シラスウナギの歴史的不漁、地方紙でも

 今季のシラスウナギが歴史的な不漁となっていることは、産地で大きな問題となっています。
 水産庁が実施している規制枠はあまりに緩く、ズルズルと状況を悪化させてしまっています。

◆2018年3月1日 神戸新聞
https://www.kobe-np.co.jp/news/touban/201803/0011027362.shtml
ー昨季7千匹が今季は70匹 兵庫もウナギ稚魚不漁ー

 ニホンウナギの稚魚、シラスウナギが全国的な不漁となる中、2月1日に解禁された加古川など兵庫県内の河川でも、漁獲量が昨年の1%程度に落ち込んでいる。漁を休止する人もおり、漁業者らは「(4月末までの)漁期を延ばしてもらわないと…」とこぼす。(本田純一)

 シラスウナギは、毎年12月ごろから翌年4月にかけ、日本に回遊してくる。昨季の漁獲量は、全国24都府県で計15・5トンで、千葉や静岡などが多い。生息環境の変化や乱獲により年々減少しており、特に今季は全国的に不漁。水産庁栽培養殖課は「黒潮などの潮流が変化したことが大きな原因」とみる。

 県内では昨季、加古川をはじめ、明石や姫路、淡路島内などの河川で、計15・4キロが漁獲された。県水産課によると、取れたウナギは業者が買い取って養殖する。資源確保のため、一部は成長した後に放流される。

 淡路島を除く、主な河川で取れたシラスウナギを買い取っている「永井水産」(加古川市東神吉町神吉)によると、2月23日までに引き取ったのは70匹ほど。昨年の同時期は約7千匹(1キロ)で「1日当たりの量は、はかりに掛けられないほど」とため息をつく。南あわじ市の業者「菊川商店」も「少な過ぎて漁に出ない人が多く、ほとんど取れていない」と打ち明ける。

 加古川河口付近では毎夜、許可を得た漁業者らが、すくい網を手に、電灯で水中を照らしている。成川利幸さん(53)=加古川市志方町志方町=は「例年なら50人以上集まるが、3、4人しかいないこともある。3月以降に期待したい」と話していた。

◆2018年2月28日 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO27471010X20C18A2LA0000/
ー高知県、シラスウナギの採捕期間延長 不漁が深刻 ー

  高知県は27日、深刻な不漁に陥っているニホンウナギの稚魚、シラスウナギの採捕期間を3月20まで延長すると発表した。当初は3月5日までだった。今季は全国でシラスウナギが不漁になっているが、水産庁によると採捕期間の延長を決めたのは全国で初めて。

 同県は今シーズンの採捕を昨年12月16日から許可した。ただ採捕上限量の350キログラムに対し、今月26日時点の採捕量は9.5キログラムにとどまる。昨年は3月5日の終了時で260キログラムの採捕量があった。県によると全国では8番目だった。

 シラスウナギの採捕期間は12月から翌年4月までの間で各県が設定し、漁協などを通じて漁業者らに特別に許可を出す。今回延長許可を受けるには、漁協などが再度申請する必要がある。

 県漁業管理課は「高知は国の指導する120日以内に対して、もともと漁期を短く設定している。今シーズンは非常事態で、県内のウナギ養殖業者の経営なども考慮して延長を決めた」としている。

◆2018年2月26日 高知新聞
https://www.kochinews.co.jp/article/163184
ー高知県内シラスウナギ漁最低 採捕量が前年同期比4%ー

  ニホンウナギの稚魚、シラスウナギの今季の採捕量が国内外で低迷する中、高知県内でも極度の不漁となっている。漁期が始まった昨年12月16日以降、「県しらすうなぎ流通センター」(南国市久枝)に集まったシラスウナギは約4・2キロ(2月15日現在)と、前年同時期の約4%しかない。漁期は3月5日までで、過去最低だった2012年の106キロを下回る公算が大きい。ウナギ価格の値上がりは必至だ。
 
