西日本水害被災地で治水対策考える講演会(愛媛新聞と毎日新聞)

 今年7月の西日本水害の被災地である愛媛県で週末、「肱川水害 天災か人災か 治水対策考える講演会」が連日開かれました。1日は、京都大名誉教授の今本博健氏が「山鳥坂ダム計画が肱川治水を狂わせている」と題して講演、2日は滋賀県知事時代にダム建設を凍結し
た嘉田由紀子氏が「洪水多発時代の治水政策とは?」と題し講演しました。

 講演会を伝える記事を地元紙から転載します。

◆2018年12月3日 愛媛新聞
 https://www.ehime-np.co.jp/article/news201812020017
ー愛媛豪雨災害 ダム計画・操作 疑問視 大洲で講演 水害要因 識者指摘ー

  西日本豪雨で西予、大洲両市に甚大な被害を出した水害を検証する講演会が1日、大洲市であった。今本博健京都大名誉教授(河川工学)が講演し、野村、鹿野川両ダムの操作規則やこれまでの肱川水系の整備の進め方が被害拡大につながったと指摘した。

 今本氏は、国は山鳥坂ダム建設を優先し、堤防かさ上げや河道掘削などを先送りしてきたと主張。国と県の肱川水系河川整備計画の「河道内掘削を行わず」とする記述について、全国の1級河川でも異例と強調した。

 野村、鹿野川両ダムについて大規模洪水に対応した旧操作規則でも異常洪水時防災操作は避けられなかったとのシミュレーション結果を国が11月の検証の場で示したことを疑問視。防災操作をしなくても、野村ダムでは規定の洪水時最高水位を下回り、最大毎秒放流量は千トンに収まり、人的被害は防げたとの独自の試算を示した。鹿野川ダムについても、最大毎秒放流量は1700トン程度にまで大幅に低下できたとし、国に対しシミュレーションの根拠となるデータを示すよう求めた。

 滋賀県知事時代にダム建設を凍結した嘉田由紀子氏も講演で、ダムの操作規則について「命を守るためには、この通りでなくてもいいと書き込めばいい」と述べた。

 講演会は、大洲市などの有志約10人でつくる実行委員会が主催し、住民ら約150人が参加。肱川水系河川整備計画を住民参加でゼロから見直し、新たな計画を構築する▽当面の洪水対策は河床掘削と堤防建設に限る―の2点を国と県に求める決議をした。

◆2018年12月4日 毎日新聞愛媛版
https://mainichi.jp/articles/20181204/ddl/k38/040/564000c
ー西日本豪雨 ダム放流「徹底した議論を」 松山で対策講演会 /愛媛ー

 西日本豪雨でダムの緊急放流後に肱川が氾濫した問題で、災害を検証し、今後の治水対策を考える講演会が松山市内で開かれた。講演した今本博健・京都大名誉教授(河川工学)は山鳥坂ダム計画が肱川の治水をゆがめていると主張。「徹底した議論が必要。悲劇を二度と起こさないために愛媛から全国に発信して」と参加した約80人に呼びかけた。

 今本氏は、肱川の流下能力を増やすためには河道の掘削を最優先ですべきだが、河川整備計画には河川管理施設や地下水への影響を理由に「河道内掘削を行わず」という記述があり、実施されていないと指摘。「流下能力を極限まで増大させ、不足する場合にダムで調節するのが治水の鉄則。河道整備を先送りにしているのは山鳥坂ダムを有利にするためだ」と批判した。【中川祐一】

 嘉田由紀子さんフェイスブックより
 https://www.facebook.com/yukiko.kada.5/posts/1031555873695619