7月5日からの記録的豪雨で、愛媛県・肱川に国が建設した野村ダムと鹿野川ダムとが満水になり、洪水調節機能を失ってしまいました。
大量の放流により、肱川は氾濫し、逃げ遅れた5人の方々が亡くなられました。
>★国土交通省四国地方整備局 野村ダム
http://www.skr.mlit.go.jp/nomura/
★国土交通省四国地方整備局 鹿野川ダムの概要
http://www.skr.mlit.go.jp/yamatosa/kanogawadam02/index02.html
肱川には、すでに国直轄の二基の巨大ダムがありますが、国交省は現在、肱川水系の河辺川に新たに山鳥坂ダムを建設しようとしています。
山鳥坂ダムは洪水調節を主目的とするダムです。河辺川は小さな川で、集水面積が肱川全体のわずか5.4%しかなく、治水効果が疑問視されています。ダムの完成予定は2026年度ですが、ダムを建設する流域では、限られた治水予算が巨額の費用を要するダム事業に投入されるうえ、ダムの治水効果を織り込んで治水計画を立てますので、河川改修などダム以外の治水対策がなおざりにされがちです。
山鳥坂ダムについては、こちらをご参照ください。
⇒「愛媛県で進む国直轄の山鳥坂ダム事業に根強い反対の声」
肱川の流域図(野村ダム公式サイトより)
今回の豪雨の際の、野村ダムと鹿野川ダムの流入量と放流量のグラフを描いてみました。両ダムが洪水調節を行えたのは、流入量が急増してから数時間だけのことでした。
(ダム流入量・放流量の出典:リアルタイムダム諸量一覧表)
想定外の雨に対してダムというものがいかに無力であるかがよくわかります。
肝心な時に役立たないダムに依存する治水計画と決別すべきです。
関連記事をこちらにまとめています。
「野村ダムと鹿野川ダムの放流による肱川の水害」
https://yamba-net.org/wp/42554/