 「今年の池入れはまだゼロ。これだけ捕れないのは記憶にない」
 
 県内で養鰻(ようまん)と飲食店を展開する「フジ物産」(静岡市)の三谷広康支店長が嘆く。
 
 高知市春野町森山にある同社の養殖池。例年なら仕入れたばかりのシラスウナギが入っている池がいくつかあるが、今年はゼロ。42面ある池のうち28面は空っぽで、残る14面も入っているのは昨季に仕入れたウナギだ。
 
 仁淀川で漁をする男性(36)=土佐市=は「昨年は2キロぐらい捕れたけど、今シーズンは100グラムにも満たない。夕方から翌朝まで漁をして5匹ぐらい(約1グラム)の日もあった」。漁の回数も減らしたといい「資源保護のため2年ぐらい禁漁した方が良いのでは」と提案する。
 
 県漁業管理課によると、近年の採捕量は12年(106キロ)以外は、200キロ台や300キロ台で推移。今季の極端な不漁の原因について、同課は「海流などの影響も考えられるが、詳しくは分からない」としている。
 
 不漁に伴い価格も高騰している。昨季は1キロ当たり109万円だったシラスウナギの取引価格(水産庁まとめによる)は、今季は「県内で250万円。県外なら400万円以上で仕入れる業者もあるようだ」(県内の養鰻業者)という。
 
 原価上昇により、県外ではかば焼きなどの価格に転嫁する動きも出始めている。高知市の飲食店も「夏場にかけて、数割ほどは値上げせざるを得ないだろう」としている。
 
 一方で、現場の漁師からは「実際はもっと捕れているはずだ」という声も。100グラム単位で捕っている人を見掛けるという情報もあるといい、複数の漁師や養鰻業者は「暴力団関係者が相場より高い値でシラスウナギを買い付け、闇ルートに流れているのでは」と指摘する。ある県内漁師は「今年は県外の相場が相当良いので、かなり県外に流出しているはずだ」とみる。
 
 同課の西山勝課長は「違法な漁の取り締まりは県警と連携し強化していく。ウナギの資源は、間違いなく減少している。養鰻業者などから漁期の延長要請もあり、どう対応するか慎重に判断する」としている。

◆2018年2月26日 宮崎日日新聞
http://www.the-miyanichi.co.jp/kennai/_30886.html
ーシラスウナギ不漁続く 採捕量、最低見込みー

  2017年度の県内シラスウナギ(ウナギの稚魚)の採捕量が18日現在、解禁後70日で39キロと16年度(305キロ)の約13%にとどまっていることが、県のまとめで分かった。統計を取り始めた1994年以降、最も不漁だった2012年度より低調で、このままいけば過去最低となる見込み。県外や海外でも採捕量が少なく、全国3位の生産量を誇る県内養鰻(ようまん)業やウナギ料理専門店への影響が不安視されている。

◆2018年2月25日 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO27291740T20C18A2000000/
ー歴史的不漁のシラスウナギ 甘い資源管理の限界  政策 現場を歩くー

  国内でニホンウナギの稚魚「シラスウナギ」が歴史的な不漁に直面している。1月末時点でシラスウナギを養殖池に入れる池入れ数量は前年同期の約1割にとどまり、取引価格は高騰。養殖業者やウナギ店の経営を圧迫している。ニホンウナギは絶滅危惧種に指定されているが、資源管理の不備を指摘する声もある。

■仕入れ価格は2倍以上
 ウナギ養殖で100年以上の歴史がある静岡県の浜名湖。周辺には電信柱ほどの高さがあるビニールハウスが所々に立ち並ぶ。ビニールの二重構造になった内側にあるのはウナギの養殖池だ。近くを歩くとハウスを暖めるボイラーと、水の循環設備がバシャバシャと水をかく音が響き渡る。

 「今年のシラスウナギの仕入れ価格は去年の2倍以上。池入れの数量も全然足りない」。2月中旬に養殖業を営む経営者を訪ねると、毎週パソコンに打ち込んでいる仕入れ値と数量のデータを見ながらため息をついていた。シラスウナギは2013年にも不漁に見まわれたが「今年は以前の不漁とは比べものにならないほど数量が少ない」という。

