西日本豪雨における大野ダムの特別防災操作、「今後もできるとは限らぬ」

 京都府の由良川では、今年7月7日の西日本豪雨の際、大野ダム(京都府営)で下流の水位上昇を抑えるため、緊急で放流を完全に止める「特別防災操作」が行われましたが、この操作はダムの規則には定められていませんでした。今回はうまくいきましたが、いつも使える方法ではありません。
 今回操作を行った大野ダム総合管理事務所の江原所長は、「雨の降り方が毎回違い、規則に従いながら気象予報と水位を注意深く見ながら操作するしかない」と過度の期待にくぎを刺しているということです。

◆2018年10月31日 京都新聞
https://this.kiji.is/430238341098538081?c=220450040231249399
ー豪雨の河川増水抑えたダム操作 「今後もできるとは限らぬ」ー 

 台風などの豪雨の際にたびたび氾濫してきた由良川。日本海にそそぐ河口から約80キロ上流にある京都府の大野ダム(南丹市美山町)では、7月の西日本豪雨の際に下流の水位上昇を抑えるため緊急で放流を止める「特別防災操作」が行われた。

 東の空が明るくなり始めた7日午前4時。降り続く雨の中、大野ダムでは放流していた水が徐々に減り、約1時間後にはほぼ止まった。「放流をほぼ完全に止める操作は規則に定められておらず、後で問題にならないかと心配した」。大野ダム総合管理事務所管理課の武田恭課長補佐(53)は振り返る。

 大野ダムは下流の洪水被害低減のために建設され、1961年に完成した。これまでも台風など大雨が予想される際には、あらかじめダムの貯水量を減らしたり、放流量を抑えたりしてきた。特別防災操作では状況に応じて緊急的に増水を抑えるために放流を制限する。流域自治体が豪雨時の水害防止策の一つとして要望してきた手段。過去にも実施してきたが、ほぼ完全に放流を止めたのは今回が初めてだった。

 大野ダムでは7月5日までに夏季に最低限確保しなければならない制限水位を約2メートル下回る155メートルまで下げ、貯水できる容量を確保していた。7日未明、福知山、綾部市などが集中豪雨に見舞われた。福知山市内では午前1時までの1時間の降水量が59・5ミリと激しい雨となり、今回の操作に踏み切った。江原俊之所長(60)は「ダムへの流入量が少なく貯水量に余裕があったため下流の状況を踏まえて判断した」と説明する。

 実際、下流の福知山市中心部の由良川では7日午前5時ごろに危険氾濫水位を超えたが、大野ダムの特別防災操作で急激な増水は収まり約6・5メートルまでで水位が抑えられた。福知山市危機管理室の水口学室長(57)は「今回の特別防災操作がなかったら、さらに水位が高くなっていたかもしれない」と効果を認める。

 だがダムの放流や貯水を最適にするタイミングは難しく、下流域で西日本豪雨以上の大雨になると放流を止めても水位は上昇する。ダムの貯水量が限界の175メートルに達すれば、決壊を防ぐため放流は避けられない。江原所長は「今後も必ず下流の水位抑制ができるとは限らない。雨の降り方が毎回違い、規則に従いながら気象予報と水位を注意深く見ながら操作するしかない」と過度の期待にくぎを刺す。