南摩ダム建設で水道事業が圧迫される栃木県三市町の住民、要望書提出

 利根川水系では八ッ場ダムの他に、時代遅れの大規模ダム事業がもう一つ推進されています。

(独)水資源機構が栃木県鹿沼市に建設しようとしている南摩ダム(思川開発事業)です。現段階の完成予定は2024年度末です。
 人口減少時代となり、水源開発事業は時代遅れになっていますが、水源開発を目的とした水資源機構は、国交省などの天下り先として温存されてきました。
(右=南摩ダム完成予想図。(独)水資源機構 思川開発事務所ホームページより)

 南摩ダムも八ッ場ダムと同じく多目的ダムですが、主たる目的は首都圏の水源開発です。しかし、首都圏でも水需要が減少の一途を辿っており、その必要性がすでに失われてきていることは八ッ場ダムと同様です。

 地元の栃木県も水道水源の確保を目的として南摩ダムに参画しているのですが、南摩ダムができることによって得られる水を使う当てがありません。そこで、栃木県はこれを無理に使うため、県南地域(栃木市、下野市、壬生町)に南摩ダムの水を供給する県南広域水道事業を始めようとしています。これら三市町の水道は、現在は地下水だけを使用しており、市民は美味しくて安全性が高く、料金が安い水道水を享受しています。地盤沈下や地下水汚染の心配もなく、今後も地下水を現状通りに利用し続けることに何の問題もありません。

 そこで栃木県は南摩ダムへの参画のため、この三市町に対して県南広域水道事業によって南摩ダムで開発する水を押しつけて、三市町の地下水利用量を減らそうとしています。県南広域水道事業は200億円を超える事業費が必要とされており、思川開発の負担金も合わせて、その三市町への供給料金に転嫁されることになります。

 栃木県の計画では、2030年度に三市町水道の地下水依存率を65%まで下げることになっていますが、将来は地下水依存率がもっと下がることが予想されます。このままでは三市町は地下水依存率の低下により、水道水はマズくなり、水道料金が大幅に上がることは必至です。

 このように理不尽な県南広域水道事業をストップさせるため、三市町の市民が署名を集め、去る3月12日に栃木市長、下野市長、壬生町長に対して「地下水100%の水道水の維持を求める要望書」を提出しました。三市町の署名総数は約1万1千筆でした。
 要望書はこちらをクリックするとご覧いただけます。

 関連記事を転載します。

◆2018年3月13日 下野新聞
ー思川開発巡り地下水使用要望 3市町に市民団体ー

 鹿沼市の思川開発事業(南摩ダム)を巡り市民団体「栃木県南地域の地下水をいかす市民ネットワーク」(代表・大木一俊(おおきかずとし)弁護士)は12日、栃木、下野、壬生3市町長に、水道用水に地下水を使い続けるよう求める要望書を、署名約1万1千人分と共に提出した。

 南摩ダム完成後、県が3市町にダムの水を卸売りする計画がある。同ネットワークは「地下水のみを使っている3市町の水道用水にダムの水(河川の表流水)が加わることになり、水道料金の上昇と水質の低下を招く」と懸念している。

 この日は3市町の担当部署を訪れ要望書と署名簿を提出。下野市役所を訪れた大木代表は「安く、おいしく、安定供給される地下水利用の維持をぜひ検討して」と訴え、同市の長勲(ちょういさお)総合政策部長は「(県や関係市町でつくる)協議会で議論し、必要に応じ市民や議会と情報共有したい」と答えた。

 また3、4月の壬生町議選と栃禾市議選の立候補予定者に行ったアンケート結果も同日公表。全体の約2割の11人が回答し、「情報が住民に周知されていると思うか」との問いに全員が「思わない」と答えたことなどを明らかにした。

(写真)署名簿を提出する大木代表(右端)ら=12日午前、下野市役所