 シラスウナギの漁獲量は1950年代後半に200トンを超えていたが、現在は1割以下に激減。80年代後半からは20トン前後の低水準で乱高下している。浜名湖周辺もかつては400軒ほどの養殖業者がいたものの、現在は30軒程度にまで減少した。最近では養殖場の跡地に太陽光発電パネルが並ぶようになり、苦境の象徴のようになっている。

 日本のウナギ養殖の大半を占めるニホンウナギは11月から翌年4月までが国内の漁期になっている。養殖業者は仕入れたシラスウナギを池に入れて出荷できる大きさまで育てる。養殖は11月から翌年1月末までの漁期前半に取れたシラスウナギを池入れして6カ月程度育てて夏の土用の丑(うし)の日に出荷する「単年養殖」と、2月から4月に採れたシラスウナギを池入れして1~1年半育てる「周年養殖」の2種類がある。

 水産庁によると、1月末時点の池入れ数量は1.5トンで、前年同期に比べて約1割にとどまる。周年養殖が主体の中国や台湾などのウナギがあるため「今年の土用の丑の日に極端な供給不足に陥ることはない」(斎藤健農林水産相)ものの、不漁が続けば2019年の丑の日は十分な供給ができない可能性もある。

■生態不明のニホンウナギ
 そもそもニホンウナギの資源量は正確に把握できていない。ニホンウナギは日本から約2000キロ離れた太平洋のマリアナ諸島付近の海域で産卵し、黒潮にのって日本や台湾など東アジアを回遊する。ただ、具体的な回遊ルートは判明しておらず、生態も不明な点が多い。そのため、正確な資源量の把握が難しく、漁獲量や池入れ数量をもとに動向を管理しているのが実情だ。

 正確な資源量が分からなくても、シラスウナギが危機的な状況にあるのはおそらく間違いない。14年には国際自然保護連合(IUCN)がニホンウナギを絶滅危惧種に指定した。同年にはニホンウナギを利用する日本と中国、韓国、台湾がそれぞれの国・地域で池入れ数量の上限を設定。日本の池入れ数量は14年の実績から2割減らした21.7トンに決まった。

 ただ、国際協調で決めた池入れ数量の上限に不備を指摘する声もある。基準となった14年の数量は27.1トンで、シラスウナギの当たり年。ある養殖業者は「削減の基準となる年の数量が多すぎる。資源管理を本気でやるなら削減率をもっと厳しくすべきだ」と指摘する。

 高値が続くシラスウナギを巡っては密漁も絶えない。浜松市内のあるタクシー運転手は「漁期以外にシラスウナギを取って小遣い稼ぎをする漁師もいる」と打ち明ける。シラスウナギを確保したい養殖業者にとっては密漁といえども重要な仕入れ先だ。ある漁業関係者は「密漁のシラスウナギを池入れする養殖業者は池入れ数量を報告しない」と話す。水産庁も密漁の存在を認識しているが、シラスウナギの捕獲者は2万人以上にのぼるほか、1人が1日あたりで取る量も数グラムと少量なためすべての密漁を取り締まるのは困難だ。

 日本のウナギ消費は国内だけでまかないきれず、約6割を海外からの輸入に依存する。甘い資源管理が続けば、いつの日か食卓からウナギが消える。(池田将)

◆2018年2月28日 キャリコネニュース (記事の末尾のみ転載)
https://news.careerconnection.jp/?p=50807
ー高知県、シラスウナギの採捕期間延長で「絶滅させる気か」の声相次ぐ 担当者は「元々の漁期間が他県より短い」と妥当性主張ー

・・・日本自然保護協会で保護室長を務める辻村千尋さんも、「採捕期間延長は、自然のウナギの個体数に影響しかねない」と、高知県の決定には反対だ。

「ここ30年のウナギの池入れ量を見ても、資源全体として減っていることに変わりはありません。すぐに絶滅するわけではありませんが、今は予防原則にのっとり、生息状況がどうなっているのかモニタリングするほうが先でしょう。漁をする人たちも、この先捕れなくなるよりは、一時的に我慢して控えるのが得策だと思います」

今回の高知県の決定が、他の自治体に影響することも懸念する。

「他の都道府県が追随してしまうと、資源管理もなにもない。他より短いから良いというのではなく、決めた期間を守ってほしいです」

高知県は3月20日まで漁を続けるとしている。