―現状は超えていない。今後超えた場合は、前述の特殊事情を踏まえつつ、関連するデータの推移を注視していきたい。

第四点「生活環境保全上の支障を生じていないか」
 県の回答―品木ダム処分場周辺で生活環境保全上の支障は生じていない。

●角倉県議:
 品木ダムから吾妻川に流入する区間のヒ素濃度は何箇所かで観測しているのか。

●河川課長:
 吾妻本川については、長野原町の新戸橋地点、国が観測している与喜屋地点、滝見橋地点の3か所で観測が行われている。

●角倉県議:
 吾妻川の上流域に位置する万座川で汚染物質等の観測を実施しているのか。

●河川部長:
 万座川では観測していない。

●角倉県議:
 万座川は中和事業を実施していないため、万座川の水が直接吾妻川に流入している。流入する付近で水質観測を実施しているか。

●河川部長:
 そのへんの状況はつかんでいない。