国交省の鳥海ダムについての記事がダム予定地のある秋田県の地元紙に掲載されています。
鳥海ダム事業は国交省が2010年にダム検証を始めるまでは休眠状態でしたが、全国のダム事業の見直しを目的とした筈のダム検証が河川官僚の思惑によって変質した結果、動き出したダム事業です。
しかし、鳥海ダムは現在は環境アセスの段階にありますので、たとえ事業が順調に進んだとしても、完成予定は遠い将来のことです。
秋田県下では国土交通省が現在、雄物川上流で成瀬ダムの本体基礎掘削工事を進めています。この成瀬ダムに続く大型ダムとして、鳥海ダム事業を進めようというもので、成瀬ダムや他の進行中のダム同様、必要性は皆無です。
◆秋田魁新報 2017年12月13日 11時29分
http://www.sakigake.jp/news/article/20171213AK0025/
ーダムに沈む百宅集落を写真に 由利本荘市の三浦さんー
鳥海ダム建設に伴い姿を消す秋田県由利本荘市鳥海町の百宅(ももやけ)集落の風景を記録に残そうと、同市前郷の写真愛好家・三浦繁忠さん(82)が、集落の四季折々の景色や人々の暮らしぶりを写真に収め続けている。来年1月には同市文化交流館カダーレで写真展を開き、撮りためた約100点を展示する。三浦さんは「百宅が、多くの人の記憶にとどまってほしい」と語る。
三浦さんは中学生の頃に友人の影響でカメラを手にするようになり、キャリアは約65年。地元の矢島高校を卒業後、農業の傍ら写真を撮り続けた。現在は27人の会員を束ねる全日本写真連盟ゆり支部長を務める。県展などでの受賞歴も多い。
百宅にある法体(ぼったい)の滝が好きで、20代の頃から集落を度々訪れていた。四方を山に囲まれ、冬は積雪4メートルにも及ぶという場所での人々の生活や独特の風習に次第に引き込まれ、60年ほど足を運んでいる。
3年ほど前、建設の是非が長年議論されてきた鳥海ダム建設がいよいよ着手されることを報道で知った。「今あるものが全て消えてしまう」と危機感を募らせ、撮影に週1回ほど通うようになった。町内に数軒残るかやぶき屋根の民家や、雪下ろしの様子、農作業に励む住民などを撮り続けている。
今では住民のほとんどと顔見知りというが「初めの頃は強く警戒され、心を開いてもらえるまで時間がかかった」と振り返る。足しげく通ううち、信頼関係が生まれた。
同集落の佐藤貞雄さん(89)・福美さん(88)夫妻は「三浦さんとの付き合いは40年以上。どんなに雪が多い日も来てくれ、家に寄ってはいろいろな話をする。住民と同じように百宅のことを思ってくれている人」と話す。
三浦さんは「集落はいずれなくなってしまう。体が丈夫なうちにできるだけ足を運び、ありのままの姿を少しでも多く残したい」と話す。
写真展「郷里(ふるさと)の話 間もなく鳥海ダム湖に沈む集落『百宅』」は1月19~21日。無料。午前9時~午後6時(初日は正午から、最終日は午後5時まで)。問い合わせは三浦さんTEL090・4554・0839