春になると遡上する稚アユにとって、ダムや堰、水門などの河川構造物は大きな障害です。
このため、河川構造物の下流側で稚アユをすくい上げ、上流に放流する救出作戦を行っている河川があります。東京では市民団体が江戸川の水門で今年も救出作戦を行うとのことですが、、尺鮎の産地として知られる熊本県の球磨川では、漁協による救出作戦がすでに始まっています。
今年3月、球磨川では荒瀬ダムの撤去工事が完了しました。ダム撤去の影響で、今年は100万匹を上回る稚アユが上ってきているとの嬉しいニュースが流れています。
◆2018年4月3日 西日本新聞
https://www.nishinippon.co.jp/nnp/kumamoto/article/405643/
ー稚アユのすくい上げ量、5年ぶり100万匹超 「ダム撤去で生息環境が好転 」八代市の球磨川 [熊本県]ー
球磨川最下流の八代市の「球磨川堰(ぜき)」で、上流に放流するために行われている稚アユのすくい上げ量が2日、5年ぶりに100万匹を上回った。下流を遡上(そじょう)する稚アユの数が急増しているためで、球磨川漁協は「荒瀬ダム撤去でアユの生息環境が良くなっている。来年以降も期待できるのではないか」と歓迎している。
アユは秋に下流で産卵し、ふ化した赤ちゃんは海で冬を越した後、春に川をさかのぼる。球磨川では瀬戸石ダムや複数の堰がアユの遡上を妨げるため、球磨川漁協が毎年3~5月、球磨川堰で稚アユを捕獲し、流域全体に放流している。
放流目標は球磨川産アユの卵から育てた稚アユを合わせて250万匹だが、ここ4年間はすくい上げが35万~62万匹にとどまり、目標を達成できなかった。この日は魚道脇に仕掛けた集魚網で捕獲した約5万匹を放流した。