滋賀県では、7月の知事選で三日月大造知事が二戦目を果たしましたが、三日月氏は知事選で自民党の支援を受けるために、大戸川ダム反対の姿勢を撤回しました。複数のダムを中止させた嘉田由紀子前知事の継承者である筈の三日月氏の変節は、ダムを推進したい国交省近畿地方整備局にとっては願ってもない状況です。
同局による移転住民を前面に出してのダム推進の訴えは、2009年に八ッ場ダムが注目された際、ダム予定地を視察した前原大臣に対して、国交省関東地方整備局が行った演出と瓜二つです。当時、三日月氏は民主党政権にあって、ダム担当の国交政務官でした。国交省に手玉に取られた三日月氏が滋賀県知事として同じことを繰り返しています。
大戸川ダムは2005年、有識者からなる淀川水系流域委員会によって中止が妥当とされ、国交省近畿地方整備局も中止方針を発表したダムですが、推進の力が高まる一方です。
◆2018年11月29日 京都新聞
https://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20181129000198?fbclid=IwAR1SZ1YwxMh-XCvw6BqdKWKAC2Y2YxXCuI1tVNlh5GfYZDDWWkhrtNn2GJ4
ー大戸川ダム「早期着工が住民の願い」 予定地視察の知事に訴えー
本体工事が凍結されている国の大戸川ダム(大津市)計画で、滋賀県の三日月大造知事は29日、水没予定地域の旧大鳥居地区の集落跡地を初めて視察した。案内した移転住民は「先人たちは苦渋の決断で故郷を出た。一日も早い着工が住民の願いだ」と訴えた。
ダム計画で旧大鳥居地区(47戸)を含む計53戸が現在の大鳥居地区に移転し、3月で丸20年がたった。
現場には新名神高速道路のトンネル工事で掘削した土砂約70万立方メートルが2000~08年に搬入されており、ダムの基礎工事で使う骨材として山積みにされたままになっている。
大鳥居地域開発協議会の谷一廣会長(64)や青木洋治大鳥居自治会長(65)ら4人が視察に立ち合った。谷会長は30代半ばまで過ごした集落の思い出を交え「何とかダムの完成を先人に報告したい。知事は県民、下流住民のためにも英断を」と方針転換を求めた。
三日月知事は「もっと早く訪れるべきだった」と陳謝した上で、「もともと住んでいた人の思いはいかばかりか。言葉にならない。現場を見て皆さんの思いを受け止めた」と述べた。県は移転住民の私有林が広がる周辺の林道管理を担うことを約束した。
この後、三日月知事は大戸川上流の甲賀市信楽町黄瀬地区も訪問し、住民ら15人と意見交換した。
ダム建設の凍結で進められない上流部の河川整備や、県道栗東信楽線の付け替え工事の早期実現を求める声が相次ぎ、安田佐登志区長(69)は「われわれの願いはダム建設を進めることで実現する」と述べた。