琵琶湖で国が洗堰全閉、滋賀県反発 

 滋賀県大津市にある琵琶湖の瀬田川洗堰(あらいぜき)の全閉操作をめぐる動きをお伝えします。

キャプチャ 琵琶湖の出口には瀬田川洗堰があって、大雨が降った時は淀川の下流部を守るために、国交省琵琶湖河川事務所が洗堰の全閉操作を行います。淀川の水位が下がり始めたら、洗堰のゲートを開けて琵琶湖の水を放流することになっています。
(写真右)=瀬田川洗堰(国交省近畿地方整備局・琵琶湖河川事務所公式サイトより)

 以下の記事では全閉操作が長時間に及ぶと、大きな被害になるという話になっていますが、1997年3月に完了した琵琶湖総合開発事業により、琵琶湖で湖水位が上昇した時の対策工事が行われて、深刻な浸水被害が発生しないようになっています。
 滋賀県では、環境派の嘉田由紀子・前知事が淀川水系のダム見直しに取り組みました。現職の三日月知事は嘉田知事の路線を踏襲するとして当選していますが、国交省と自民党は三日月知事が嘉田知事ほどこの問題に熱心でないことを見透かして、大戸川ダム推進に向けて攻勢を強めています。記事の末尾でも、自民党の県会議員が洗堰の全閉操作に結び付ける主張を強めているとしており、背景に大戸川ダム問題があることを示唆しています。
 琵琶湖総合開発事業は琵琶湖をダム湖のように水位を上下させるための事業で、治水・水資源開発だけで約3500億円、種々の地域開発を含めると、総額1兆9千億円という一大事業でした。この事業で滋賀県に巨額の金が落ちましたが、琵琶湖の自然は大きなダメージを受けました。

◆2017年12月8日 毎日新聞
https://news.infoseek.co.jp/article/mainichi_20171208k0000e040255000c
ー琵琶湖:国が洗堰全閉、滋賀県反発 長時間なら大被害ー

 10月に台風21号が滋賀県内を襲った際、大津市の瀬田川にある瀬田川洗堰(あらいぜき)(同市南郷)を管理する国土交通省琵琶湖河川事務所が、堰を完全に閉じる「全閉」操作を実施し、県内の自治体首長や県議らに反発が広がっている。下流の被害抑止と引き替えに上流の琵琶湖で水位が上昇し、長時間に及べば県内で被害が懸念されるからだ。今回は短時間だったが、県は遺憾の意を国に伝え、7日の県議会本会議では三日月大造知事が「誠に残念だ」と改めて述べた。これに対して国側は「規則に従った」と説明し、両者の立場は平行線のままだ。【大原一城】

 瀬田川は琵琶湖から流れ出す唯一の天然河川で、宇治川、淀川と名前を変えて大阪湾に注ぐ。水量を調節するため、現行の洗堰は可動堰として1961年に設置。ただ、全閉操作は琵琶湖の水位上昇の「副作用」が大きいとされ、通常は実施せず、国も「将来は全閉操作を原則しない」との方針は定めている。それでも2013年には41年ぶりに実施し、今回は4年ぶりになった。

 国交省琵琶湖河川事務所によると、台風21号では下流の天ケ瀬ダム(京都府宇治市)で流入量が基準値を超え、10月23日午前1時52分に全閉を開始。同3時半までの約1時間半閉じた後、基準を下回ったことから再び開けた。

 この時、滋賀県は全閉前に同事務所から連絡を受け、電話や文書で回避を要請。全閉後も早期にやめるよう求めた。

 今回は短時間だったため琵琶湖の水位上昇は0.4ミリにとどまり、影響は限定的だったとみられる。ただ近年は実施されなかった操作が立て続けにあったことで懸念が広がり、県内市町の首長や県議らが激しく反発している。

 7日の県議会本会議では自民党の県議が「滋賀がいわばダム的存在を押し付けられている」と批判した。三日月知事は「全閉は沿岸部の浸水を助長し、県民生活に多大な影響を及ぼす」と答弁。今後は「国などに粘り強く、強く立場を訴えていく」ともした。

 三日月知事は、全閉の判断基準になっている天ケ瀬ダムの再開発に加え、瀬田川より下流の宇治川の改修などを国に要望し続けることが重要との立場だ。これに対して自民県議や首長らは、嘉田由紀子前知事から続く「ダムだけに頼らない流域治水」を掲げる三日月氏の政治姿勢を疑問視。嘉田氏が大阪府などと合意していったん凍結された大戸川ダム(計画地・大津市)の建設に結び付ける主張も強めている。来年7月に任期満了を迎える知事選もにらんださや当てが続きそうだ。