八ッ場生活再建9事業遅れ(上毛新聞)

 上毛新聞の一面トップに生活再建事業の遅れのニュースが掲載されました。
 八ッ場ダム事業はダム建設事業(5320億円)と水源対策特別措置法(水特法)の事業(997億円)と利根川・荒川水源地域対策基金事業(178億円)から成り立っていますが、総額約6500億円にもなる事業費の中で、ダムの建設に使われる費用は一割以下です。事業費の大半はダムによって破壊されるダム予定地域住民の生活を再建し、地域の衰退を食い止めるという大義名分のもとに費消されます。ダム建設事業も、その名称のイメージとは異なり、大半が生活再建関連事業です。

 八ッ場ダムの事業費が全国のダム事業の中でも突出して高額となり、工期が延長されてきたのは、生活再建事業が肥大化したためです。ダム建設地を走っていた国道と鉄道の付替えが終わった2015年、ようやくダム建設が始まり、ダム堤は間もなく完成する予定ですが、関連事業の方は完了の見通しが立っていません。
写真右=上毛新聞で取り上げられた大柏木トンネル。川原湯地区の金鶏山の裏手からダムの骨材を運搬するためとして建設された3000メートル余のトンネルは、骨材運搬の終了後、ベルトコンベヤーを撤去し、トンネル内部を巻いて一般供用できるようにすることになっている。ダム予定地周辺では、八ッ場ダム事業による道路整備に期待する声が強い。

 これまでも地元では関連事業の遅れが問題とされてきましたが、関連事業が大半を占める八ッ場ダム事業の仕組みは外部にはわかりづらいこともあり、このことは今まであまり知られていませんでした。
 進行中の本体工事を目玉としたインフラツーリズムばかりが耳目を集めてきましたが、八ッ場ダムは多くの矛盾を抱えた事業ですから、今後さらに様々な問題が顕在化してゆくと考えられます。

◆2018年12月20日 上毛新聞
https://www.jomo-news.co.jp/news/gunma/politics/100398
ー八ツ場ダムの生活再建 9事業に遅れ トンネルや施設 最長1年ー

 群馬県の八ツ場ダム建設に関し、本体の完成に合わせて2019年度中に終了予定だった生活再建事業の一部が、最長で約1年延期される見通しであることが19日、分かった。対象は9事業で、ダム関連の建設資材を運ぶベルトコンベヤーの撤去の遅れなどが影響する見込み。このうち、工事専用道路を群馬県が一般道として整備する大柏木トンネル(長野原町川原湯―東吾妻町大柏木、全長3005メートル)は高崎市方面へのアクセス向上や、ダム周辺の観光振興が期待されている。

◎ベルトコンベヤーの撤去や埋蔵文化財の発掘調査に遅れ

 このほかの対象は、いずれも長野原町の水没文化財保存センター(林地区)、ダムサイト公園の売店(川原畑地区)、上湯原森林公園整備(川原湯地区)、地域振興施設整備(横壁地区)など。下流都県が負担金を拠出する形で、県や地元自治体が連携して取り組んでいる。

 県によると、ダム関連の建設資材を運ぶベルトコンベヤーの撤去や埋蔵文化財の発掘調査に遅れが生じ、これらの事業に着手できない状況という。県の担当者は「下流都県と協議している段階。生活再建事業をしっかり完成させるため一部がやむなく延びる」とした上で、ダム事業については「予定通り来年度中に完成する見込みだと国から聞いている」とした。

 大柏木トンネルは、コンクリート用骨材を運搬する工事専用道路の一部として国が整備した。ダム工事の進捗しんちょくに応じ、県道川原畑大戸線のトンネルとして県が整備する計画。川原湯地区から大柏木地区を経て国道406号に接続するため、地域住民にとっては高崎方面への移動時間が大幅に短縮されるメリットがある。

 ダム関連情報を共有するため11月に開かれた地元関係者の会合で県から遅延状況が示されたほか、各地区のダム対策委員会で地域住民に説明があった。

 事業の終了時期が延期されることについて、地元の男性は「生活再建も含めて来年度中に完成させると聞いていたので残念」と肩を落としつつ、「これだけ同時に多くの事業が進んでいるので仕方ない」と冷静に受け止めた。