八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

本明川ダム付け替え道路着工 予備調査から35年

 国土交通省は長崎県諫早市に本明川(ほんみょうがわ)ダムの建設を目指して付替え道路工事を開始しました。

 本明川ダムはもともとは、治水と利水を兼用する多目的ダムとして計画されましたが、水源開発を目的として事業に参画していた長崎県南部広域水道企業団が2013年に撤退したため、治水ダムになりました。長崎県南部広域水道企業団の撤退は、長崎市水道が水需要予測の見直しで同企業団から撤退し、同企業団が解散することになったからです。
 治水目的もあやしげなものですが、国土交通省は同ダム事業を強引に推進しています。

◆国土交通省九州地方整備局 本明川ダム事業 公式サイト
http://www.qsr.mlit.go.jp/nagasaki/river_dam/damjigyo/

 石木ダムに反対する「石木川まもり隊」がその経過をブログでわかりやすく解説しています。

◆ 石木川まもり隊ブログ 「本明川ダムから撤退 賢明な長崎市」
http://blog.goo.ne.jp/hotaru392011/e/06421c552fd6f9902bb1501f6677a146
 

 ブログより一部引用させていただきます。


本明川ダム(国営)計画に利水参画していた長崎県南部広域水道事業団が、撤退することになりました。
その理由は、

1.長崎市の新たな水需要予測によると、本明川ダムに水源を求める必要がなくなった
2.よって長崎市は、同事業団から撤退する
3.長崎市が撤退したら、ダム負担金以外の施設整備費の国庫補助がなくなる
4.そうなると水の供給単価が2倍以上に跳ね上がる
5.同事業団としては継続が難しくなったので解散することにした

—–引用終わり—–

長崎市は本明川ダムから撤退しましたが、佐世保市は水需要が今後も増加するとして、長崎県営石木ダムへの参画を続けています。
 しかし、長崎市水道と佐世保市水道の水需要予測を比較すると、佐世保市が石木ダムへの参画の口実をつくるために架空の予測を行っていることがよくわかります。

 これについては、「ダム検証のあり方を問う科学者の会」が佐世保市長に提出した以下の意見書をご参照ください。
https://yamba-net.org/wp/wp-content/uploads/2013/08/71283f46aed50a76ce0c66735c3f6ca3.pdf
「長崎市・水需給計画と比べてあまりにも非科学的な 佐世保市・水需給計画の
抜本的な見直しを求める」

 本明川ダム事業では先月、付替え道路工事が開始されたと地元紙で報道されています。
 八ッ場ダム事業に見られるように、ダム事業は道路工事に予算付けをするための方便であることがしばしばあります。本明川ダムは2016年3月に水源地域対策特別措置法に基づく指定ダムとされ、ダム予定地周辺の地域振興策がダム事業とセットで推進されることになっています。

◆2018年2月26日 長崎新聞
https://this.kiji.is/340479804900410465?c=39546741839462401
ー本明川ダム付け替え道路着工 予備調査から35年ー

 国が諫早市に計画している本明川ダム建設事業で、水没する県道などの付け替え道路の着工式が25日、市内であった。1983年の予備調査開始から35年、民主党政権の事業見直しによる規模縮小を経て、本格工事に着手する。ダムの完成は2024年度の予定。

 ダムは本明川上流の富川、上大渡野両町の一部に計画。09年の事業見直しで、利水から治水に目的を変更した。ダム高55・5メートル、総貯水容量620万立方メートル。総事業費は約500億円。完成後は1957年の諫早大水害規模の大雨に対応できる機能を持つ。

 両町の一部約45ヘクタール、計21世帯が水没する予定。地元住民でつくる本明川ダム建設対策協議会と国は昨年2月、土地と家屋の買収額基準となる損失補償基準協定書に調印。国が用地買収に入っている。

 付け替え道路は、県道富川渓線(総延長2・2キロ、幅員7メートル)▽市道大渡野古場線、古場落線、落線(同2・4キロ、同5メートル)▽工事用道路(同4・3キロ、同7メートル)。完成年度は未定。

 本野町の本野ふれあい会館であった着工式には約60人が出席。同協議会の藤山徳二会長(70)はあいさつで「国や県、諫早市は今後の振興策において地域の実情を鑑み、ダム建設を進めてほしい」と述べた。