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滋賀県議会、大戸川ダムの早期建設求める決議可決

 ダム行政の見直しを目指した淀川方式の象徴ともいえる大戸川(だいどがわ)ダム事業の行方が心配です。
 淀川水系の大戸川ダムは、2008年、滋賀県、京都府、大阪府、三重県の知事が共同で建設凍結を求めたのですが、ダム利権集団は建設再開を目指しています。
 ダム行政の見直しを主張した滋賀県の嘉田知事がいなくなり、嘉田知事と共同歩調を取った京都府の山田知事も来年4月の知事選には出馬しない意向を発表しています。滋賀県の現知事、三日月氏は、2009年の民主党政権において、ダム担当の国交政務官でした。前原国交大臣の下で八ッ場ダムを始めとする全国のダム事業の見直しを目指したものの、果たせずに終わったことはよく知られています。
 
◆2017年12月22日 毎日新聞滋賀版
https://mainichi.jp/articles/20171222/ddl/k25/010/503000c
ー大戸川ダム 早期整備求め決議 知事「対応検討する」 県議会 /滋賀ー

 県議会は定例会閉会日の21日、国による大戸川ダム(大津市)の建設凍結を求めた京都・大阪・三重の3府県との2008年の共同見解(4府県知事合意)を撤回し、早期に整備するよう三日月大造知事に求める決議をした。

 最大会派・自民党などの議員が決議案を提出し、知事に近い会派のチームしがなどが反対したが、賛成多数で可決された。

 「県益を最優先する河川政策の推進を求める決議」で、今年の台風5号や21号による県内での水害、瀬田川洗堰の国による全閉操作に触れて「住民や県内の市長からダム建設を求める声が上がっている」「一日も早い着工を国や下流府県に働きかけることは知事の責務」と主張。「合意の撤回に向けた措置を講ずるよう強く求める」と結んでいる。

 決議案には自民、公明党、無所属系の良知会が賛成し、チームしがと共産党が「全ての危険な河川について重要度から整備を検討すべきだ」などと反対した。

 三日月知事は取材に「合意を見直す段階ではないと考えているが、決議は重く受け止める。決議文や討論をよく咀嚼(そしゃく)して対応を検討したい」と述べた。

 大戸川ダムは国が1968年に調査に着手したが、「効果は限定的」などの専門家の答申を受けて2009年に凍結。

 昨年に一転して「他の治水対策より有利(効果的)」などとされ事業継続になったものの建設のめどはたっていない。共同見解は嘉田由紀子知事、橋下徹大阪府知事(いずれも当時)らが08年に出していた。【大原一城】