「多摩川堤防27キロ整備されず…高さも幅も不足」(読売新聞)

 7月の西日本豪雨による水害が教訓となり、各地で堤防の未整備がクローズアップされてきています。
 首都圏では、主要河川である多摩川でさえ、堤防整備が完了していない区間が2割以上あるということです。新聞報道によれば、未整備区間は約28kmもあり、世田谷区などでは堤防そのものがない所もあるとのことです。

 治水予算が限られる中、ダムやスーパー堤防など大規模公共事業が優先されるため、洪水対策として最も重要な堤防の整備に回す予算が不足しています。「(多摩川の堤防)整備率は78・6%。全国に109ある1級河川の平均整備率67・7%を上回っている」ということですから、多摩川はこれでもマシな方ということになります。
 このままでは、どの河川も整備完了は遠い将来のことになってしまいます。耐越水堤防工法を導入して、最小限の費用で堤防整備を進める方法を考えるべきですが、国土交通省はダムより安価で治水効果の高い耐越水堤防工法の導入を頑なに拒否しています。

◆国土交通省関東地方整備局 京浜河川事務所ホームページより 
http://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000046390.pdf

◆2018年10月19日 読売新聞
https://www.yomiuri.co.jp/eco/20181019-OYT1T50020.html
ー多摩川堤防27キロ整備されず…高さも幅も不足ー

 1級河川・多摩川のうち、東京都青梅市から東京湾に至る区間の2割超で、十分な高さや幅を備えた堤防が整備されていないことが、国土交通省への取材でわかった。未整備の堤防は青梅や羽村、狛江など少なくとも13自治体にあり、計27・9キロに及ぶ。近年は各地で豪雨被害が起きており、今夏の西日本豪雨などは記憶に新しい。同省は「未整備のままでは、多摩川でも洪水などの被害が出る可能性がある」としている。

 同省によると、青梅市から東京湾までの流路は、一部の支流を含めて延べ78・6キロ。管轄する同省京浜河川事務所は、このうち左右両岸の計130・8キロで堤防の整備が必要だとしている。今年3月現在、計102・9キロは完成しており、整備率は78・6%。全国に109ある1級河川の平均整備率67・7%を上回っている。

 ただ、八王子や立川などの計27・9キロでは、整備が完了していない。未了区間は断続的にあるが、ほとんどのケースで近くに住宅地などが広がっている。同事務所は未了地点を中心とした約320か所を、重点的に洪水を警戒する「重要水防箇所」に指定している。

 整備未了のうち26・1キロでは、堤防の高さや幅が不足している。青梅市友田町では、7か所の計865メートルで堤防の幅などが足りず、強度が十分ではないという。同省の「多摩川水系洪水浸水想定」によると、豪雨で増水した場合、友田町内には5〜10メートルの浸水が予想されるエリアもある。

 残りの1・8キロでは、堤防そのものがない。世田谷区の一部などが、これに含まれている。

 多摩川では1974年9月、台風16号の影響で水量が増加して堤防が決壊し、狛江市内の民家19棟が流された。浸水被害は1270戸に上った。戦後最大規模の災害だという。

 同省は75年、堤防の工事実施基本計画を見直した。74年の台風時と同程度の増水があっても洪水などの被害が出ないようにしたといい、現在は2001年にまとめた「多摩川水系河川整備計画」に基づいて堤防整備を進めている。

 ただ、用地買収が難航したり、住民の合意が得られなかったりするケースもある。人口が集中する河口付近から順次、工事が進められるため、上流には未着手の地域もあるという。

 京浜河川事務所の担当者は「計画された堤防の整備を着実に進めたい」と話している。
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 ◆多摩川=山梨県の笠取山(1953メートル)を源流とし、多摩地域を通って東京湾に注ぐ。国が管理する1級河川。上流に都が管理する小河内ダム(奥多摩町)、河口近くには羽田空港がある。

—転載終わり—

 中部地方の木曽川・長良川・揖斐川流域では、平成28年時点の堤防整備率が全国平均を下回る52.6%ということです。
 揖斐川最上流に、目的を失った徳山ダムを建設するために巨額の治水予算を投じたことが原因の一つと、徳山ダム反対運動の関係者は指摘しています。

◆国土交通省中部地方整備局資料9ページ
http://www.cbr.mlit.go.jp/kisokaryu/kisosansen-plan/ryuiki_tenken/01/data/02_02.pdf