東京電力の西大滝ダムがサケ遡上の障害になっています。
西大滝ダムでは、サケの遡上を増やすために魚道の改修が行われていますが、今季の遡上はゼロであったということです。
ダムからの放流量の不足が原因であると考えられます。
◆国土交通省北陸地方整備局 西大滝ダム下流水環境調査検討会
第5回西大滝ダム魚道構造検討会の開催結果 <西大滝ダム魚道改修後の調査結果>
平成29年2月23日 東京電力パワーグリッド株式会社
http://www.hrr.mlit.go.jp/shinano/shinanogawa_info/mizukan/pdf/nisi20170223-3.pdf
◆国交省資料より「西大滝ダム減水区間」を示す図
http://www.hrr.mlit.go.jp/shinano/shinanogawa_info/mizukan/pdf/nisi20160310-6.pdf
◆2018年12月2日 信濃毎日新聞
https://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20181202/KT181201FTI090009000.php
ー西大滝ダム サケ遡上ゼロ 原因不明ー
千曲川の東京電力西大滝ダム(飯山市、下高井郡野沢温泉村境)の魚道で行われているサケの遡上(そじょう)調査で、確認されたサケの数が今季、現行の期間で調査を始めた2011年から初めてゼロになった。原因は不明だが、ダムの放流量不足を指摘する声もある。11年から遡上数は減少傾向にあり、河川環境の改善が一層必要な状況が改めて浮き彫りになった。
調査は、長野、新潟両県などでつくる信濃川中流域水環境改善検討協議会が毎年9月11日〜11月10日に実施。同協議会事務局の国土交通省信濃川河川事務所(新潟県長岡市)によると、西大滝ダムの魚道に遡上したサケの数は11年は35匹だったが、16、17年はそれぞれ1匹にとどまった。同協議会は同ダムの約30キロ下流にあるJR東日本宮中取水ダム(新潟県十日町市)の魚道でも調査をしているが、今季は396匹の遡上を確認した。
西大滝ダムでの遡上が少ない原因も探ろうと、県は16年度から同ダム直下の下流約200メートルで魚類が生息しやすい河川環境かどうかを水中や上空から調べている。県北信建設事務所整備課は「魚の成育には問題がなく、サケが遡上してきてもおかしくはない」とする。
千曲川や信濃川で稚魚を放流してきたNPO法人「新潟水辺の会」(新潟市)の加藤功副代表(72)は、同ダムの放流量が宮中取水ダムより少ないことを要因の一つに挙げる。水量が少ないとサケが遡上しにくくなるとの指摘は以前からあり、東電は11年、同協議会の働き掛けを受け、最低放流量を毎秒0・26立方メートルから20立方メートルに変更した。ただ、加藤副代表は「遡上期はダムの放流量をもっと増やすといった取り組みが必要だ」とする。
千曲川へのサケの稚魚放流を巡っては、長野県や飯山市、県漁業協同組合連合会などによる「千曲川(西大滝下流)水環境改善促進協議会」(事務局・県河川課、県北信建設事務所)が17年度から、5年間で計100万匹を放流する事業を開始。今年3月には千曲川と支流で20万匹を放流し、県も別に30万匹放した。県が関わって県内河川へ稚魚を放流するのは2000年以来となる。
サケは稚魚で放流してから3〜4年後に育った川に戻ってくるとされる。加藤副代表は「放流した稚魚が帰ってくる時に向け、今から対策を取ることが大切だ」と話している。