政府は今月21日に来年度の予算案を閣議決定しました。
八ッ場ダム事業には3事業ありますが、そのうち予算が最大のダム建設事業費は総額5320億円です。以下の国交省の資料(2018年3月末)によれば、今年度末までに5014億円費消することになっていました。ちなみに今年度の予算額は434.9億円と過去最高額でした。5320億円から5014億円を引くと306億円です。
◆「八ッ場ダム事業進捗状況」(国土交通省2018年3月末資料)
来年度は八ッ場ダムの現在の基本計画では最終年度となっていますが、来年度の予算額は306億円より25億円少ない額が発表されました。
例年、八ッ場ダムの次年度予算額は8月末の国交省の概算要求額でほぼ決まりますので、地元紙・上毛新聞では、8月末にその金額を一面トップで大きく報じてきましたが、今年は報道がありませんでした。
八ッ場ダムは本体工事のコンクリート打設が11月には9割に達し、来春にはダム本体が完成する予定ですが、試験湛水に備えた地すべり等の安全対策工事や砂防工事、道路建設工事、発掘調査など、まだ多くの事業が残されています。
◆2018年12月22日 上毛新聞 (紙面記事より転載)
https://www.jomo-news.co.jp/news/gunma/politics/101024
ー八ツ場281億 観光振興も 火山監視体制を強化 19年度政府予算案 100兆超え 初の大台ー
政府は21日、2019年度予算案を閣議決定した。一般会計の総額は101兆4564億円と7年連続で過去最大となり、当初予算で初めて100兆円の大台に乗せた。本県関係では、大詰めを迎えている八ツ場ダム建設事業に18年度比35%減の281億円を計上。火山噴火対策に4千万円を充て、草津白根山をはじめとする常時観測火山の監視・観測体制を強化する。
八ッ場ダムは本体工事に加え、生活再建事業である付け替え道路工事の事業費も盛り込まれた。県などによると、本体のコンクリート打設は11月末時点で完成高(116㍍)の約9割に達し、来年4~6月に完了する見通し。打設完了後にいったん水をためる試験湛水を実施する。
八ッ場ダムなどの土木技術を観光資源と捉え、訪日外国人客(インバウンド)を誘致する「インフラツーリズム」にも取り組む。Wi-Fi環境や多言語案内板の整備といった事業を13億円かけて展開する。
火山噴火に対する体制強化は、1月の本白根山(草津町)の噴火を踏まえた措置。浅間山や日光白根山を含む常時観測火山で、民間や関係機関がネット公開するライブカメラ映像を録画、監視する装置を整備し、的確な噴火速報・警報につなげる。
草津白根山では、同日閣議決定した本年度補正予算案に本白根山を監視するカメラの設置や、広帯域地震計などの整備費用も盛り込まれた。草津町は「地元としても心強い。町が設置したライブカメラも活用し、住民や観光客の安心安全につなげたい」とした。
富岡氏が実施中の富岡製糸場西置繭所保存修理を含む国宝・重要文化財建造物保存修理強化対策事業は114億5千万円を計上。市によると、屋根瓦のふき替えが完了し、現在は耐震補強工事を進めている。
大沢正明知事は「政府には予算案を通じて地方が発展していけるよう、人づくりや地方創生の取り組みを一層推進していただきたい」とコメントを発表した。
—転載終わり—
写真下=吾妻渓谷の入り口に聳えるダム堤と吾妻川、ダム堤の右岸側の打越代替地(水没予定地にあった川原湯温泉の移転地)。
ダム建設は順調に進んでいるというが、ダム湛水に備えた安全対策の課題が多く残されている。