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7月の西日本豪雨、国は岡山県・小田川の緊急治水対策に約500億円

 国土交通省は9月7日、西日本豪雨で甚大な被害があった岡山県の小田川で緊急対策工事を行うことを発表しました。同日、国交省は愛媛県・肱川の緊急対策工事についても発表しています。
 小田川については高梁川への合流点の付け替え工事を5年前倒しで実施することになりました。
 この付け替えが行われていれば、小田川の合流点の水位が約5メートルも下がりますので、西日本豪雨で見られたバックウォーター現象がなくなり、小田川の氾濫を抑制できたと考えられます。

 小田川の付け替えは1968年頃から計画されていたのですが、ダム事業と一体の事業であったため、難航しました。ダム事業とは、柳井原貯水池を再開発して、水道水源に使う高梁川総合開発事業です。高梁川総合開発事業は利水予定者の撤退で、2002年に中止になりました。その後、2010年の高梁川水系河川整備計画の策定でようやく、小田川の付け替えが決まりましたが、水害が発生した時点では工事は未着手でした。(右図=山陽新聞記事より)

 小田川周辺は氾濫の常襲地帯であり、大きな洪水が来れば、致命的なダメージを受けることが予見されていたにもかかわらず、その氾濫を防ぐことができる付け替え事業を半世紀も先送りしてきた国土交通省の責任は重大です。

◆国土交通省サイトより 記者発表
http://www.mlit.go.jp/report/press/mizukokudo05_hh_000060.html
<平成30年7月豪雨関連>
小田川等及び肱川で緊急的な治水対策を進めます
~平成30年7月豪雨により甚大な被害を受けた小田川等及び肱川で緊急的な治水対策を実施~

<高梁川水系小田川等 「真備緊急治水対策」>・・・・・・・・・・・別紙-1
〇全体事業費 約500 億円
〇事業期間 2018 年度~2023 年度
〇ポイント  
・国、県が連携し、小田川、末政川、高馬川、真谷川において、小田川合流点付替え事業の前倒しを含めた対策を、概ね5年間で完了させるため、予備費の使用により河川激甚災害対策特別緊急事業(いわゆる激特事業)に着手します。
http://www.cgr.mlit.go.jp/kisha/2018sep/180907-1top.pdf

◆2018年9月7日 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO35113180X00C18A9CC1000/
ー岡山・小田川の合流部移設、23年度までに 西日本豪雨ー

 国土交通省は7日、西日本豪雨で堤防が決壊した岡山県の小田川と愛媛県の肱川の治水対策のため、2023年度までに計790億円を充てる緊急対策を実施すると発表した。本流の高梁川の水位が上がり合流できなくなる現象が発生した小田川は当初、28年度ごろの工事終了を予定していたが、緊急対策で5年前倒しする。

 岡山県倉敷市の真備町地区では小田川の堤防が決壊し広範囲が浸水した。同省によると、合流部を4.6キロ下流に移すことで西日本豪雨のような洪水時に小田川で約5メートル、高梁川で約0.4メートルの水位低下を期待できるという。

 上流に位置する野村ダム(愛媛県西予市)や鹿野川ダム(同県大洲市)で放流が行われ、氾濫した肱川では整備が完了していなかった堤防で、23年度までに国の事業で3.6メートルのかさ上げ工事を実施。流量を増やすことが可能になるため、ダム放流時の操作規則の変更にも取り組む。

◆2018年9月7日 山陽新聞
https://this.kiji.is/410805743765062753?c=220450040231249399
ー小田川付け替え工事を5年前倒しー

  国土交通省は7日、西日本豪雨で決壊し、倉敷市真備町地区に甚大な被害をもたらした小田川の緊急治水対策を発表した。増水時の流れをスムーズにするため、高梁川との合流地点を付け替える工事の完成時期を当初予定より5年間前倒しして、2023年度に完成させる。

 付け替え工事は合流地点を下流に約4・6キロ移し、柳井原貯水池(同市船穂町)を小田川のバイパス(長さ約3・4キロ)として利用する。高梁川の水位上昇で小田川からの流入が妨げられる「バックウオーター現象」の発生を抑え、氾濫を防ぐ狙いで今秋に着工する。

 国交省は、今回の豪雨被害を踏まえて工事の計画を修正。大型重機の投入や、施工時期の違う複数の箇所で同時に進めるといった手法で10年間の工期を半分に短縮する。総事業費は約280億円から約100億円増額される見込みで、国の河川激甚災害対策特別緊急事業費などを活用する。

 工事を巡っては、7月に同地区を視察した石井啓一国交相が完成時期を前倒しする方針を表明。伊東香織倉敷市長も今月5日、首相官邸で菅義偉官房長官に早期の完了を求めていた。

 緊急治水対策には、小田川の支流で岡山県管理の末政川、高馬川、真谷川の堤防強化なども盛り込まれている。事業費は全体で約500億円。