八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

養殖ニホンウナギ7割が違法漁獲 ワシントン条約が報告

 日本の養鰻場のウナギの7割が密漁や違法取引によるというニュースが流れています。
 さらに、ニホンウナギの他にヨーロッパウナギやアメリカウナギも日本の川や湖に入り込んできているという話もあります。
 https://shuchi.php.co.jp/article/1072?p=1

 環境保護団体である国際NGO、WWFは6月4日付で「絶滅危惧種ニホンウナギへの早急な対策求める要望書」を農水相に提出しました。
 http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1806/04/news046.html

◆2018年6月1日 東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2018060101002463.html
ー養殖ニホンウナギ7割が違法漁獲 ワシントン条約が報告ー

 日本の養殖池に入れられるニホンウナギの6~7割が違法に漁獲された可能性が高いなど、絶滅危惧種のウナギの密漁や違法取引が横行しているとする報告書をワシントン条約事務局が1日までに公表した。

 ニホンウナギの資源管理体制は不十分で、対策の強化が急務だと指摘しており、来年5月にスリランカで開く同条約締約国会議で、新たに取引規制の対象にするべきだとの声が高まるのは確実だ。

 報告書はウナギの国際的な取引規制の可否を巡る議論の材料とするため、条約事務局が進める実態調査の一環。事務局からの委託で、民間の野生生物取引監視団体トラフィックなどがまとめた。(共同)

◆2018年5月31日 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31183620R30C18A5CR0000/
ーアジア向けウナギ業者摘発 米司法当局、稚魚違法取引でー

 米東部メーン州でアジア向けアメリカウナギの漁に長く携わり、「ウナギ漁の祖父」とも呼ばれる米国人業者が、大規模な稚魚の違法取引に関与したとして有罪判決を受けたことが分かった。米司法省当局者が30日、明らかにした。

 関係者によると、アメリカウナギは漁獲された稚魚の多くが中国に輸出され、養殖池で育てられた後、日本に出荷される。国際自然保護連合(IUCN)が指定した絶滅危惧種だが、需要が高まり価格が急騰したため密漁や違法取引が横行しており、ワシントン条約での国際取引規制などを求める声が強まりそうだ。

 司法省によると、この業者は、他の州で違法に漁獲された稚魚のシラスウナギ約55万ドル(約6千万円)相当を購入し、輸出しようとしていた。罪を認め、5月上旬に罰金1万ドル、禁錮6月などの判決を受けた。共犯として2人の男も有罪判決を受けた。

 米国のシラスウナギ漁は、メーン州とサウスカロライナ州で許可を得た漁業者だけに認められている。米国外で漁獲されるニホンウナギやヨーロッパウナギの資源量減少を受け、稚魚の価格は1キロ当たり50万円近くに高騰しているという。

 司法省は2015年秋から、米魚類野生生物局や各州政府などと特別チームを編成して密漁の摘発を強化。これまでに約20人を摘発し、密漁や密輸の総額は500万ドルに上る。〔共同〕

◆2018年6月4日共同通信
https://this.kiji.is/376214107957118049?c=39546741839462401
ー昨年捨てたかば焼き、2.7トン ニホンウナギの一部、実は別種もー

  絶滅の恐れがあるニホンウナギなどのかば焼きが昨年、確認できただけで2.7トンも捨てられていたなどとする大手を含む小売業者のウナギ販売実態アンケートの結果を4日、グリーンピース・ジャパンが発表した。

 土用の丑の日などに合わせて盛んに売り出す裏で、さばききれずに賞味期限切れなどで大量に廃棄している一端が明らかになった形。

 ニホンウナギとして売られていた製品の一部がアメリカウナギだったことも判明した。調査した小松原和恵さんは「稚魚のシラスウナギの漁獲から販売までの流通実態は極めて不透明。問題の多い販売や消費の見直しが急務だ」と指摘した。

*上記記事で取り上げられている調査については、グリーンピースのホームページに調査報告が掲載されています。

◆2018年6月4日 グリーンピース調査
http://m.greenpeace.org/japan/ja/high/news/press/2018/pr20180604/
ー絶滅が心配されるニホンウナギ、大手小売業の不透明な調達と大量廃棄の実態が明らかにー

◆2018年6月6日 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20180607/k00/00m/020/163000c
ーシラスウナギ不漁 ウナギ高騰、打開なるか 日韓台協議へー

 7、8の両日、非公式協議を都内で 中国が欠席
 ウナギが高値となっている。今漁期は稚魚のシラスウナギが不漁で取引価格が上昇しているのに加え、来年以降の品薄懸念も強まり成魚を買いだめする動きも広がっているからだ。7、8の両日には、養殖に使う稚魚の年間上限量を決める周辺国・地域との非公式協議があり、日本は資源保護を強化する方向で議論をリードしたい考えだ。【加藤明子】

 「ウナギの仕入れ値が高く、確保に苦労した。今年は特売を縮小せざるを得ないかもしれない」。東京都練馬区などが地盤のスーパー「アキダイ」の秋葉弘道社長は7月20日と8月1日の土用の丑(うし)の日を前に渋い表情だ。在庫が尽きたら、追加発注ができるかが不安だという。

  ウナギ養殖生産者でつくる日本養鰻漁業協同組合連合会の聞き取り調査によると、今年3月中旬以降の成魚の取引価格は1キロ(標準サイズ=5匹)当たり5300円と過去最高水準だ。同連合会では3月にウナギの問屋や専門店に「今年はサイズを大きくして出荷するので、例年なら1匹で1人前のうな重にするところを今年は1匹で2人前にしてほしい」と異例の要請をした。標準サイズは1匹約200グラムだが、今年は時間をかけて約350グラムまで大きく育て、“資源”を有効活用するという苦肉の策。品薄だけに、おおむね了承を得たという。

 シラスウナギ漁は11月から翌年4月にかけて行われる。今漁期は1月までの漁獲量が前年同期の13%と極度の不漁。2月以降は持ち直したものの、最終的には前期比29%減の約14トンだった。漁期前半が不漁だったため、シラスウナギや成魚を急いで確保する動きが強まり、取引価格は高止まりしている。

 水産庁などによると、2000年代前半には1キロ当たり20万円前後が相場だったシラスウナギの取引価格は、近年では100万~200万円台。輸入を含むウナギの国内供給量は00年の16万トンをピークに減少し近年は3万~5万トンにとどまる。

 日本や韓国、台湾は7、8の両日、ウナギの資源管理に関する非公式協議を東京都内で開き、養殖に使う稚魚の年間上限量について話し合う方針。来年5~6月には、ワシントン条約締約国会議が開催され、ウナギなどの資源保護が議論される可能性がある。水産庁はワシントン条約による国際取引制限などを回避するため、今回の非公式協議で資源保護を強化する方向で議論を主導したい考えだ。ただ、規制強化に消極的な中国が今回は欠席するため、どこまで実効性のある対策を打ち出せるかは見通せない。

ウナギの養殖
 ウナギは完全養殖の技術が確立されておらず、国内で取ったり、輸入したりした稚魚「シラスウナギ」を育てる必要がある。養殖池に入れられたシラスウナギは半年から1年半ほど育てた上で出荷される。価格の高騰を受け、密漁や密輸も行われているとされる。一方、天然ウナギの漁獲量は年々減少し、2015年は国内流通量の0.001%にとどまる。