国交省、「宅地利用に供する高規格堤防の整備に関する検討会」とりまとめ公表

 12月27日、国土交通省関東地方整備局が「宅地利用に供する高規格堤防の整備に関する検討会」とりまとめを公表しました。高規格堤防とはスーパー堤防の正式名称です。

〇「宅地利用に供する高規格堤防の整備に関する検討会」とりまとめの公表について 
      http://www.ktr.mlit.go.jp/kisha/river_00000418.html

〇宅地利用に供する高規格堤防の整備に関する検討会 とりまとめ 【概要】
     http://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000720536.pdf

 この検討会の趣旨は次のようなものです。
 江戸川区北小岩一丁目の高規格堤防整備事業において、高規格堤防の整備が終わったので、2017年3月末に地権者(スーパー堤防建設前、建設地に居住していた住民)に引き渡すため、高規格堤防整備事業の共同事業者である江戸川区が地耐力の試験を行ったところ、宅地としての地耐力が不足していることが判明し、その強化工事のため、引き渡しが9月末へと半年間延期されました。今後、このような問題を起こさないよう、国として高規格堤防整備の手順をきめておこうというものです。

 検討会は8月から9月まで3回開かれ、それらの資料は以下の国交省サイトのページで見ることができます。
 http://www.ktr.mlit.go.jp/river/shihon/river_shihon00000366.html

 高規格堤防が今まで造成されたところは首都圏、近畿圏で約120カ所もあります。
 (そのほとんどは高規格堤防の完成形である高さ1:幅30を満たしていない不完全な堤防)

 そのうち、高規格堤防の上が一戸建ての住宅になっているところが何十カ所もありますが、不可解なことに今まで地耐力の不足が顕在化してきませんでした。江戸川区北小岩一丁目の高規格堤防は、住民から中止を求める裁判が起こされていることもあって、江戸川区が住民に対して高規格堤防の盛り土の地耐力の試験を行うことを住民説明会で明らかにし、引き渡し直前に試験を行ったところ、地耐力が不足している宅地が数多くあることが判明したものです。

 今まで造成された高規格堤防も、同様に地耐力の不足が実際にはあると考えられます。

 問題となった江戸川区北小岩一丁目における高規格堤防の地耐力不足についての説明資料は、以下のページでご覧になれます。この国交省の資料は、なぜか「江戸川区北小岩一丁目」という事業地名を一切載せず、すべて「既整備地区」という言葉に置き換えています。
 http://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000707900.pdf
 国土交通省資料「既整備地区における対応」

 国交省に召集された今回の検討会の座長は、八ッ場ダムや高規格堤防の推進に全面的に協力してきた群馬大学の清水義彦教授です。検討会を三回重ね、時間をかけて公表された「とりまとめ」は事務局を務める国交省の職員がまとめたものですが、本来やるべきことが書かれているにすぎません。

 高規格堤防は治水事業とされ、ダムと共に洪水軽減に大きな力を発揮することになっていますが、実態は土地区画整理事業、市街地再開発と一体となった巨大事業で、高規格堤防整備が完了する何百年も先にならなければ本来の治水の役目を果たしません。整備を完了させるには、事業費も莫大となりますので、完了する可能性は殆どないと言っていいでしょう。
 地耐力不足の問題は、堤防の強度不足を示すものでもあり、いかに国土交通省が「治水」について真剣に考えていないかがよくわかります。

国土交通省資料「既整備地区における対応」より6、7ページ